エンドユーザー向けのブランディングを意識する
商談のうえでは企業間のやり取りかもしれませんが、BtoB企業が扱う商品も、最終的に利用するのは一般消費者です。エンドユーザー向けのブランディングを意識したコンテンツを用意することで、収益にも良い効果が生まれるでしょう。エンドユーザーからの評判が良くなることで、自社のプロダクトが取引企業から求められるようになるためです。
米国・ニューヨーク州のガラス製品の大手メーカー「コーニング」のコンテンツを見てみましょう。同社の主力商品の一つに、抜群の強度を誇る「ゴリラガラス」という強化ガラスがあります。こちらの商品は、スマートフォンのタッチパネルにも使用されているそうです。
ゴリラガラス専用のホームページでは、さまざまな動画を配信しています。「とにかく強い」という優れた性能を持つ製品があると、その機能を前面に押し出してしまいがちですが、筆者が注目したのは「A Day Made of Glass(ガラスが作る一日)」という動画です。
この動画は3パターン用意されており、コンセプトは「強いガラスがどんな世界を実現させるか」というもので、「コーニングの強化ガラスが、日常をどのようなものに変えるか」を描いています。たとえば、朝目覚めたときのカーテンの開け閉めという作業はありません。窓ガラスが光を遮る機能も備えており、目覚めるとともに遮りが自動で消えていきます。また、鏡の前で身支度しているシーンでは、鏡上にテレビを映し、タッチパネルの機能を果たしていることがわかります。

詳しくは実際に動画を観ていただきたいと思いますが、まるでSF映画の世界観です。動画の中には「MADE POSSIBLE BY CORNING(コーニングによって可能になる)」との言葉で締めくくられるものもあります。
このように見てみると、コーニングは「強いガラス」を売ろうとしているのではないことがわかります。「強いガラスを通じてどんな世界を実現したいか」をストーリー仕立てで示すことで、「強化ガラスと言えばコーニング」とイメージされるようになるのです。
コンテンツでオーディエンスに「夢」を見せよう
今回は、ブランディングをテーマにコンテンツマーケティングの事例を見てきました。共通するポイントは、コンテンツでオーディエンスに「夢」を見せている点です。「この商品を使えば自分は何ができるようになるのか」「このサービスは自分にどんな価値を生むのか」について示すことで、エンゲージメントが高まっていきます。自社のプロダクトは何のために存在しているのか。今一度考えてみましょう。次回は、中小企業がコンテンツマーケティングに取り組む意義に注目しながら、事例を紹介していきます。