キーワード4「多面的コミュニティ」
長田:最後のキーワードは「多面的コミュニティ」です。最近は、SNS上で複数のアカウントを持ち、使い分けるのが当たり前です。自分や相手にいろいろな面があることをポジティブに捉え、それぞれの面で異なるコミュニティを持ち、そこに合わせて、アカウントも自分も一緒に変えるイメージです。

長田:ここで重要なのが、複数の自分を持っていても、どの自分も嘘ではないという部分ですね。たとえば、ヲタ友といるときの自分と学校にいるときの自分は、異なるキャラクターではあっても、どちらも本物。環境によって、自分のパーソナリティを出し分けているイメージです。
お互いに複数の側面があることを理解した上でコミュニケーションを取っています。
崔:1つの軸だけで人を判断しなくなったとも言えますよね。誰が上で誰が下かと考えるのではなく、それぞれに得意分野があって、シチュエーションによって優劣が変わることを前提に関わり合っているんです。
オンラインで趣味の世界が拡大していった背景には、そういった多面的な人間関係の考え方があるように思います。
長田:スクールカーストという言葉もほとんど聞かなくなりました。
今の若者は、それぞれのコミュニティの中で当たり前のように違った役割を求められて生きてきたので、多面的にコミュニティを形成し、多面的に相手を見ることができるんでしょうね。すごくポジティブな変化だと思います。
まとめ:SHIBUYA109 lab.所長コメント

若者はSNSに投稿されている画像や動画からニュアンスを感じ取るスキルに長けており、そういったスキルが、友達と円滑にコミュニケーションを取ったり関係を構築したりする上で、重要な役割を果たしています。
同時に彼らは”なんかちがうな”といった違和感も感じとりやすいため、企業がなんとなく若者が好きそうなものに寄せて作っただけのコミュニケーションであると、それを見抜いてスルーされてしまう可能性が高いです。
このような彼らの感覚は、企業の立場からすると理解が難しい部分でもありますが、若者の共感を生むコミュニケーションを実現するには、彼らのSNSからニュアンスを理解する姿勢が重要となります。