中小企業の多くは「差別化×集中」で生き残る
中小企業庁の集計結果によると、日本国内の企業の99.7%は中小企業です(数字は2016年時点)。多くの中小企業は、大企業とは違う土俵で戦うため、ニッチなサービスを打ち出します。しかし、自社の強みとなるサービスを打ち出せたとしても、同じような着眼点を持った他社は他にも必ず存在します。「競合となる中小企業との差別化をどう図っていくか」という悩みは、多くの企業が抱える課題なのです。
では、中小企業は実際にどんな差別化戦略を取っているのでしょうか。同庁が毎年公表している「中小企業白書」の2020年版では、「中小企業の競争戦略」と題し、「市場のターゲットを広く取るか、特定させるか」「優位性を低価格とするか、サービスの差別化とするか」を掛け合わせた4つの競争戦略の類型を紹介しています。4つの類型は以下の通りです。
(1)ターゲットを広く取り、低価格を優位性とする「コストリーダーシップ戦略」
(2)ターゲットを広く取り、サービスの差別化を優位性とする「差別化戦略」
(3)ターゲットを特定させ、低価格を優位性とする「コスト集中戦略」
(4)ターゲットを特定させ、サービスの差別化を優位性とする「差別化集中戦略」
さらに同庁では、中小企業を対象にしたアンケート調査についても言及しており、(4)差別化集中戦略を自社の競争戦略としている企業が多かったとの結果が出ています(全業種平均56.6%)。つまり、多くの中小企業がターゲットとなる市場を狭くしたうえで、価格ではない部分で差別化を図ろうとしている実態が浮かび上がります。
「顧客視点」でサービスを開発したはずが……
では、それぞれの企業はどのようにサービスの差別化を実現しているのでしょうか。このことについても、中小企業白書は興味深いデータを示しています。
中小企業が新しいサービスを開発する際にきっかけとなる発想について、「自社顧客のニーズに応えるという発想」と答えた企業は製造業で57.1%、非製造業でも52.1%と、最も高い数値を示しています。対して「自社が保有する技術やノウハウを活かすという発想」と答えたのは製造業で26.9%、非製造業で22.4%です。つまり、サービス開発においては、「顧客視点」が重要視されていることがわかります。
一方で、企業がプロモーションに取り組む際は、どうしても「自社が伝えたいこと」を一方的に伝えてしまいがちです。サービス開発の段階で最も重視されていたはずの顧客視点が、いざ売る段階になったときにすっぽりと抜け落ちてしまっている企業が多いのです。
厳しい言い方ですが、顧客は自社にそれほど興味がありません。顧客の興味は「この企業が自分にどのような価値、利益を与えてくれるか」ということです。徹底的に顧客視点に立ったコンテンツを発信するコンテンツマーケティングこそ、中小企業の差別化戦略を助けてくれる施策です。