戦略(3)粘り強い発信でオピニオンリーダーの地位を築く
サブスクリプションに関するSaaSアプリを提供する米国の「Zuora」は、サブスクリプションに早くから注目し、サービス開発だけでなくコンテンツを発信し続けた企業です。
同社の歩みを紹介する記事によると、サブスクリプションという言葉がまだ一般的でなかった2008年から、同社ではサブスクリプションに関するコンテンツを作り続けていました。同社では「subscription economy」という概念を打ち出し、この概念を説明する記事を何百本と制作したといいます。
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これらの記事は、当時は一部の人にしか注目されず、狭い範囲内でしか共有されませんでした。しかし、徐々にサブスクリプションについての注目が高まり、今や同社は業界のオピニオンリーダーのような立ち位置にいます。
「ただ単に先見の明があっただけではないか」と片付けてはいけません。確かに同社はサブスクリプションに注目し、早くから関連するサービスを始めてはいますが、同時に粘り強くコンテンツを発信し続けたからこそ、今の位置を築けたという点が重要です。短期的な効果は限定的でも、長期的に見るとコンテンツは大きな効果を生み出しました。もし独自のサービスを持っていたとしても、発信し続けなければ他社との競争を勝ち抜くことはできなかったのではないでしょうか。
ポイントは「専門チームの結成」「即効性を求めない」
ここまで「中小企業がコンテンツマーケティングに取り組む意義は何か」という視点で事例を紹介してきましたが、中小企業だからこそ押さえておいてほしいポイントがあります。それは「専門チームの結成が必要」「コンテンツマーケティングは時間がかかる施策」という2点を理解することです。
コンテンツの制作には手間がかかります。また、効果を測定し、次のコンテンツはどうするのかという振り返りも必要です。そのため、コンテンツを内製する場合は専門のチームを結成したほうが効果が出る可能性が高まります。
また、Zuoraの例を見てもわかるように、コンテンツマーケティングに即効性を求めてはいけません。時間はかかりますが、顧客からの信頼を得るための施策なのです。コンテンツマーケティングに取り組む際は、時間をかけ、顧客に寄り添う姿勢を全社的に持ちましょう。
本連載では、コンテンツマーケティングの事例をテーマごとに解説してきました。これから始めようとしている方、または今取り組んでいる方の一助となりましたら幸いです。
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