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事業成長につながるテレビCMを作る秘訣

テレビCMの成功と失敗、カギは経営者と事業の個性 クリエイターも高度なビジネス理解が必要な時代に

 昨今、BtoBのSaaSやD2Cブランドなど、出稿企業の顔ぶれも変わってきたテレビCM。本連載では、500本以上のテレビCM制作に携わってきたNORTH AND SOUTHの北尾氏が、昨今のテレビCMクリエイティブのトレンドやノウハウを解説する。今回は、事業を成長させるために事業会社とクリエイターがどのような考え方のもとテレビCMを制作すべきか明らかにする。

ブロードリーチならテレビCMが有効な場合も

 2020年は、新型コロナウイルスによる出稿量低下など、広告業界にとって受難の1年であったと言えるであろう。その中でオフィシャルな数字はないが、自分はCreative Director(以下、CD)として日本でもトップ10に入るくらい数多くのテレビCMを企画制作し納品した。

 作ったテレビCMの本数を競うことには何の意味もないが、日々多くの経営者からビジョンや課題を聞き、制作スタッフと知恵を絞ってきたことで効果的なテレビCMを作るためのノウハウを蓄積してきた。

 コロナだ、スマホだ、デジタルだと言っても、テレビCMの力は今も健在だと肌で感じている。デジタル広告に高精度なターゲティングという特徴があるように、テレビCMにも投網を投げるがごとく不特定多数のマスに届けるリーチ力という特徴が存在する。ブロードリーチという意味では、テレビは未だに圧倒的な強さを持つ。

 コストの面でも、厳選された特定のターゲットに対して精度の高いコミュニケーションを図るよりも、ぶわっと広範囲のマスに投げてその中にいるターゲットに対してコミュニケーションするほうが、効率の良い場合もある。

進む、テレビCM出稿目的の多様化

 昨今、ベンチャー企業やスタートアップ企業から仕事の依頼をいただくことが多い。デジタルマーケティングである程度獲得できた次のステップとして、マス広告を検討するという流れだ。

 当然ながらマス広告は予算規模が桁違いに大きくなる。企業体力の観点からも、投資家への向き合いの観点からも、そして求めている成長スピードの観点からも、テレビCMには確実な「結果」が求められる。テレビCM投資の成否が生きるか死ぬかに関わってくるベンチャー企業に対して、いわゆるナショナルクライアントは状況が少し異なる。

 自分は電通の出身だが、当時のナショナルクライアントの案件では、明確な数値目標などをクリエイターが意識することはあまりなく、好感度アップや話題性が求められることが多かった印象だ。

 どっちが正しい、優れているという話ではない。イメージアップもまた、マス広告が得意とする領域である。直接的に目の前のリターンを得たいか、イメージを浸透させ中長期で大きなリターンを得たいか、そもそものマーケティング投資の目的が違うのである。肝心なのは、この目的設定をはっきりさせておくことだ。これがふわっとしていると、広告の「効果」がまぐれにしかならない。

 直接的な「効果」を求めるベンチャー企業やスタートアップ企業の経営者は、これまでのように必ずしも広告代理店に依頼することから始めない。少しでも成功角度を上げるために成功実績を持つクリエイターを経営者同士のネットワークやベンチャーキャピタルの紹介などを駆使し探し出し、主にFacebook Messengerを介して紹介され、面談を通じてやり取りの上、依頼をする。

 手前味噌ではあるが、即戦力採用のビズリーチ、運用型テレビCMのノバセル(ラクスル)、施工管理アプリのANDPADなど、クリエイティブ制作の成功実績をきっかけに問い合わせをいただく機会は多い。

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この記事の著者

北尾 昌大(キタオ マサヒロ)

NORTH AND SOUTH Inc. Founder/Creative Director

2000年株式会社電通入社。クリエーティブ・ディレクターとしてベンチャー企業のブランディングから大企業の世界キャンペーンまで、100社以上の企業の広告コミュニケーションに従事。500本以上のテレビCMを制作。ベンチャー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/12/21 09:00 https://markezine.jp/article/detail/35044

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