様々な工程で生じる「面倒くさい」を取り除く
――実際に支援を依頼される事業者の方々は、どのようなきっかけで水上印刷さんに相談されているのでしょうか。
松尾:サービスリリース時からお手伝いさせていただくケースが多いですが、「規模を拡大したい」というタイミングでご依頼いただくこともあります。サービス立ち上げ初期の規模が小さいうちは、なんとか自前で回していたものの、それではスケールの速度が出せない、という課題感があるのだと思います。
植野:リリース時は自力だとしても、浸透・改善の段階でパートナー企業に入ってもらうのも良い方法ですね。デジタルサービスは、導入が済んだらそれで終わりではありません。高頻度でアップデートが必要ですし、デバイスも数年ごとに入れ替えがあります。その度にデバイス情報を集めてスペックを評価して、どのあたりに脆弱性やエラーがあるかを把握し、仕様が変わっていたら新たにコンテンツ更新システムを考える……といった業務も発生してくるわけです。
――最後に、DXの推進とそのご支援を通じて、デジタル事業者、店舗、そして生活者に提供していきたい価値について教えてください。
松尾:デジタル事業者には、極力本業に集中してもらえる環境を提供できればと思っています。最近は、あるサービスでご支援させていただき、実績ができた事業者様から、別の新しいサービスが立ち上がる時に再度お声がけいただくことも増えてきました。
サービス開発やマーケティング、営業に集中していただくことで、新しいサービスの開発や既存サービスの普及のスピードが上がれば、結果的に店舗を訪れる生活者、接客する従業員の方々の体験価値も向上するでしょう。そのようなことに貢献できるパートナーでありたいと考えています。
植野:オンラインプレイヤーが実店舗にも進出してきているといっても、実店舗の知見は従来からの小売店の方がたくさんあるわけで、そこが強みであると思います。そうした自分たちだけの価値が出せるところに集中するためにも、それ以外の部分はベストパートナーを見つけて担ってもらうことが大切なのではないかと思います。店舗や従業員がデジタルデバイスの知見やセッティングの能力を身につけるのは本業からあまりにも遠いですし、求められるのはデジタルサービスへの詳しさではなく、良い店舗で良い商品を良い接客で販売することだと思いますので。
水上印刷さんは、“印刷”と言う言葉からは想像もつかないぐらい、デジタル領域もやられていることが、よくわかりました。工場で紙の上にインクで印刷する時代から、デジタルデバイス上にネットワークを介してコンテンツを表示させる時代、これが“未来の印刷”なのかもしれません。
ただ、紙の印刷物でも、デジタルデバイスのコンテンツでも、それをリアルの場で人が使う以上、様々なマーケティング・オペレーションが発生します。それらのオペレーション改善をひっくるめて“未来の印刷”にスピーディーに取り組まれているのは、これぞまさにDXと言えるでしょう。リアル店舗にデジタルサービスを展開したい事業者にとっては、本当に頼れるソリューションだと思いますね。
松尾:ありがとうございます。私たちは今回ご紹介した支援サービスに限らず、様々な工程で生じるお客様の「面倒くさい」を解消することを軸に、サービスを作ってきました。DXという言葉の裏側には、まだまだ多くの「面倒くさい」が存在しています。そうした目に見えない“アンダーデジタル”とも呼べるような領域を、これからもご支援していきたいです。
――本日はありがとうございました。
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