新型コロナの影響で大手企業からの問い合わせが急増
江端:サービスローンチは2017年とのことですが、3年ほどの間に何か変化はありましたか。新型コロナによる影響も大きかったのではと思うのですが。
工藤:去年頃までは、「ブランド力で大手企業に負けてしまい経理人材が採用できない」と悩む中小企業の方々の利用が多かったのですが、新型コロナ後あたりから大手企業からの問い合わせが増えていて、その数は去年と比べ7倍ほどにのぼります。
コロナでテレワーク体制の整備が求められるようになったことが大きいでしょうが、新型コロナを含め不測の事態に対する準備が十分ではなかったことを痛感した企業が、本腰を入れて取り組み始めている印象です。
加えて、世の中的にIT化やDXを推し進めていますが、その中でレガシーシステムの組み替えが起こり、それによって今まで採用してきた人達のスキルセットでは合わなくなり、体制の変更も余儀なくされている状況なのではないでしょうか。「新型コロナ」「テレワーク」「DX」のワードが重なったことで、受け皿として我々のサービスに対する注目度が高まっていると分析しています。
得意とするファンクションで稼げる仕組みを作る
江端:ここまで主に「DX2.0」の4P、「Problem(課題)」「Prediction(未来予測)」「Process(改善プロセス)」「People(人の関与)」のうち、ユーザーが抱えている「Problem」とサービスの提供や導入方法「Process」に関する話をお伺いしましたが、「Prediction」でいうところの未来の姿をどう想像されていますか。
工藤:企業は今進化している最中にあると思っています。というのも昔は、企業が自社の中に、R&Dも製造もセールスもマーケティングもファイナンスもと全ファンクションを持っていて当たり前の時代でしたが、現在は、餅は餅屋と言いますか、たとえばAppleは工場を持たずに企画に専念していますが、それと同じで自分が得意とするファンクションは何かを理解し、極めていくことがより求められる時代になっていませんか。
なので、それ以外のファンクションは他社に助けてもらうなど、色々な有機的機能を組みあわせてサービス需要をさらに大きくしていく世の中が訪れるだろうと予想しています。バックオフィスはそのあたりで遅れていましたが、これからはアウトソーシングも当たり前のものとして考えられるようになると思っています。
利益を上げるためにも、会社は必要なリソースを必要なときだけ使えたらと思うでしょうが、雇用関係においてそれを行うのはなかなか難しい。でも我々のサービスではそれを、多くのお客様と沢山のスタッフがいることで実現できると考えています。
例えるなら高性能サーバと同じ。高性能サーバも1社では仕事量として足りませんが、多数の会社から利用されることで稼ぐことが可能になる。大量にあること、我々がその間に入って設計することでハッピーな状況がつくれると思っています。
江端:御社のスタッフの人たちも、一人で何社かを担当していたりするのでしょうか。
工藤:はい、最大で5社ほど担当されている方もいます。スタッフは9割ほどが女性なのですが、リソースバランスを取っているので、出産で長期にお休みを取られても、戻ってきたいタイミングでまた働いてもらえます。働き方の選択肢のひとつに入れてもらえると嬉しいですね。
会社として究極にやりたいことは社会を良くすることなので、ビジネスにおいては自分たちの得意なことを徹底的にやってビジネスを貫く、働き方においては、より多くの人たちが場所やライフステージに左右されず、好きなこと得意なことで稼げる世の中を作っていきたいです。
