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MarkeZine Day 2025 Retail

SNS起点で生まれるマーケティングトレンド

2020年「最もシェア拡散された広告・PR施策ランキング」 から見るコロナ禍の各企業の成功事例

テーマパーク・レジャー施設の発信のエンゲージメントが高い理由

 トップ10に入った「東京ディズニーリゾート」の2件と「としまえん」の閉園挨拶に加え、トップ10以下を見てもテーマパーク・レジャー施設から発信される情報に対してエンゲージメントが集まりました。新型コロナウイルスの影響で例年のように外出/旅行ができない状況で、現地から発信される情報に対する「寂しさ」や「興味」が混在して反応する人が多かったと言えます。

 日常生活でブランド接点を持ちづらい業態のため、新型コロナウイルスが落ち着いた後も引き続きSNSアカウントからの発信は重要なコミュニケーションチャネルとして継続強化していく方針になっていくはずです。

 そして、テーマパーク・レジャー施設関連の中でも特に高いエンゲージメントを連発していたのが、「東京ディズニーリゾート」の公式アカウント。トップ10に入った2件(大規模開発エリアのオープン告知とパーク再開告知)以外にも、累積すると圧倒的なエンゲージメント総量でした。

 下の図は、年間を通して獲得したエンゲージメント総量が高かった企業のTwitter公式アカウント上位10件です。例年SNS上で高いエンゲージメントを誇る日清カップヌードルの公式アカウントの数字を東京ディズニーリゾートが大きく上回っています。今回、企業アカウントとしては対象にいませんがたとえば「鬼滅の刃」公式アカウントの総量は209万です。そう考えると、「東京ディズニーリゾート」の303万という数字がどれだけ圧倒的かがわかるはずです。

2020年国内の企業のTwitter公式アカウントエンゲージメント総量ランキングTOP10
2020年国内の企業のTwitter公式アカウントエンゲージメント総量ランキングTOP10(クリック・タップで拡大)
出典:株式会社スパイスボックス独自のソーシャルリスニングツール「THINK」集計
(調査期間:2020/1/1~2020/12/9)
※「THINK」で補足できたエンゲージメント数が高かったTwitter投稿の総量を集計してランキング化。
フォロー&RTキャンペーンなどは除外。

 特に新型コロナウイルスの影響に因って臨時休園となっていた期間中に、SNSから発信された数々の施策が秀逸です。前述のとおり外出自粛をしている間に、テーマパーク・レジャー施設など現地に対して芽生える「寂しさ」や「興味」といった生活者の感情に対して、持ち前のホスピタリティで寄り添い感動を提供し続けました。

 新型コロナウイルスの脅威にさらされ殺伐としていく中、パーク入場料の収入がまったくない期間中にも関わらず、ファンを元気づけようと発信しエンゲージメントし続けた「東京ディズニーリゾート」の取り組みからは今の時代、企業の公式アカウントとして何が大事なのかを改めて考えさせられます。

ネガティブが蔓延する時代、いかに生活者の気持ちに寄り添えるか?

 新型コロナウイルスに対する不安と恐怖が常に頭の片隅にある時代。恐らくこれは2021年もしばらく続くでしょう。ネガティブが蔓延する時代において、自分たちが置かれている状況や気持ちを理解してくれて、今できることを全力で取り組んでくれる企業・ブランドに対して生活者は共感します。

 そして昨今、生活者は共感する企業・ブランドの商品を買いたいと考えます。逆に、共感できないだけでなく許せないと感じる企業・ブランドに対してはSNS上で呼びかけ合い、不買運動にまで発展するリスクさえあります。

 大事なのは小手先のSNS投稿テクニックではありません。真剣に考え抜いた「リアルな取り組み」が重要であると筆者は考えています。「東京ディズニーリゾート」の事例で言うとショーやフィナーレ動画の特別公開、ブルーライトアップなどです。ディズニーキャラクターを用いた画像や動画の投稿に終始しなかったのは、パークに来られないファンを喜ばせたい、寄り添いたいと真剣に考え抜いたからではないでしょうか。

 たとえば、アパホテルは新型コロナウイルスで軽症の人や無症状の人を全面的に受け入れる対応を発表し大きな反響がありました。Netflixはお客様の大切なお金の節約のためにと、休眠アカウントに継続の意思確認を行いました(Netflixはサブスクリプション型サービスなので休眠のまま放置しておけば無条件で課金が続いてしまう仕組み)。

 ネガティブが蔓延する時代だからこそ、今の生活者の気持ちにもっと寄り添えないか? 言葉だけでなく行動をともなって体現できないか? 当たり前かもしれませんが、こういった「問い」を改めて持ち直すことが一層大切な時代になったと筆者は考えています。

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注目度の高まる個人クリエイター

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/01/18 09:00 https://markezine.jp/article/detail/35266

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