Googleアルゴリズムを統計分析するSEOツール
――本日はSEOツール「パスカル」を提供するオロパスの藤井さんにお話をうかがいます。パスカルは、Googleアルゴリズムを統計分析するツールとうかがいましたが、具体的に教えてください。
藤井:SEOは、とにかく時間とスキルを必要とする業務です。キーワード選定やコンテンツ構造など、対応すべき項目が多岐に渡る上、Googleアルゴリズムは常に変化するため、担当者はトライアンドエラーを続けなくてはなりません。
また、ノウハウの蓄積も難しく、属人的になりやすい傾向が強いのも特徴です。このようなSEOの難しさを解決しようと、パスカルを開発したのです。
――なるほど。パスカルは、SEO業務の課題から生まれたツールなのですね。
藤井:はい。まずは、Googleアルゴリズムという目に見えないものを可視化する方法はないかと考えました。そこで、検索した際に上位表示するページのSEO要素を統計的に分析すれば、上位表示するための規則性が見つかるのでは? と思ったわけです。
仮説は的中でした。Googleアルゴリズムは、一見同じ規則性で動いているように見えますが、実は検索するキーワードごとに上位表示するシグナルの重み付けが変化していることがわかったのです。
――つまり、検索キーワードによってSEOのポイントが変化するということですか?
藤井:その通りです。たとえば、SEOでは「ページの文字数は◯◯以上必要」という話をよく耳にしますが、キーワードによって上位表示に必要な文字数は変化します。
例をあげて説明しますと、「確定申告 必要書類」というキーワードの場合、検索ユーザーは「情報」を求めているので、文字数が多く情報が網羅されているページが上位表示します。でも逆に、「富士山 写真」というキーワードの場合は、ユーザーは情報ではなく「写真」を求めているので、文字数よりも写真掲載数が多いページが上位表示します。
――パスカルは、特定のキーワードについて、その時々に最適なSEO施策がわかるツールということですか?
藤井:はい。パスカルは、SEOシグナルのなかでも特に順位影響が強い50項目についてGoogleアルゴリズムを統計分析することで、検索上位に食い込むための必要条件を数値化します。さらに、上位ページのコンテンツの傾向から、どんな内容の記事が上位表示しやすいかをカテゴリ別に分析することもできます。
パスカルを使って既存記事を改善・リライトする
――では、パスカルの使い方を教えてください。
藤井:まずはじめに既存記事の改善・リライトの方法についてご説明します。使い方は至ってシンプルです。既存記事のURLとキーワードを入力するだけで、自動的に検索上位ページを統計分析して、上位の傾向と該当記事のズレを「コンテンツ」「タグ」「インデックス」「ドメイン」「被リンク」の5つの指標でスコアリングします。
――統計分析から改善の指標を出してくれるのですね。
藤井:はい。分析が終わったら、上位傾向の最適値から外れている項目を最適値内に入るように改善するだけです。また、統計分析の段階で各シグナルの順位影響度も計算していますので、円の大きな(影響度の大きな)項目から優先的に改善すれば、作業効率がアップします。
藤井:さらに、改善箇所をドリルダウンすると、改善箇所がソース内のどの位置にあるか、どのように改善すれば良いかなど、具体的なアドバイスを表示します。
――SEO作業は時間のかかる仕事ですから、ソース内の該当箇所をピンポイントで指摘してくれるのはありがたいですね!
藤井:そうですね。SEOは小さな改善の積み重ねですので、改善箇所がピンポイントでわかるのは作業を行う人にとっては非常に便利だと思います。
――リライトをアシストする機能も付いているとうかがったのですが?
藤井:パスカルのリライト機能は、上位ページのコンテンツを分析して、使用頻度の高いキーワードを抽出します。さらに、指定URLの使用キーワードと突き合わせることで、上位表示に必要なキーワードの抜け漏れをチェックできます。
コンテンツを作るときに「オリジナル性が重要」とよく言われますが、押さえておくべき基本要素が抜けていては上位表示されにくいのも事実です。パスカルは、この基本要素を統計的に分析して、上位表示に必要なキーワードの網羅情報をアシストします。
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記事構成と執筆を助ける3つのポイントを表示
――ここまでは既存記事の改善・リライトに関してでしたが、パスカルは、これから記事を作成する際にも上位表示しやすい記事構成を自動でアドバイスしてくれるのですよね?
藤井:はい。これから記事を作成する場合は、「記事作成」という機能を使います。
「記事作成」も同様に、指定キーワードで上位表示しているページを統計分析して、3つのポイントから記事の構成案や執筆を助けます。
(1)キーワードの月間検索数と難易度がわかる
藤井:SEO記事の場合、最初に上位表示したいキーワードを設定しますが、このキーワード選定を間違ってしまうとすべてが台無しになってしまいます。検索ボリュームが十分にあり、かつ上位表示の可能性があるキーワードを選ぶ必要があるので調査に多くの時間がかかります。
パスカルは、指定キーワードの月間検索数に加えて、上位サイトの網羅性、専門性を統計分析して、「上位表示難易度」を5段階で表示します。
記事を書く前段階でキーワードの難易度がわかるため、書いた記事が上がらないという失敗を回避することができます。
(2)上位表示する記事構成がわかる
藤井:2つ目のポイントは「記事構成」です。
ここはかなり重要で、「SEO対策をしたけれど順位が上がらない」理由の多くは、「記事構成」の間違いが原因です。
たとえば、「コンテンツマーケティング」というキーワードの記事を書くとき、多くの人は、「コンテンツマーケティング」の詳しい情報を1ページ内に詰め込むと思います。しかしこれでは、検索結果の上位に表示するのは難しいのです。
パスカルで「コンテンツマーケティング」を分析してみると、お勧めする記事形式は「構造化ページ」、必要な子記事数は「50ページ以上」と表示されます。つまり、「コンテンツマーケティング」で検索結果の1ページ目に表示するためには、「コンテンツマーケティング」に関する内容記事が少なくとも50ページ以上必要ということがわかります。
藤井:パスカルは、上位サイト内にキーワードの関連ページがどれだけあるかを分析して必要なページ数(子記事数)を表示します。
もちろん、単一記事(単一ページ)で上位表示が可能なキーワードもあります。たとえば、「コンテンツマーケティング メリット」というキーワードは、上位サイトも単一記事ばかりなので、このキーワードで上位表示を狙う場合は、1記事で十分ということがわかります。
藤井:この判定にも統計分析を使っていて、上位サイト内にキーワードの関連ページがどれだけあるかを分析して必要なページ数(子記事数)を表示しています。記事を作る前に、「このキーワードは、子記事10ページで構成した構造化SEOが必要なんだな」や「このキーワードは、単一記事で十分に上位表示が狙える」ということがわかるため、上位表示に必要な記事構成が明確になります。
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記事の方向性を決めるための機能も!
(3)上位表示する記事のジャンルがわかる
藤井:3つ目のポイントは、上位表示する記事のジャンルです。
パスカルは、上位ページの内容をいくつかのジャンルに分類することで、上位表示しやすい記事ジャンルを事前に知ることができます。
上述同様に、「コンテンツマーケティング」というキーワードで分析すると、上位表示しやすいジャンルは、「知識・解決・鮮度」と表示されます。これを基に、コンテンツマーケティングの記事を書くときは、「鮮度の高い知識を提供して疑問を解決する記事を書こう」と記事の方向性を決めることができます。
どんなに良い記事でも、記事の方向性が検索ユーザーが求めるものとズレていると、Googleに「検索意図と合っていない」と判断され上位表示されません。記事を書き出す前に、どんなジャンルの記事が上位表示される傾向にあるのかを押さえておくことが重要です。
――3つの機能を使うと、どのような方向性で新規記事を組み立てるべきか見えてきますね。
藤井:はい。コンテンツマーケティングの成果が思わしくない企業のなかには、どのような方向性で記事を書けばよいのかわからないまま手探りでコンテンツを増やしているケースも少なくありません。とは言え、ここまでの工程を手作業で行おうとすると知識のある人でも数時間はかかってしまいますので、できればツールを使って効率化することをお勧めします。
コンテンツマーケティングを自社で行っている企業の活用が最多
――ここまで、パスカルの機能や使い方を教えていただきました。ユーザーの方々はパスカルをどのように活用されているのでしょうか。
藤井:最近では、自社でコンテンツマーケティングされている企業様の活用が多いですね。パスカルの分析結果から検索ユーザーの検索意図を探り、最適な記事を作成する作業までパスカルひとつでできるところが便利だとよく言ってくださいます。
――コンテンツマーケティングは複数人で取り組んだり、記事作成を外注するケースも多いと思いますが、そのようなケースでもパスカルは使えるのでしょうか。
藤井:はい。パスカルは、ひとつのアカウントで同時ログイン、同時使用が可能になっています。ですから、社内チームの一部がリモートワークになっていたとしても、同じ画面、同じ分析結果を見ながら作業を進めることができます。
また、記事作成を外注している場合は、すべての分析結果をレポートでアウトプットできますので、記事を発注するときやリライトの際もスムーズに作業を進めることができます。
実際にお客様からは、「わからないことだらけだったSEO対策が自分たちでできた」「信頼できるデータや指標があって助かる」との声をいただいています。
SEOで成果を出す一番の近道は?
――最後に、SEOに関わるマーケターへ実践のアドバイスをお願いします。
藤井:誰でも一度や二度は経験があると思いますが、SEO情報に振り回されないことです。SEOについては、多くの人が様々な持論をWeb上で発信しています。ただ、それらの情報は真偽を確かめようもありませんし、真偽を確かめるために多くの時間を費やすのは、本来の目的から大きく外れてしまいます。
SEOやコンテンツマーケティングは、単に記事を作成・改善するだけでなく、社内体制の整備や記事品質の維持、フェーズごとの進捗確認、他部署との連携など、人間にしかできない大切な領域がたくさん存在します。ですから、機会的な分析はツールに任せて、本来やるべきクリエイティブな仕事に多くの時間を費やしてください。
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