データ定義を統一し、既存指標の見直しを実行
ASTALIFTの新規獲得と売上最大化を目的としたコミュニケーション戦略の立案を担当する笹原千江里氏は、Datoramaを導入する際の気付きとして、複数の広告代理店と連携しながらデータ定義を統一し、既存指標が本当に必要かどうか再確認することが重要だったと話す。
「Datoramaの導入にあたって社内外で丁寧な調整を行い、数値の定義を洗い出し統一することにしました。ところがその過程で、データソースの定義と粒度にばらつきがあることが判明しました。異なった定義の指標をもとに商材間のアロケーションや投資判断を行っていたため、運用しやすい指標を新たに設定したほうがいいということになりました。
またツールや部署ごとに微妙に指標の定義が少しずつ異なっていることもわかり、部署異動などで担当者が変わるたびに見ている指標が変わってしまっていることに気づきました」(笹原氏)
笹原氏は多様なデータを扱うことの難しさについて、改めて実感したと振り返る。ただ、Datoramaの導入を通じて、数値そのものの定義から考え直すことになったのは、良いきっかけだったと捉えている。
「Tableau、Google Analytics、DMPなど社内で運用しているツールで活用している指標そもそもの定義を再設定でき、全員の目線合わせができたのは非常に大きなメリットだったと思います」(笹原氏)
導入の過程で、既存指標の見直しの重要性を再認識した同社。現在は、既存指標を見直すための年間を通じた壮大なプロジェクトに取り組んでいる。具体的には、「ツールの見直し」「指標の見直し」「計測ツールの運用フローの見直し」を行っている最中だ。
ユーザーの行動を見据えたデータ活用が重要に
Datoramaの導入後は、Tableauのデータも取り込んでいるというが、そもそもなぜマーケティングデータとLTVデータを統合する必要があるのだろうか。
「当社のような通販型のビジネスモデルの場合、獲得するユーザーのこれからのポテンシャルを把握した上での投資判断が重要になります。
にもかかわらずCPRなどのマーケティングデータのみで投資判断を行うと、実際は離脱率が高く長期的には売り上げが上がらなくなってしまうことも考えられます。よって『どの媒体からどの商品を購入したユーザーがどれぐらい顧客として定着しているか』といったTableauのLTVデータを考慮した上で運用することが非常に重要なのです」(笹原氏)
まだこのプロジェクトは道半ばだが、既に大きな成果が出ているという。
「マーケティングデータとLTVデータを統合し、LTVから逆算して広告媒体やクリエイティブを評価していった結果、最も売り上げへの貢献が高い指標に予算をアロケーションできるようになってきました」(笹原氏)
今では獲得効率が高まるばかりか、LTVの高いメディアへ柔軟に予算をアロケーションできるようになったと笹原氏は感じている。
こうした統合作業を通じて、獲得効率が同等のメディアがあった場合はLTVの高い媒体へ投資するようにしたり、媒体側の獲得効率がそれほど高くなくても、直近の引き上げ率やLTVの高さを考慮して投資判断したりできるようになった。次のアクションがしやすくなったと、同社では考えている。