脱デモグラ! 活用すべきデータは何か
CCCマーケティンググループは、ポイントアライアンス事業を営むTポイント・ジャパン社、電子マネーやカード事業を扱うTマネー社、そしてこれらから収集したデータを活用してマーケティングソリューションを営むCCCマーケティング社という三位一体で成り立っている。
前述したように、国内人口の58%に相当する年間利用者数7,000万人以上の利用者データを持ち月間利用者数は約4,500万人、週間でも約2,500万人に上る。さらにアライアンス企業は5,600社以上、年間関与売上は8.5兆円、年間購買トランザクションは50億回、Tポイント/Tカードが利用できるリアル店舗数は約17万5,000店舗と、膨大かつ質の高い取引データが蓄積されている。データの「量」と「質」ともにユニークなのだ。
そして同社のデータの特徴はもう1つある。シングルIDで膨大な量・質の購買データが時系列で紐付いていることだ。これにより、数学的なアルゴリズムを使わなくても、「この商品を買った人は、他にどんな商品を見たのか」「10回続けて購入した後、何回まで購入を続けたのか」という傾向がわかるという。同社では、このCCCのデータに、テレビ視聴と購買を紐付ける仕組みを提供することで、CMを担当するマーケターや広告担当者の業務を支援している。
CCCマーケティングデータがテレビCM戦略に有効な理由
約7,000万人のT会員のデータのうち、メディア系データでいえば、ネット連携者が半数以上の3,600万人、テレビ連携者は40万人だという。当然、これらのユーザーもシングルIDで連携されており、「このテレビ番組を見た人が、翌日何を購入したのか」ということが把握できるという。
このテレビ視聴データにも、他にはない「つながる」「粒度」「規模」という3つの特徴がある。
1つ目の「つながる」とは、テレビの画面でしっかりとユーザーのパーミッションを取ったうえで、ユーザーの視聴データをIDに紐付けるということ。しかも、キー局のほかに全国地上波全127局、独立系地上波13局、BS29局、CS53局のすべてが横断的につながっているのも特徴だ。これにより、番組の延べ視聴率だけでなく、「あるユーザーが、連続テレビドラマの何話と何話を視聴したのか」など、人ベースで視聴分析ができるという。
2つ目の「粒度」とは、従来の視聴率は1分でカウントされていたのに対し、CCCの視聴データでは秒単位で取得している。また録画視聴も取得しているので、一般的な視聴データに比べて、より詳細な視聴データを保持しているそうだ。
3つ目の「規模」については、年々とテレビ視聴データの規模が大きくなっており、2019年は29万人だったのに対し、2020年末には40万人まで拡大したという。関東圏では約18万人、関西圏は5万人、中京圏では3.6万人で、最小放送エリアの高知県でも1,600人以上のユーザーがいる。「基本的には、人がいる地域に関してはデータが取れる状態になっています」(橋本氏)とのことだ。
これだけの規模・質のデータがあるので、当然ながらデモグラでのセグメントはもちろん、詳細な条件でのセグメントも容易にできる。たとえば「30代男性」だけでなく、単身世帯なのか家族なのか、特定の商品を購入したことがあるのか。「月間でビールを購入した人」から、「ブランドAのビールを購入した人」「ブランドAのビールを購入し、かつテレビ番組Bを視聴した人」など、「デモグラにとらわれない、マーケティング目線でのセグメントが可能なので、様々な利用ができます」(橋本氏)という。
このデータを活用し、テレビCM出稿の効果を最大化するにはどうすればいいか、CCCマーケティング TVデータ企画Unit TV営業支援・Leader/シニア・コンサルタントの江本友紀子氏が説明した。