展示会開催が難しい今、ウェブサイトでのリード獲得強化を
実際に製品を使っている人だけが投稿できる比較サイト「ITreview」で、非常に高い顧客満足度評価を得ているシャノンのMAツール「SHANON MARKETING PLATFORM」。BtoB企業や金融、保険、不動産など高額な単価を扱うBtoC企業で導入が多いことが特徴だ。
シャノンでマーケティング部 部長を務める村尾氏は「2021年にウェブサイトのリード獲得力を強化するMA活用3ステップ」と題し、セッションに登壇。コロナ禍において展示会でのリード獲得が難しい状況が続く中、「今年はウェブサイトからのリード獲得を強化しよう」と考えているマーケターに向けて、リード獲得力を強化するウェブサイトの活用方法が紹介された。
1.まずは、来訪者のニーズに合わせたシンプルなCTA
ウェブサイトでのリード獲得力強化の一歩目は、シンプルなCTA(Call to Action)による資料請求への誘導だ。やり方はとてもシンプル。まずTOPページのファーストビュー、スクロールをしなくても目に入るところに資料請求への誘導を置くことから始める。
「なに当たり前のことを……と思われるかもしれませんが、大事なのは『お問い合わせ』ではなく『資料請求』へ誘導することです。BtoB企業のTOPページには、意外と資料請求への誘導がされていないことが多いです」と村尾氏は強調する。
BtoBの場合、ウェブサイトに訪れた人の多くは社名やブランド名で指名検索して来ているはずだ。過去にメールマガジンを受け取った、展示会で接点があった、営業担当に会った、なにかの記事で見かけたなど、さまざまな接点をきっかけに認知し、興味を覚えてウェブサイトに訪れている。
では、彼らは次にどういう行動をしたいだろうか。営業に会って商談をしたいだろうか? それは非常に稀なケースだろう。つまり、「問い合わせ」はまだしたくないのだ。
また、企業でツールやサービスを導入する際、社内での反応を確かめたり、説明資料を作成したりなど踏むべき手順がある。そのため、まずは資料を社内で共有したいというのが心理だろう。それに対して、「お問い合わせください」はハードルが高い。
「とりあえず資料が欲しいな」と思っている来訪者をきちんと獲得することが重要なのだ。
この時注意するべきなのは、資料請求への動線をシンプルにすること。資料請求のボタンを押したら製品種類の選択を迫られたり、情報が多すぎたりすると、その時点で離脱されてしまう。ウェブページは、1ページ進むごとに人がいなくなっていく。ページ遷移を最小限にして、1つのフォーム内でCTAを提示することがポイントである。
この時、シャノンのMAツールを使うと、1つのフォームであっても、登録内容によってメールを振り分けることができる。顧客側だけでなく、選択された都道府県に応じて管理者向けのメールも振り分けると、東京と大阪で対応する営業チームが異なる場合などに便利だ。
「資料請求を獲得しても商談につながらないのでは? と不安に思われる方もいらっしゃると思います。ですが、シャノンでは資料請求からの商談獲得率が60%を超えています。獲得率は、お問い合わせからのリードと比較すると確かに低いものの、資料請求はお問い合わせの約5倍の件数をいただいていますので、トータルでは資料請求のほうが商談の獲得に貢献しているんです」(村尾氏)
2.潜在能力のあるところから戦略的に導線を強化していく
ステップ2は、獲得導線の強化。はじめに、Googleアナリティクスの「ランディングページ」と「ページ/セッション」から強化すべき導線を見つける。
「Googleアナリティクスで『ページセッションが多いランディングページ=潜在能力が高いところ』と捉えて取り組むのが良策。リソースは限られていますから、施策の初めは、すでに強いところをより強くしていきましょう」と村尾氏。
強化するページは企業により異なるが、よくあるパターンは優先度の高い順に、TOPページ、製品のTOPページ、記事ページ。シャノンのクライアントでは、この3つのカテゴリを強化することが多いという。
こうして、強化するべき導線を見つけたら、ABテストで複数の導線を検証しながら最適化していく。たとえば、製品ページでは、資料請求・ウェビナー・ホワイトペーパーのどれに誘導するのがよいのか。ポップアップで選択肢を2つほど出し、どれがどのくらいのリード獲得につながったのかを確認して、導線を最適化する。
この時、ABテストの結果をビジネスへの貢献度まで落とし込んで追跡することが重要。リードの獲得数だけでなく、商談や受注につながったかを追跡できる環境を整えてからABテストをするのが望ましい。
商談フェーズの長短によっても結果は異なってくる。受注までの期間が短ければ受注まで、受注までに1年以上かかる場合は商談を結果とするとよい。
「獲得後に商談・受注まできちんと引き上げられたかを追跡できる環境を整えてから実行してください」と村尾氏は念を押した。
3.コンテンツのパーソナライズはABテストすることで効果検証がしやすくなる
ステップ3ではさらにもう一歩踏み込み、パーソナライズされたコンテンツを提示してリードの獲得を強化する。
ウェブサイトのパーソナライズをするためには、まず「匿名リード」と「MAに登録済み(獲得済み)のリード」に分類する。匿名なのか獲得済みなのかで、やり方は大きく変わってくる。
「匿名」は、まだMAにデータが登録されていないリードのため、アプローチに使えるデータはアクセス履歴のみだ。匿名のパーソナライズでは、訪問回数とアクセスページ(興味範囲)の掛け合わせがキーになる。
たとえば、製品事例を見るにはフォーム登録が必要だったため離脱したが、翌週もまたサイトに訪れた人。事例に興味を持っているこの来訪者に、再度フォーム登録を勧めるのか、資料請求を勧めるのか。どちらが有効かをテストしながら最適化していくのが効果的だという。
逆に、過去にイベントや資料請求フォームに登録していたり、メールマガジンを受け取ったMAに登録済みのリードでは、多くの情報を使うことができる。ただ、あまりに細かなターゲティングをしても改善サイクルを回すのが難しくなる。
そのため、パーソナライズをするための準備として、購買のフェーズを分類することが第1段階となる。よく使われるフェーズの分類は、次のような条件だ。
- 商談:アポ、商談中
- 比較検討層:資料請求後3カ月以内
- 関心層:ホワイトペーパーのダウンロード・ウェビナーの申し込みから3カ月以内/資料請求から6カ月以内
- 興味フェーズ:半年以内に2ページ以上閲覧したサイト来訪者
- 認知フェーズ:メール配信の許可のみ
このようにフェーズ分けをすると、来訪者に合ったコンテンツを出し分けし、適切な誘導ができるようになる。
すでに同じことをセグメントメールで実施している企業も多いだろう。それをウェブサイトでも実施するのだ。
村尾氏は、「メールだけでなくウェブサイトでも同じようなフォローないしABテストをしていただきたい。イベントでリードを獲得した方がウェブサイトを来訪したら、ウェビナーに誘導するパターンと資料請求に誘導するパターンを出し分けて、どちらが効果的かを実験していく。メールと同じようにABテストをすることで、ウェブサイトのパーソナライズはより効果を発揮してきます」と話す。
メールでは表現力が弱く伝えきれない情報をウェブサイトで伝え、その先のアクションを振り分ける。その結果、どれが商談につながるか、どんな誘導の流れが最適なのかをテストしていくのだ。
フェーズの引き上げも重要 経営陣からの「マーケはどうなの?」に的確に答える
リード獲得は非常に重要な施策だが、マーケティングのすべてではない。マーケティング部門が会社に期待されているのは、リードの獲得だけではなく、購買プロセス全体の管理だ。つまり、リードの獲得とフェーズの引き上げをセットで実施して、購買プロセス全体を大きくしていく必要がある。
その際、認知から商談までの各フェーズにそれぞれ何人、何社の企業がいて、商談はどのくらい生まれているのか、その増減の推移をきちんと把握することが大切だ。これができていないと、経営陣や事業部長からの「マーケティング全体の状況はどうなの?」という問いに窮することになる。
これがつかめていると、「新規獲得はできているが引き上げが弱い」「ここの獲得が増えているから、より最適化をして引き上げを実行しよう」「引き上げはきちんとできている、問題は獲得だ」など、取るべきアクション見えてくる。ピラミッドの分布と推移を追いながら、見える化することが次の一歩につながる。
状況が見える化されていると、「マーケティング全体の状況は?」と聞かれた時に、「興味関心層の獲得は順調です。ただ、関心層から比較検討への引き上げが課題なので、やはり動画コンテンツが必要だと考えています。ですので、予算が要ります」などと報告できる。
「ぜひ経営陣のみなさまとマーケティングの状況を確認し合い、場合によっては予算がこのくらい必要ですなどと説得して、いろいろな施策を実行してほしいです」(村尾氏)
ウェブサイトは会社全体のもの。だからMAツールが必要になる
もちろん、ウェブサイトはリード獲得だけのためにあるわけではない。採用においても重要な意味があり、上場していればIRにも必要だ。広報の役割もある。社内の関係者がそれぞれ最善の活用を目指し、さまざまな調整をすることでウェブサイトは作られている。
よって、紹介された施策をしたくても「製品ページなら使えるけど、リード獲得のためにTOPページを頻繁に更新するのは難しい」などの事情もあるだろう。そんな時、シャノンのMAツールのパーソナライズ機能が活躍する。
いつ・誰に・どんなコンテンツを表示するかを設定し、Googleタグマネージャーなどでウェブサイトにタグを入れる。すると、ウェブサイトにポップアップや埋め込みコンテンツが表示されるようになる。
このように、シャノンを使うとウェブサイトで多様な試みを手軽にできるようになる。リード獲得済みでウェビナーに参加してくれたAさんがウェブサイトに来たら、ウェビナー参加特典をつけて資料請求に誘導したり、イベントでリードを獲得したBさんにはウェビナーと資料請求のどちらに興味を示すかABテストをしてみたり。製品ページを閲覧しただけでまだリードを獲得できていないCさんにはホワイトペーパーを勧めてみたり、といった具合だ。
誰がどれくらいクリックしたかも確認できるため、クリエイティブを変えてみよう、訴求メッセージを変えてみようなどの検討もできる。
「リードは獲得しっぱなしではいけません。獲得した人たちの購買フェーズを引き上げる施策もあわせて実施してください。そして、購買プロセスの全体管理をマーケティング部門が牽引していってほしいですね」と言い、村尾氏はセッションを結んだ。