チャネル・オンライン・組織を超えた視点を持っているか?
5つのポイントのうち「見る」が、最重要項目であると熊村氏は力を込める。これは、一段高い視座からマーケティング業務を見ることだ。
高い視座を具体的にすると、「Beyond Channels“チャネル”を超えた視点」「Beyond Online“オンライン”を超えた視点」「Beyond Organizations“組織”を超えた視点」の3つある。
「デジタルだけではデジタルマーケティングはできない」と言い切る熊村氏。これらの視点を持つことができているか、次の項目をマーケターに問いかける。
チャネルを超えた視点
・あなたのデジマは特定のチャネルに偏っていませんか?
・各チャネルの戦略・オペレーション・担当者・ゴール・KPIがバラバラになっていませんか?
・自分の担当していないチャネルがどうなっているか把握していますか?
オンラインを超えた視点
・あなたのデジマはオンライン接点だけをつないだカスタマージャーニーになっていませんか?
・オフライン上の行動データがデジタル施策にも活用されていますか?
・そのデジタル施策はオフライン上のビジネスにきちんと貢献していますか?
組織を超えた視点
・あなたのデジマはものすごく狭いスコープになっていませんか?
・コマースやサポートが自分たちと関係ないものだと思っていませんか?
・組織の都合だけではなく顧客の都合で体験をデザインしていますか?
これらを問い直し、未達の項目をクリアしていくことで、マーケターの視座は高まっていくのだ。
カスタマージャーニー設計は一直線ではない
「聴く」「集める」「話す」「応じる」「見る」。5つのキーワードを意識し、すべてのプロセスが顧客体験の一部である前提の上で、顧客中心のカスタマージャーニーを設計すると、その形は一直線に描けないことがわかってくる。
認知から興味関心・情報収集・比較検討がぐるぐると回り、決定的瞬間を経て購買に至りまだ見ぬ顧客から顧客となる。そして、そこから定着化とLTVの長期化という新たなジャーニーが始まる。この2輪構造を意識することが重要だ。
「例えばEコマースは購買だけを考えればよかったかもしれません。しかしこれからは前後を見る必要があります。つまり、担当者の境界は消えてきています」(熊村氏)
1人の顧客に質の高い体験を提供するためには、あらゆる部門・担当者が一丸となって、まだ見ぬ顧客に対して顧客化前のCRMを作成し、セグメント化しながら広告出稿を最適化していき、購買を後押しし、顧客になった後も関係を強化していく必要がある。
実現のためには、当然一元化された基盤も必要だ。「セールスフォースでは一元化のための手だてが揃っています」と熊村氏は語り、具体的なソリューションを紹介に移った。
最後に熊村氏は「デジタルマーケティングをより戦略的に進めていくために、これまでより一段高い視座で臨む必要があります。そのお手伝いをセールスフォースはしていきたい。お困りの際はご相談いただければ」と力強く語り、講演を終えた。