ここ数年で名だたる企業がPull型マーケティングを強化
Welcia、ヤマト運輸、吉野家など、日本でも様々な業界の企業においてYextのソリューションの導入、およびPull型マーケティングの強化が進められている。廣川氏はその理由を「SEO対策ではなく、検索が重要になってきたから」だと語る。
「情報を“構造化”することによって一元管理が可能となり、広告換算以上の効果が見込めます。顧客が求める情報を正しく発信していくための構造化は、Pull型マーケティング中でも特に重要なキーワードです」(廣川氏)
廣川氏は今最も企業に求められているという「検索対策」について、順を追って解説した。
「Push型」の低迷と検索数の大幅な増加
何かを知りたいと思った時、能動的に行っている「検索」という行動。廣川氏の示すデータでは、企業のウェブトラフィック流入元のうち、検索を通してのサイト流入は62%と高い数値になっている。
テレビCMやWeb広告が起因となり、興味が湧くことで「検索」をするのは習慣となっているが、企業にとっては「顧客が求めている情報を正確に返す」という当たり前の体験が重要になってくるというわけだ。
さらに廣川氏は、Push型マーケティングは効力がこれまでになく低下傾向にあるというデータも示した。過去に行われた調査で、消費者がメールの購読の解除したことがある割合は96%、何らかの形で広告を避けている割合は74%、広告ブロッカーの使用率は47%だったという。
「Googleは2022年までにサードパーティクッキーを段階的に廃止していくと発表しています。リマーケティングやリターゲティングなどのデジタル広告に代わる手段として、ユーザーの検索の意図を理解して情報を提供することの重要性が高まっています」(廣川氏)
またガートナーも2025年までに80%のマーケターがパーソナライゼーションの取り組みを放棄すると予測しており、今後は「顧客が検索した時に答えを返していく」ことがより求められるという。
では、Pull型マーケティングをめぐる状況はどうだろうか。廣川氏によれば、年間のGoogle検索数は16年のうちに約300倍に膨らみ、音声アシスタントの利用(音声検索)も3年の間に3倍以上に増えている。
意図を捉えるマーケティングの重要性
これらの検索にある意図を捉えることが、マーケティングにとってなぜ重要なのだろうか。廣川氏はまず、コンバージョンと検索の単語数の相関関係を示した。
次のグラフの通り、「牛丼」「ランチ」といった単体のキーワードでは検索結果における企業・ブランド間の競争が激しくなり、コンバージョンしにくい。一方、「虎ノ門・ランチ・ワンコイン」といった3単語以上だと購買意欲が高く、検索エンジンによるランク付けもしやすくなるため、コンバージョンしやすくなる。事実、検索の70%は3単語以上で構成されているという。
「短いフレーズのキーワードよりも3単語以上のロングテールはコンバージョンが2.5倍高いデータもあります。顧客が求める検索結果に対して、正しい情報を返すところがYextの目指すところであり、ユーザーも求めているところと考えます」(廣川氏)