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湯川鶴章の先端ネットマーケティング通信

オムニチュアはパーソナルなマーケティングを可能にする─CEOインタビュー


このコーナーでは、時事通信社編集委員 湯川氏の米国取材記事を一部転載しています。今回からアクセス解析ツールとして有名な「オムニチュア」のCEO、Josh James氏のインタビューを掲載していきます。 【バックナンバーはこちらから】

オムニチュアCEOインタビュー

 少し前になりますが3月に米ソルトレークシティで開催されたオムニチュア・サミットを取材してきました。何回かに分けて、その際のレポートをアップします。まずはオムニチュアのCEOのJosh James氏のインタビューです。

究極のマーケティングとは

 --マーケティングの究極の未来とは、どのようなものになるでしょうか?

 すべてはカスタマイズされた経験になると思う。

例えれば、次のような感じだ。スーパーマーケットには幾つも売り場があるけれど、今日のように売り場を歩いて回る必要がない。お店に入れば、売り場自体があなたに合わせて形を変えてくれる。あなたが過去に買った商品が自動的に1つの売り場に集まってくる。そんな感じだ。また過去に買った商品に混じって、あなたが気にいるかも知れない商品も並べられる。

 こうしたことが実現すれば消費者も喜ぶし、スーパーマーケットにもいいビジネスになる。何もスーパーマーケットだけの話ではない。オンラインのコンテンツであれ、オフラインの商品であれ、あらゆるものが自分にとってカスタマイズされたものになる、というのが究極の姿だろう。オンラインとはウェブのことだけではない。オンラインとは、ネットワークにつながっているすべてのものだ。

 またインターネットはウェブサイトが中心の現状の形から、ウィジットが中心の状況に変化していくだろう。ウィジットはウェブサイトの延長として、ユーザ一人ひとりにターゲットされた情報を出すようになる。

 広告も同じで、ターゲティングされパーソライズされたコンテンツになると思う。オフラインの世界でも、街頭の広告のQRコードをケータイで読み取ることで、オンライン同様にカスタマイズされた情報を受け取ることができるようになるだろう。

 企業にとってすばらしいことには、何がうまくいって、何がうまくいかないのかというフィードバックを受け取ることができるということだ。このフィードバックを受け、企業は消費者に的確な情報を送れる。ノイズは減少するわけだ。

「テレビ」と「広告」の未来

 --テレビのようなメディアはどのような形になるのでしょうか?

 究極の未来には、われわれが知っている形での「テレビ」というものは存在しなくなる。未来のテレビは、一方通行の放送ではなくなる。放送と通信が融合したときには、テレビ局側は視聴者の情報をたくさん持つようになる。視聴者側もテレビ局に自分の情報を手渡すことになるだろう。

 わたしがテレビを見ているときに、女性向け商品のコマーシャルには興味がない。わたしの趣味嗜好や、過去の購買履歴を基に、わたしが興味を持つようなコマーシャルを流して欲しい。未来のテレビはこうした要望にも応えてくれるものになっているだろう。

 -−広告の未来は、どうなるのでしょうか?

 広告はなくならないだろうが、重要性は著しく減少するだろう。広告と360度マーケティングのバランスは、360度マーケティングのほうに急速に傾くだろう。

 それはなぜかというと、消費者の声のほうが重要になるからだ。今までは消費者がメーカーに意見を言いたければ、カスタマーセンターに電話するか、手紙やメールを送るしかなかった。でもそんなことをしてまで意見を言う人はそんなに多くなかった。

 しかし今では技術革新のおかげで、簡単にフィードバックできるようになった。また多くの人のフィードバックを集めることで傾向を把握できるようになった。製品のレビューを読む人も増えた。優れた製品と消費者が評価した製品がさらによく売れるようになった。消費者の声が非常に重要になりつつあるというこだ。

他のシステムとの連携が可能

 -−オムニチュアはウェブ解析でも優れているが、他社製品と比べて他のシステムと連携できるところがすばらしいという声を聞いた。他のシステムとの連携で代表的な例を教えてもらえませんか?

 2つの例をお教えよう。1つは、あなたが電子機器を販売しているサイトを運営していたとする。あるお客さんがサイトにアクセスしてきた。サイトの過去の記録から、彼は過去にデジタルカメラを買っていることが分かる。彼のメールアドレスなどの情報も記録されている。今回はノートパソコンのページにアクセスしてきた。特定の機種に興味があるらしく、同じ機種の色違いの写真を見比べている。

 それでも、このお客さんは購入にいたらなかった。そこで2、3日後に「特別セール!今買えば5%off」とか「今買えば、オプションのメンテナンス保証が半額です」というようなメールを送る。われわれ消費者は、多かれ少なかれ衝動買いするだろう。こういうメールを送ることで、購入してもらえる可能性があるわけだ。これは非常にパーソナルなマーケティングになる。

 今までのシステムでこういったことをしようと思えば、非常に大変だった。データマイニングを行って、多くのユーザーIDを探し出し、CRM(顧客関係管理)システムも検索し、メールアドレスを探し出さなければならない。

 オムニチュアの連携ツール「ジェネシス」を使えば、オムニチュアのウェブ解析ツール「サイトカタリスト」と、他社のメールマーケティングシステムを連動させ、こうしたワン・ツー・ワン・マーケティングがすべて自動でできるようになるわけだ。もう1つの例は、エンゲージメント分析、エンゲージメント・マネジメントと呼ばれる領域の話。複数の広告がどのように最終的に購買に結びついたかを分析するのだ。

消費者は商品情報に何度も接触して購入を決める

 われわれ消費者は、過去に購入したことのある物以外は、最初の情報だけで購入を決めない。その商品に関する情報に何度か接触する中で、購入の意識を固めていくものだ。

 例えば、わたしがiPhoneを購入したときに、最初にiPhoneのことを知ったときに買ったわけではない。広告も目にしたし、店頭へ行って触ってもみた。ニュースやブログも読んだ。友達とも話をした。その後も、3回、4回と広告を見た。そうすることによってようやく買いたいと思うようになって、 googleでiPhoneを検索し、iPhoneを売っているサイトに行って購入た。つまり少なくとも4、5回はiPhoneの広告に接しているわけだ。

 今は、購入の直前のキーワード広告だけが評価されているけれど、実際にはバナー広告なども購買意欲を高めることに十分貢献している。そのことを考慮して、バナー広告などにも予算をうまく分散すべきだろう。そうしたニーズに応えることが、複数のシステムを連携させることで可能になっている。

 ダブルクリックの広告配信サーバーに「ビュースルー」と呼ばれる機能がある。特定のユーザーを追跡して同じ広告を何度見たかを把握できる機能だ。これをオムニチュアのウェブ解析ツール「サイトカタリスト」と連携させることで、購入に至るまで同じ製品の広告に何度触れたかが分かる。

 ユーザーがアップルストアのiPhoneの購入ページで「購入」ボタンをクリックするまでに、ウェブ上でダブルクリックが配信するiPhoneの広告を何度目にしたかが分かるわけだ。これら途中の広告は、直接の購入にはつながらなかった。でもブランディングに効果はあった。

 過去にブランディング広告の効果を測定できるツールはなかった。自社以外のサイトでの広告の効果を測るダブルクリックのツールと、自社サイト内での販売の記録を解析するオムニチュアのツールが連携することで、初めて可能になったのだ。これは非常に画期的なことだ。

 広告を何度見れば購買につながる確率が高いのかが分かれば、広告の打ち方も変えることができる。例えば、広告を2回見た人の50%は購入していることが分かったとしよう。3回だと75%まで上がるのに、4回見た人で購入した人は70%に下がっている。こういう結果がでれば、4回以上の広告配信の予算は無駄ということが分かる。

 そこでダブルクリックの広告配信サーバーで、1ユーザーに配信する広告は3回が上限、というように設定すれば、効率よく広告予算を運用できるわけだ。こうしたことが、2社以上のツールの連携で可能になっている。

 --でもダブルクリック1社がネット上のすべてのサイトに広告を配信しているわけではない。ほかの広告配信会社とも連携する必要があるのでは?

 もちろんその通りだ。まずは大手の広告会社から連携を始め、いずれすべての広告会社と連携できるようにしていきたいと考えている。

このインタビューの続きはこちらからお読みください!

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この記事の著者

湯川 鶴章(ユカワ ツルアキ)

米国放浪中に新聞少年のような仕事につき、気がつけば報道の世界に入っていた変り種。シリコンバレーの黎明期からIT産業を中心に取材をし、2000年5月に帰国。現在、時事通信社編集委員。それでもってブロガーであり、ポッドキャスター。性格は極めて優柔不断だが、結構まじめ。謙虚だが思い上がるところもある。主な...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/05/12 19:42 https://markezine.jp/article/detail/3590

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