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Cookieベース vs クッキーレスのターゲティングを比較!日産×Teadsの挑戦とその成果

 Web広告分野で進む3rd Party Cookie規制。多くの企業が、Cookieが使えなくなるクッキーレス時代に向け、新たな広告技術を模索しているが、いち早く対応を始めているのが日産自動車だ。2020年4月、同社はインリード広告の広告配信プラットフォームを持つTeadsとグローバル・ディール・パートナー契約を結び、同年7月から日本国内でTeadsを活用したキャンペーンを展開。従来のCookieベースのターゲティング配信と、Teadsが提供するCookieを使わない「コンテキストターゲティング」で比較検証を行ったという。日産自動車 日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部の塚原幹也氏にその成果を聞いた。

2020年、Teadsとグローバル・ディール・パートナー契約を締結

 1933年創業の日産自動車(以下、日産)は、創業以来「他がやらぬことをやる」という精神を掲げ、自動車業界の技術発展をけん引してきた。たとえば電気自動車分野では、高いバッテリー性能を持つリチウムイオン電池を1990年代から採用し、2000年以降も高パフォーマンスの蓄電池と自動車性能の向上に努め、この分野の研究・開発を先行してきた。このように、「技術の日産」というブランド力を背景に、様々なライフスタイルに合ったクルマをターゲット層に適切に提案していくのが、同社のマーケティング部隊の役割だ。

 日産自動車 日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部の塚原幹也氏は、メディアグループに所属し、媒体社とのリレーションシップを通じて、ブランド訴求とマーケティングの推進、およびビジネスへの貢献に努めている。

 「私たちのグループは、日産ブランドの復活を目指す一方、『人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける。』というコーポレートパーパスを消費者に届け、各車種モデルのマーケティングの一旦を担い、マーケティングのみならずビジネスに貢献することが求められています。具体的にいえば、新聞や雑誌、テレビなどのメディア全体を見て、収益ゾーンの高さやセールス状況など様々な市況を鑑みて投資を検討し、メッセージを届けることがミッション。私はそのなかで、特にデジタルメディア領域においてパフォーマンスの良いメディアを抽出し、新しい取り組みを積極的に採用してメッセージを発信する等のマーケティング活動の一端を担っています」(塚原氏)

日産自動車株式会社 日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部 塚原幹也氏
日産自動車株式会社 日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部 塚原幹也氏

 日産が、フランス発の広告プラットフォームのTeadsとグローバルパートナー契約を締結したのは、2020年4月のことだった。

多彩なクリエイティブ、クッキーレスのターゲティングに期待

 日産がTeadsを評価した第一の理由は、リッチなクリエイティブフォーマットだ。Teadsのインリード広告のフォーマットは多彩な表現力が特徴で、さらに社内にも戦略やキャンペーンの目的に応じ、様々なソリューションを提案する知見がある。従来のデータターゲティングを活用した配信や、ブランドリフトサーベイなどの分析も行える。

 そしてもう1つ、Teadsは、Cookieを使わない独自のターゲティング手法を持っていることも大きなポイントだった。その手法とは、(1)オーディエンスターゲティングと、(2)コンテキストターゲティングの2つのこと。(1)は、Teadsが独自で蓄積したデータを基盤に、オーディエンスをリアルタイムにプロファイリングして、マーケットのリードイニシアティブであるUnified IDや、Google Privacy Sandboxなどのソリューションを掛け合わせて、クッキーレスのターゲティングを実現する技術。(2)は、従来のキーワードターゲティングではなく、広告を掲載する記事の文脈を独自に解析して、500以上のTeads独自のセグメントに分類してターゲティングを行う手法だ。

 「日産社内としても、今後本格化するクッキーレス時代に向けて、『注意してメディア戦略を立案しよう』という動きがありました。そのため、Teadsの持つ多彩なリッチフォーマットやソリューションと共に、クッキーレスターゲティングに大きな魅力を感じました」と塚原氏。

 日産とTeadsのパートナーシップはグローバルで締結したもので、日本国内では日産 日本マーケティング本部と、Teads Japanが国内市場の特徴を見ながらローカライズし、クリエイティブ制作やプラン策定に当たる。特に目前に迫ったクッキーレス時代に向け、日産が採用したのが、コンテキストターゲティングによる広告配信だ。

 果たしてコンテキストターゲティングは、Cookieベースのターゲティングと比べて効果に違いはあるのか。そこで日産とTeads Japanは、2020年9月〜2021年2月にかけ、「日産ルークス(ROOX)」(以下、ルークス)のプロモーションに当たり、コンテキストターゲティングとCookieターゲティング配信でA/Bテストを行った。

クッキーレスでも配信効率は良好、広告の再生完了単価はより安価に

 「先進技術で、家族はもっと楽しめる」というメッセージで展開するルークスは、高速道路走行をアシストするプロパイロット機能や、足を使ってスムーズにドアを開閉できるハンズフリーオートスライドドアなどを搭載し、若い世代に人気の軽自動車だ。

 「今回のプロモーションでは、育児世代の若年ファミリー層をターゲットとし、1つはTeadsのコンテキストターゲティング、もう1つは従来のCookieによるデモグラターゲティングで配信を行いました」と塚原氏は説明する。

 コンテキストターゲティングでは、ターゲティング層を明確にするために、キーワードやカテゴリーを選択できる。今回は育児中の若い夫婦に向け、「Family & Parents」というカテゴリーを選択した。

 広告配信終了後に成果を確認したところ、全配信の半数以上が「Family & Parents」に属するWebサイトに掲載されていることがわかった。そこで、掲載コンテンツの内容をより深堀したところ、子育て層が関心を持つ「エデュケーション」や「ヘルス」のカテゴリーを中心に配信されていることがわかった。特にヘルスのカテゴリーに関しては、平均に比べて2.5倍高く配信されていたという。

 塚原氏は「我々が今回のプロモーションでメインターゲットとしたビギニングファミリーと親和性の高い掲載面に広告が表示されていたことがわかりました」と、成果には満足した様子を見せる。また実際に広告に接触した人(ユーザーインサイト)を調べたところ、ターゲットである若年層夫婦が多く含まれていることも確認できた

 その成果は、視聴時間にも反映されている。一般にソーシャルメディアの動画広告の平均視聴時間が1.7秒といわれるなか、今回のルークスでは、横長の動画広告(ランドスケープビデオ)の視聴時間が平均の4倍越えの7.3秒だったそうだ。

 コンテキストターゲティングは、「人」ではなく「コンテンツ」をターゲティングする手法だ。今回の検証により、想定したターゲットにしっかりリーチできていることが判明したので、「今後につながる良い検証になりました」と塚原氏は評価する。

 「Teads以外のほかの動画プラットフォームでも広告を配信して成果を比べましたが、動画の再生完了率も、Teadsと他社で遜色ない成果が出ています。なお、再生完了単価でいえば、他プラットフォームよりも安価という結果が出ました。誘導効率という観点でも、これまでと比較したところ、良いパフォーマンスを発揮できていると思います。今後クッキーレスが本格化した時の可能性としても、プロモーション手段にコンテキストターゲティングを活用できるのではないかと考えています」(塚原氏)

ブランドセーフティを担保した広告配信を実現

 塚原氏が、今回の検証で良かったと挙げる点がもう1つある。それはTeadsのプラットフォームでブランドセーフティがきちんと担保されていることが、改めて確認できたことだ。

 日産では、独自のホワイトリストを持っており、キャンペーンではそのリストを基に配信設計を立てる。今回はこのホワイトリストをTeadsと連携しながら配信を行ったが、これに加えてTeadsプラットフォームではプレミアムな枠や編集記事など実際の掲載面を視認できるので、広告配信に当たってブランド毀損のリスクはほとんどなかったという。

 ちなみに同社は、動画広告についても、メッセージを伝えるための強制視聴は基本的には行わない方針で、これもTeadsのフォーマットと合致する。「スルーされるリスクはありますが、強制視聴はやはりネガティブな印象を持たれる可能性も少なからずあるので、理想的な形で広告の出稿ができていると感じています」と塚原氏は話す。

質の高いユーザーを獲得できるTeadsのクリエイティブフォーマット

 クッキーレスの配信については一定以上の成果を得たが、Teadsのもう1つの特徴であるリッチな表現力を持つクリエイティブフォーマットについては何か成果が出ているのか。

 この点に関し、塚原氏は「ちょうど2021年3月現在、日産セレナ(以下、セレナ)のプロモーションや、その前には新型車キックスのローンチプロモーションなど、いろいろな車種・モデルでTeadsのクリエイティブを活用しています」と説明する。なかでもユニークなクリエイティブが、セレナで展開している「スワイプカルーセル」だ。

上記クリエイティブにカーソルを合わせていただくと、左右にスワイプができます。こちらのスワイプカルーセルのデモはモバイルでもお試しいただくことが可能です。QRコードはこちらから読み取りをお願いします。
上記クリエイティブにカーソルを合わせていただくと、左右にスワイプができます。こちらのスワイプカルーセルのデモはモバイルでもお試しいただくことが可能です。QRコードはこちらから読み取りをお願いします。

 スワイプカルーセルは、ユーザーが広告画像や動画をスワイプすると、表示されるカルーセルを次々に切り替えられるインタラクティブな広告クリエイティブのこと。1つのバナーの中で、多様な情報を訴求できるので、「まだ展開中で詳しい分析はこれからですが、単純な1バナーのインプレッションより、セレナの様々な魅力を伝えられる訴求効果があると考えられます」(塚原氏)という。

 広告を見たユーザーがスワイプするということは、それだけその広告に興味があり、より高いエンゲージメントを創出していると推測できる。スワイプして興味を持ったら、日産のWebサイトに飛んでさらに詳しい情報を読んでくれるので、誘導率は高い。そして、その分誘導単価は低くなるため、結果誘導効率が良い。また、間違ってバナーをクリックし、Webサイトやランディングページに誘導された場合、滞在時間は短く直帰率が増える傾向があるが、スワイプカルーセルによる誘導だと、滞在時間も長くなることがわかってきた。

 「やはり、バナーが表示された時点で動画を見せたり、インタラクションを起こしてもらうことで、リンク先のコンテンツをきちんと読んでいただいたり、理解を深めたりなどの効果が生まれたと思います。これにより、『質の高いお客様を獲得できているのではないか』ということが現時点では見えています」(塚原氏)

今後はビジネスに直結するKPIも見て成果向上を目指す

 デジタル広告におけるクッキーレスが本格化するなか、Teadsのソリューションや広告クリエイティブは、ターゲットとする層のなかでもより質の高いユーザーを獲得できることが、これまでの検証から見えてきた。これを受け、日産では「グローバルでパートナー契約を結んでいることもありますが、これからの時代を見据えた時、Teadsは非常に優れた広告ソリューションだと期待できます」(塚原氏)と評価している。

 ただ一方で、塚原氏は「広告配信をして、単に直帰率の低減や滞在時間の向上、誘導効率の改善だけで満足しているわけではありません」とも語る。

 「冒頭に説明したように、私たちの事業部には、ブランド力の向上とビジネスへの貢献、昨今の状況も鑑みた多角的なマーケティング活動が求められています。今回の検証により、ユーザーへの訴求力や、理解度の向上といった成果はある程度手応えが得られたので、今後はビジネスに直結するようなよりLower Funnelのオンライン上のKPIも確認しつつ、オフラインにおける行動変容などを捉えられるように工夫をし、ビジネス成果をしっかり把握して戦略立案を進めたいと思います」と塚原氏は意欲を見せている。

日産 塚原氏(写真左)と今回のプロモーションを担当したTeads Japan アカウントマネージャーの尹 里帆氏(写真中央)、Teads Japan Head of Salesのセルビー 健三氏(写真右)(撮影日は緊急事態宣言解除後に撮影され、)撮影時のみマスクを外しています。
日産 塚原氏(写真左)と今回のプロモーションを担当したTeads Japan アカウントマネージャーの尹 里帆氏(写真中央)、Teads Japan 営業部長のセルビー 健三氏(写真右)
※緊急事態宣言解除後に撮影され、撮影時のみマスクを外しています。

クッキーレスへ向けた知識習得&役立つホワイトペーパーのDLはこちらから

Teadsでは年間を通し、特設サイト「Teadsクッキーレスサイト」よりセルフラーニングが可能です。クッキーレスへ向けた知識の習得やホワイトペーパーのダウンロードが可能ですので、ぜひご活用ください。

Teadsクッキーレスサイト

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/05/31 10:00 https://markezine.jp/article/detail/36097