Yahoo!広告の効果向上に効く3つの改善策とは
MZ:では、マッチタイプ、アカウント構造、自動入札の未導入という3つの課題に対し、どのような対策を行ってきたのか教えてください。
青山:マッチタイプに関しては、完全一致で絞り込んだキーワードは踏襲しつつ、獲得につながりそうなキーワードを部分一致で1つずつ追加して検証することを繰り返し、段階的にキーワードを拡大しました。また、部分一致を単一ワードで行った場合、関係のないキーワードでの流入も起きやすいので、クエリの除外も細かく行いました。
部分一致で拡張すべきキーワードの精査というのは、定期的にモニタリングする必要もあり非常に工数がかかります。インハウス運用ではカバーするのが大変な部分を我々が担うことでバリューを出せたと思います。
またアカウント構造に関しては、自動入札がワークしやすくなるよう統合を進めました。具体的には、キャンペーン数が多く細分化されたところをまとめて、一部別でモニタリングしたいキーワードに関しては切り出して運用する形をとっていました。
そして自動入札に関しては、これまで細かく手動で運用していたことと、確定申告が近いなど時期的要因もあり、いきなりすべて自動入札にするのは抵抗があるとfreee様より相談いただきました。そのため、会計領域なら確定申告などの繁忙期が来る前に検証を実施し、パフォーマンスを確認した上で自動入札の導入を進めました。
MZ:ちなみに、部分一致のキーワードは、どのようにして探してきたのでしょうか。
青山:Yahoo! JAPANの持つビッグデータを活用しながら候補を洗い出しました。たとえば、会計領域の最大繁忙期である確定申告の始まる数ヵ月前から、「確定申告」とどのようなキーワードを掛け合わせて検索するユーザーが多いのかを調べ、アプローチしておくべきキーワード候補をfreee様に提案しました。
コロナ禍の影響もあり、新たなキーワードとして「副業」や「eTax」、「ふるさと納税」の検索ボリュームが伸びていたことから、拡大を検討しました。
登録→課金の自動レポーティングを実現
MZ:3つの改善以外に、工夫した点があれば教えてください。
青山:今回の事例で成果を出すために欠かせない工夫として、KPIの変更が挙げられます。元々freee様はアカウントの登録数と課金数をKPIとしていたのですが、課金数はCookieベースの登録のため、レポートの正確性が低く、正しく登録から課金への移行をモニタリングできていない状況でした。
そこで、我々がユーザーの登録から課金までの動きをモニタリングできる仕組みを構築し、LTVの可視化を実現しました。KPIを「登録」から「予測LTV」へと変更し自動入札のシグナルとして活用できる環境を整えたことで、自動入札を利用した理想的な運用にスイッチすることができました。
MZ:阿南様はこのKPIの変更に関してどのように感じていますか。
阿南:事業としては売上につながる「課金」を最大化したいです。ただ登録から課金のタイムラグがあることを踏まえると自動入札で課金を最大化するのは難しいと考え、自動入札の導入を避けていました。
しかし、今回アイレップ様の提案では自動入札で登録数を伸ばしつつ、きちんと登録から課金をシームレスにモニタリングできる仕組みを導入いただいたことで、Yahoo!広告運用が大きく改善できました。