1日平均利用時間が2時間を超えるサービスに
――まず、Spotifyの直近のユーザー状況について教えてください。
Spotifyは、スウェーデンで2008年にローンチして以降成長を続けており、現在178ヵ国でサービスを展開しています。月間アクティブユーザー数はグローバルで3億5,600万人(2021年3月時点)、その内、広告枠が存在するフリーユーザー数は2億800万人(2021年3月時点)となっています。
そして、国内のユーザーに関しては、55.3%が35歳以下(2020年12月時点)となっており、女性が55%(2020年12月時点)という状況です。視聴デバイスに関してはスマートフォンが93%(2020年12月時点)、平均視聴時間は1日あたり124分(2020年12月時点)となっています。1日2時間近く使うサービスというのは多くないと思うので、非常に特徴的だと思います。
日本でもローンチから5年を迎えますが、日本でのサービス開始当初は、10代~20代の新しいサービスに感度の高い方が多く占めていましたが、45歳以上の利用者も25.6%(2020年12月時点)と増加し、現在は様々な世代の方に聞いていただけるようになり、世に広く普及してきたフェーズだと考えています。
深い没入感がブランディング効果をもたらす
――Spotifyの広告プラットフォームとしての特長を教えてください。
まず、深い没入感の高さが挙げられます。私たちの調査では80%以上の方がヘッドホンやイヤホンで音楽やポッドキャストのコンテンツを楽しんでいます。非常にパーソナルな環境に対し音声広告や動画広告を配信することができるため、ブランディングに効果があることもわかっています。
そして、柔軟かつ詳細なターゲティングが可能なことも特長です。性別・年齢・曜日・時間・地域はもちろん、ポップやロックといった聞いているジャンルやプレイリストの種類でのターゲティングも可能です。さらに、聴取データをもとに推定したオーディエンスセグメントでは、スポーツ好き&健康志向、エンターテイメント関心層といった特定の嗜好性を持つユーザーにアプローチすることが可能です。
効果に関しても、ブランドリフト調査を通じて好意・関心・利用意向といった数値を測定することができます。
音声広告に関しては、すでに様々な取り組みが進んでいます。たとえばモンデリーズ様の事例では10代から20代をターゲットに「ガムを噛む」ことをクールな習慣として伝えるためのクリエイティブを複数パターン作成し、音声広告の効果を検証しました。
その結果、好意・関心・利用意向などの指標がすべてリフトし、広告を聴いた後に80%以上のユーザーが検索や商品購入といった何らかのアクションを行ったことが明らかになっています。
91.7%の完全視聴率を誇る動画広告
――現在動画広告に関しても出稿する広告主が増えていると聞いています。音声コンテンツを聴いているユーザーに対し、どのような形で動画広告を配信しているのでしょうか。
Spotifyでは、アプリへの関与をリアルタイムで把握することが可能なので、ユーザーがアプリ画面を見ていることが確認された時にのみ、動画やディスプレイ広告を配信しています。また、再生ボタンを押すタイミング、プレイリストの切り替え時、楽曲間のブレイクに配信するため、ユーザー体験も損なわない形になっています。
そのため、ビューアビリティと完全視聴率が高く、MOATの調査では、業界のベンチマークが77%のところ、91.7%の完全視聴率という結果が出ています。
――90%を超える完全視聴率は非常に高いですね。なぜそこまで高い完全視聴率になるのでしょうか。
ユーザーがSpotifyの画面を見ているタイミングを判別していることと、能動的にサービスに関わっている状態であることが、非常に高いビューアビリティと完全視聴率につながっていると考えています。
他広告のクリエイティブも流用可能
――動画広告のフォーマットはどのような形になっているのでしょうか。
基本的には16:9のアスペクト比(一部縦型動画も対応)で最大30秒の動画素材であれば、対応できます。また、動画広告内にCTAボタンを設置することができるため、任意のキャンペーンサイトやアプリストアに遷移させることも可能です。
音声広告の場合はSpotify用にクリエイティブを制作するケースが多いのですが、動画広告であれば他のプラットフォームで出稿しているものを活用していただくことも可能です。ですので、音声広告のハードルが高い場合には、すでにある素材を活用して動画広告からSpotify広告を始めていただくのがおすすめです。
――配信方法に関してはいかがでしょうか。
配信に関しては、純広告と運用型(プログラマティック)広告での配信が可能です。純広告であれば、Spotifyの持つターゲティング機能をフル活用することができますが、運用型(プログラマティック)広告の場合は、各PMPやDSPの条件に依存し、Spotify側で設定可能なターゲティングに制限があります。しかし、多くのプラットフォームで年齢・性別、プレイリスト、ジャンルでのターゲティングが行えます。
Spotifyで動画広告の効果を高める方法
――配信するクリエイティブで気を付けるべき部分があれば教えてください。
Spotifyの場合、動画広告内でCTAを置くのはもちろん、耳に集中しているので、伝えたいメッセージを明確にする音声でのCTAが非常に重要だと思います。
また、音声広告は動画広告に比べると短い制作期間と少ないコストでクリエイティブを作ることができるため、音声広告で訴求軸を検証しつつ、効果が高いものに関しては動画広告のクリエイティブも作成し配信を強めていくというのも効果的だと思います。
――Spotifyで動画広告のパフォーマンスを向上させるためのポイントがあれば教えてください。
動画広告は音声広告と一緒に出稿することで効果が高まります。我々がニールセンニューロサイエンスと行った脳波を使った調査では、動画広告のみに比べ、音声広告を聴いた後に動画広告を見たほうが脳波の主要3指標(注目・感情関与・記憶)の合計が高く、音声広告を加えることのシナジー効果が得られることがわかっています。
音声広告で商品やサービスの内容を事前に把握させることで、動画の脳内処理が容易になり、動画を楽しむことに集中できたことが大きな要因だと考察しています。
より音声広告に取り組みやすい環境作りを強化
――最後にSpotifyの広告に関する展望を教えてください。
ここ最近、新型コロナウイルスの影響もあって音声メディアに対する注目も集まり、Spotifyでの音声広告の出稿も非常に増えてきました。そのため、まだ音声広告を出稿したことがない企業様でも取り組みやすい時期に来ていると感じています。
現在行っているデジタル音声広告クリエイティブラボやウェビナー(過去の例)などの取り組みを通じて、音声広告自体の理解を深めていき、様々な企業様に音声広告はもちろん、動画広告を出稿していただきたいと思っています。その中で成功事例をどんどん作って発信していきたいです。
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