コロナ禍で人気になった食材とは?
――コロナ禍で人気のあった食材・調味料などはありますか。
「簡単」の軸では、切る作業や火通りの見極めなどの料理テクニックを必要としない「ひき肉」や「サバ缶」など、料理エントリー層の方も扱いやすい食材への引きが顕著でした。特に、2021年1月以降の「肉類」別の伸び率では「ひき肉」は2020年比1.7倍増と非常に伸びていましたね。
また調味料では「焼肉のタレ」「白だし」「ドレッシング」「ポン酢」などが人気となりました。背景として、そもそもの内食需要の拡大や料理頻度が増加したことによる家庭内消費の促進、また、従来の使用方法を超えたアレンジレシピでの活用など、「エントリー層の獲得」と「熟練者のマンネリ回避」が挙げられます。

食がエンターテインメントの1つになっている
――これらの変化が起きたのは、どういったインサイトの変化があったからだと思いますか。
料理エントリー層の増加やおうち時間の充実によって、料理自体の捉え方が大きく変わってきたと考えています。これまでは、衣食住の1つとして生活の基本である認識だったのが、「土日の楽しみにしたい」「食卓にエッセンスを加えたい」「SNSに自分の作った料理を投稿してコミュニケーションをとりたい」など、幅広いインサイトが芽生えたのがこの1年だったと思います。
お腹を満たすだけではない、エンターテインメント的な要素を料理に対して求めるようになったのが、大きな変化だと感じています。
――何かそのインサイトの変化を表すような事例があれば教えてください。
昨年度、「クラシル」で最も閲覧されたレシピは「韓国風ヤンニョムチキン」でした。昨今の韓国ドラマ人気に加え、海外旅行に行くことができない現状より、おうちで海外のレシピや外食レシピを再現する方が増えたと考えております。
「韓国」の検索はコロナ前と比べて4倍まで伸びていましたし、韓国だけではなくタイ料理の「カオマンガイ」や、台湾料理の「魯肉飯」なども伸びています。
また、ホットプレートを使った「ペッパー風味ライス」「ビビンバ」「チーズタッカルビ」などのレシピは平日と比べ、土日に2倍ほど検索が伸びており、家族で作る工程から楽しんでいることが窺えます。外出ができない分、みなさん試行錯誤されていますね。