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クラシルのデータから見えた、コロナ禍で変わる食に対するインサイト

 新型コロナウイルスの影響をきっかけに、様々な領域で消費者のインサイトが変化しています。今回は食に関するデータを持つレシピ動画サービス「クラシル」を運営するdelyで広告プランナーを務める高山彩氏に、同社のデータをもとに明らかになった食需要・インサイトの変化、そして企業に求められるマーケティングについて聞きました。

2020年の緊急事態宣言を機に起きた、食の2つの変化

――今回、「クラシル」がどのようなデータを用いて食需要・インサイトの変化を明らかにしたのか教えてください。

 「クラシル」はアプリ単体で、国内最多3,000万ダウンロードを超える規模のレシピ動画サービスです。「クラシル」では、検索・動画視聴に関するデータをはじめ、献立機能やチラシ機能、各種SNSなどより、消費者のライフスタイルの変化を日々分析しております。今回は、2020年から2021年にかけて、どのような変化があったのかご紹介いたします。

dely 高山氏
dely株式会社 kurashiru ビジネスパートナー事業本部 ブランドクリエイティブ事業部
マネージャー 兼 管理栄養士 高山 彩氏

――実際にどのような変化が見られましたか。

 新型コロナウイルスの感染が拡大し、特に1度目と2度目の緊急事態宣言が発動された際は消費者に大きな行動変容をもたらしました。

 まず2020年4月からの1度目の緊急事態宣言時ですが、全国的に外出自粛の流れになったことで、家庭における料理頻度が増えました。クラシルのトラフィックも2020年5月をピークに大きく伸長しました。

 1度目の緊急事態宣言期間中における消費者の行動変容の最大の特徴は、料理を「楽しみたい」と「楽にしたい(手間を減らしたい)」という2つの傾向です。これを1つ目の「ヤマ」としますね。

 前者の「楽しみたい」傾向に関しては、特に「お菓子作り」の需要が高まりました。ホットケーキミックスが店頭からなくなったニュースをご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、「クラシル」でもホットケーキミックスを使ったレシピの検索は2020年5月頃、前年同月比で約10倍近く増加しました。

 また、「おつまみ」や「居酒屋再現レシピ」などの検索・閲覧数が伸びているのもこの時期の特徴です。20代から30代にかけて、リモート飲みがトレンドになったことも記憶に新しいですよね。「つまみ系」のレシピ需要が高まったことから、自宅でお酒を飲まれる方が増えたことが見て取れました。

 一方、「楽にしたい」「手間を短縮したい」というニーズですが、これは先述の「楽しみたい」とは相反するものでした。

 お菓子作りを楽しむ方がいる一方で、「3食作らなければならなくなった」ことにより、食事作りがプレッシャーになった人も多かったのです。「クラシル」においては、「パスタ」や「丼もの」などの一品で献立が完成するレシピに注目が集まりました。

 加えて、おうち時間が増えたことをきっかけに料理を始めた料理エントリー層や、リモートワークでランチを自炊する層の増加が要因だと考えています。実際、気軽に作れる「基本レシピ」や「定番レシピ」の閲覧時間が伸びました。

 そして「時短」ニーズにも変化が見られました。コロナ前までは「お弁当」や「朝食」など、限られた時間の中で急いで用意しなければならないレシピに対する時短ニーズが強かったんです。それがリモートワークや時差出勤の増加で、朝にゆとりが出てきたことや、お弁当ではなくランチへ需要が変化したため、それらの「時短」ニーズは落ち着きました。

 ただ、数日間保存ができる「作り置きレシピ」や、味付けをして冷凍し複数のレシピにリメイクする「下味冷凍」など、キッチンでの滞在時間や1度に作る料理の品数を減らす目的のレシピは人気でした。これも先ほど申し上げた「楽にしたい=手間を減らしたい」という意向の表れですね。

コロナ禍で生まれたニーズのかけ合わせが加速

――では、2つ目のヤマについても解説をお願いします。

 2つ目のヤマとなったのは、2021年1月から3月の2度目の緊急事態宣言です。このタイミングでは、2020年4月の緊急事態宣言を機に生まれたニーズ同士のかけ合わせが起き、よりニーズが多様化したと考えています。

 依然として「おつまみ」や「簡単レシピ」のニーズはあるものの、たとえば、一品でおつまみにもごはんにもなる「おつまみごはん」や、ヘルシーで安価な食材を使用しながらも満足感が得られる「お安くヘルシー」レシピの人気などに火がつきました。

 「おつまみ」に関しては、検索動向を調べると2020年から継続して土曜日の検索数が平日対比で1.5~2倍高いことからも、家飲みが習慣化してきたのだろうと推察できます。その分、単なる「おつまみ」ではなく食事を楽しみながらお酒を飲む「おつまみごはん(With meal)」の傾向が強くなったと考えられます。

 また「節約 ヘルシー」で一緒に検索された数もコロナ前(比較期間2020年4月〜2021年3月、以後省略)と比べ2.8倍増となっていることからも、人気レシピの背景には複数のニーズがあることが窺えます。

――お店でお酒を飲むことが多かった人たちも、おつまみを自宅で作るようになっているのがデータで見えるのはおもしろいですね。

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/07/02 09:00 https://markezine.jp/article/detail/36499

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