キーエンスからデジタルマーケティング業界に転職。それはなぜ?
野崎:そんな佐藤さんですが、3年目に事業部内で上半期営業ランキングのトップ10になるなど非常に好調な中で退職され、デジタルマーケティングエージェンシーであるアイレップに2010年に転職されています。高年収企業としても有名なキーエンスからの転職なので、おそらく年収もダウンしたと思われますが、なぜこのタイミングでの転職を決意したのでしょうか?
佐藤:キーエンスは製造業の中でもトップクラスの会社で、先述したように営業に関するノウハウも整っています。しかし、個人で見たときに整った仕組みのない、今の環境の外でどれだけ通用するのか、また仕組みを作る側の発想に至れるのだろうかということを考えていました。
その中で、営業ランキングにもランクインしたことで自信が付いたこともあり、他社でチャレンジしようと転職を決めました。

野崎:他社でも通用するのか不安になる、という声はキャリア面談していても特に優秀な方から聞くことが多いです。また、第二新卒期は異業界へ転身しやすいタイミングです。様々な業界がある中で、なぜデジタルマーケティング領域を選んだのでしょうか?
佐藤:成長段階にある業界と企業を選びたいという思いがあり、デジタル領域が候補に挙がりました。数人規模のスタートアップの中から企業を見つける選球眼はないと思っていたので、ベンチャーの中で一定の規模に成長をしているところを探していました。その中で縁があったのが、当時博報堂DYグループとの関係を深めていた、デジタルマーケティングに携われるアイレップでした。
半年後までに成果で返すスタイルで未経験を克服
野崎:ただ、アイレップに入社直後、博報堂に常駐していますよね。業界未経験でもあり大変だったはずですが、当時のことを教えてください。
佐藤:何もわからない中で、常駐からスタートしたのでとても大変でした。当時はインターネット広告に関する業界用語すらまったくわからない中、アイレップとしては初の営業局への常駐だったので(笑)。ただ一番大変だったのは当時サポートいただいていた、博報堂とアイレップの先輩方だとも思います。今でも、過去一番世話になった方は誰かと聞かれたら、この当時の先輩方を思い浮かべますね。
教えてもらう以上は絶対3ヵ月~半年までには成果を出して貢献するというモチベーションで仕事に取り組んでいました。その姿勢はひとり立ちまで付き合っていただけた一つの理由にはなっているかもしれません。結果的に3年分の経験を半年でさせてもらったなと思います。
野崎:教えてもらった分を必ず成果で返そうとするスタンスは非常に素晴らしいですね。成長領域のデジタル軸でキャリアを形成する人は、20代で役員や部長クラスになることも十分あり得ますし、年齢以上の職域や経験を求められることが多く、後輩もどんどん入ってきます。
そのため早い段階からプライドを持ってしまい、周りに「教えてください」と素直に聞けなくなってしまう人も多い印象です。しかし、佐藤さんはわからないことを積極的に先輩から学んでいき、それを仕事の成果で返していったことで、大きな成長につながったのだと思います。聞くは一時の恥、というやつですね。
実際に博報堂の常駐経験を通じて、どのようなことを学びましたか。

佐藤:いち担当としては、デジタルプランナーとしての業務と総合広告代理店の仕事の両方を学ぶことができました。また、広告業界のお金の流れやビジネスの仕組みの全体観が把握できた点も大きかったですね。グループ会社間の商流・業務整理に携わっていた時期もあり、常駐元・常駐先両方の立場でビジネスに携わっていたからこそ、得られた学びは大きいと思います。
