日本語で行ってきたビジネスの基本を英語で行う
野崎:今回はグローバルで時価総額を大きく伸ばした注目の外資系企業、The Trade Desk の日本法人に黎明期の2015年から参画され、現在はLead Associate Account Directorを務める佐藤大希さんのキャリアを深堀りたいと思います。まず、直近はどのような職域を担当しているのでしょうか?
佐藤:現在はThe Trade Desk Japanでアカウントマネジメント業務を行うチームのマネジメントを行いつつ、広告代理店様やクライアント様の売上拡大に向けた提案・サポートを行っています。また、The Trade Desk Japanの規模拡大にともなって発生するアカウントマネジメント以外の様々な業務を日本のゼネラル・マネージャーと連携しながら整理しています。
野崎:現職は外資系企業なので、英語でのコミュニケーションが必須になると思いますが、英語を使ったコミュニケーションをとる際に気を付けていることはありますか。
佐藤:まず、日本語でも変わらないビジネスの基本を、英語でできるかどうかがとても大事だと思います。たとえば、グローバルで会議を行うときも、多国籍の環境では英語が流暢かなどは誰も気にしていません。重要なのは何を発言して価値を出していくかです。
あとは相手に興味を持ってコミュニケーションをとり、相手からも自分とコミュニケーションをとりたいと思ってもらうことも重要だと感じています。現職で一番驚いたのがオープンなカルチャーで、自分の立場など気にせず、伝えたいことがあればどの国のどの職位の人間に連絡しても返答があります。
会話も日本的なやり方だと誰からの指示で動いているかなどが議論の起点になることが往々にしてありますが、海外の方にはこれだとまったく理解されません。“自分が何をしたいか、あなたと何がしたいか”が考え方の起点にないと会話もかみ合わないですね。
因みに入社直後にやっていたことは、事前にビジネス観点で場の付加価値になる考えを持っておく、英語の予習をしておく、頑張って話す、です(笑)。
営業で人によって響くコミュニケーションの違いを学ぶ
野崎:日本語で行っていたビジネスコミュニケーションを心がけることが大事というのは、これから外資系キャリアにチャレンジする人にとって勇気が出るアドバイスですね。逆にセールスなどのビジネスサイドは英語力が高くても、そもそものコミュニケーションスキルが足りないと、ネガティブとなる可能性があるということでしょう。
さて、ここからThe Trade Deskで活躍する佐藤さんがどのようにキャリアを歩んできたのか振り返ります。最初に選んだ会社は、業界が異なるキーエンスです。高い営業力が求められる会社のイメージですが、当時の経験は今の仕事にも活きていますか?
佐藤:キーエンスでの営業経験は今も非常に役立っています。キーエンスにはスクリプトや営業に関するノウハウが非常に充実していて、そのインプットとアウトプットを繰り返すことで、営業力の基礎を磨くことができました。
キーエンス時代に向き合っていたのが、工場の生産ラインの責任者から新商品開発に携わる研究者の方まで、立場や扱う商品、企業の規模も様々だったので、ニーズはもちろん、その背景にあるものも違いますし、伝えるべき利点や実例、話す際の言葉の使い方もそれぞれ違ったんです。
営業で培ってきた相手を理解する力、相手の一つ一つの言葉から背景を読み取り、的を得た会話・提案をする力は今も活きてると思います。
野崎:現在の営業における身のこなし方はキーエンス時代の経験がベースとなっているわけですね。ファーストキャリアは今後のキャリア形成における基本スタンスを築く場所となることが多いため、とても重要です。佐藤さんのような営業スキルや合意形成するためのコミュニケーションスキルは汎用性が高いので、他業界でも活かしやすくなります。
もし異業界に転職したいと思っている方は、現在の経験が他環境でも活用できるかという視点でキャリア形成をしていただくと、かけ算でキャリアを伸ばしやすいので、ぜひ意識して欲しいですね。