エンジニアとの協働で、高度なデータ連携環境を構築
――では、導入が決定してから運用開始までの様子をお聞かせください。
曳地:マーケティングチームのエンジニアとインフラチームが共同で進め、要件定義からはじまり、開発、テスト、本番実装を経て運用を開始しました。 コロナ禍の影響で予約数の増減幅が通常時と比べものにならないほど大きく、過少・過大評価を避けるため、適切なテスト実施時期を選ぶのに苦労しました。逆にその他の工程は、順調に進んだ印象です。
当社にはマーケティングの知識を持ちつつエンジニアとしての役割を担う「マーケティングエンジニア」がいるのですが、実装にあたっては彼らの存在が大きかったです。大きなインフラが必要になったときに、どの部署とのやり取りが必要でどんな工数がかかるのか、そしてフィジビリティ(実現可能性)を見極められるスキルセットが備わっており、今回も、進行を円滑にする大事な役割を担ってくれていました。
横溝:「楽天トラベル」さんの場合は、マーケターとエンジニアが深く連携し、データ送付の環境をしっかりと構築いただいたことが、後程お話しする高い成果につながっていました。
というのも、CAPIの仕様では、広告主側でオプトインの取られたユーザーのアクションデータを、1時間以内に送信していただいた方が良いのですが、導入を決めた時点では24時間に1回しか連携できていない状態で、開きがあったのです。それを「楽天トラベル」さんのインフラチームが中心となって対応してくださり、実装時にはほぼリアルタイムに送付できる状態まで改善されていました。
導入によって“漏れていたCV”の計測が可能に
――今回の取り組みによって、どのような結果が出ていますか。今後に活かせる示唆や発見があれば、合わせてお話しください。
Zhang:CAPI導入後、計測できた予約流通数(キャンセルが反映される前の流通総額)が約1割増加しました。想定通り今まで漏れていたコンバージョンが計測されたと見られます。投資効率の改善に役立っていることもわかっており、将来的にCookieレスの時代が到来したときの対応の方向性が見えてきました。この知見を活かすことで、他の媒体の対策にもつながると思います。
藤巻:今回の成果が良い事例となって、「楽天トラベル」以外の当社事業への展開にも貢献できると考えています。
ただし冒頭でもお伝えしましたが、CAPIの導入が目的化してはいけません。大事なのは導入によって何を達成したいか、どんな顧客体験を提供したいかという考えがあってこその手法です。今後他で展開する場合も「なぜそれをするのか」を、常に考えていきたいと思います。
――Facebook社としては、今回の結果をどのように見ていますか。
横溝:これだけの改善が見られたというのは、CAPIの導入を進めてきた当社としてとても嬉しいです。
そして先ほどデータ送信のタイミングが高い成果につながったとお話ししましたが、もう一つの要因は、サーバーに送信するデータ量をできる限り増やしていただいたことです。当社では、これが成果のさらなる底上げにつながったと分析しています。