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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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特集:戦略実行を支える、強いチームの作り方

コロナ禍でのチームビルディング

変化にあわせて体制・対応業務を柔軟にシフト(スリーエムジャパン)

需要増に対応するため内製化を推進

 我々はスリーエムジャパン(3M)においてデマンドジェネレーション(DG)を推進している部門です。2018年初頭より現体制で取り組みを進めており、DGの活用も順調に伸びていましたが、COVID-19により非常に大きな変化がもたらされました。

 まず行ったのは、需要増に対応するための体制の強化です。事業部門のデジタル化加速を見越して、社外のみで行っていた作業を一部内製化し、緊急度の異なる依頼に柔軟に対応できるような体制を取りました。結果、COVID-19以降に約2倍に増えたMA関連のリクエストに対しても、社内外のリソースをうまく使い分けることでコストとスピードのバランスをコントロールしています。

 またこれまでコンタクト情報収集のメインは名刺情報でしたが、COVID-19の影響を受けウェビナーへのシフトが決定的になりました。しかし「プラットフォームを提供するIT部門」と「ウェビナーを実施することだけに目が行きがちな事業部」の間に埋めなければならない複数の課題が存在していることに気が付きました。主に「ウェビナーをリード創出のための核として有効に活用する全体設計」と、「ウェビナーそのものの実行ノウハウ」でした。このギャップを埋めるべく、当部は積極的にそれらを提供し、IT部門・事業部門の双方を支援することで、テレワーク開始から約3ヵ月でウェビナーのサポート件数が前年同期比8倍を達成しています。

 実際に提供したのは売り上げにつながるウェビナーの基本設計から、ウェビナー用の動画作成、事前・当時のリハーサル、QAコーナーの運用など、多岐にわたります。当部は以前より、デジタルマーケティングのための社内教育プログラムとして、動画の作成や社内向けウェビナーを多数行っていたので、確信をもってスピーディーに提供できました。ウェビナーをデマンドジェネレーション活動のコアとして、集客から申し込み、リマインダー、開催後のフォローアップまですべてを「パッケージ化・テンプレート化」することで、事業部門がウェビナーからのリード創出活動に集中できる環境を提供しています。この動きは確実に社内に根付いています。

なぜその仕事が必要かを言語化する

 一方でチームでの働き方を考えると、上記活動は重要とはいえ、完全テレワーク環境では「職場の空気」を感じることが難しくなり、仕事の量・質の急速な変化に戸惑う恐れがありました。そのため、毎朝30分行っている朝会の中でチームのミッションである「デマンドジェネレーションの推進」を明確にし、内製化や従来業務外のウェビナーサポートがなぜ3Mにとって重要なのかを言語化し、繰り返し説明しています。また貢献に対するリコグニション(電子カードを贈る)を行うことで、同方針へのモチベーション維持に努めています。

スリーエムジャパン株式会社 コーポレートデジタルマーケティング部 部長 田中訓氏

スリーエムジャパン株式会社 コーポレートデジタルマーケティング部 部長
田中訓氏

軸をぶらさず、意思決定のスピードを速めるチームづくりで重要な3つのこと(ユーザベース)

 ぼくたちのチームは「カオスを楽しみながら、新たな挑戦を創り続ける」ことを掲げています。特にコロナ禍では新たな挑戦の連続ですが、その中でぼくが大切にしているものは3つあります。

1、「バリュー」を仕事の判断軸・チームの指針とする

 まず最も重視しているものは「バリュー」です。フルリモートが通常となった今、阿吽の呼吸や以心伝心といった従来の考え方ではチームづくりは難しいと感じています。そこで「自分たちはどういった人たちなのか」を言語化し、バリューを仕事の判断軸・チームの指針としています。元々弊社には7Valuesというバリューがありますが、それに加えてチーム独自のバリューも数ヵ月かけて全員で話し合い、カタチにしました。バリューは人事評価や採用でも重要な要素となっています。

2、意思決定のスピードを速める

 次に「意思決定のスピード」です。不確実性が増した今日、何が正解かわからない中で重要なことは“決める”こと。そして実行し、改善するサイクルを速めることが大切です。そこで、ぼくたちは極力ルールを設けないようにしています。ルールはスピードを鈍らせます。代わりに「原則」を大切にし、変えること/変えないことを明確にしています。

 たとえば、ぼくたちには「User Driven Marketing」というバリューがあります。ユーザー起点で考える、コンテンツクオリティに徹底的にこだわり、常にforyouで発想すること。これはどんな時でも変えない原則です。一方で、施策や戦術、チーム体制は状況に応じてどんどん変化させます。軸をぶらさず、意思決定のスピードを速めることが重要だと考えています。

3、攻めと守りの両立

 最後に「攻めと守りの両立」です。挑戦し続けるためには、攻めの姿勢だけでなく、長期で走り続けられる「守り」の環境づくりが大切です。たとえば、全員で半休をとる「一斉休校日」や、地方在住でも働ける環境を整えています。さらに、メンバーが相互理解し補完関係を築くことが不可欠な要素だと考えています。特にリモート環境下では、互いの強み弱みを認識し合える機会を意図的に作ることが必要だと思います。そこで「強み弱み1on1」というメンバー同士のワークショップを実施し、日頃からオープンにコミュニケーションできる場を設けています。

 対話時間が増えることは実際大変ですが、信頼関係や心理的安全性が生まれることは、チームが大きく飛躍する根源だと実感しています。まだまだ試行錯誤の連続ですが、これからも仲間と共に最高のチームを作る挑戦を続けていこうと思います。

株式会社ユーザベース SaaS事業 執行役員 CMO 酒居潤平氏

株式会社ユーザベース SaaS事業 執行役員 CMO 酒居潤平氏

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MarkeZine(マーケジン)
2021/11/01 16:15 https://markezine.jp/article/detail/36777

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