これまでの戦略が通用しなくなったとき、BtoBマーケターはどんなアクションを取るべきだろうか。非対面営業を支援するベルフェイスでは、ZoomやTeamsといったツールの急速な普及によって、プロダクトが持つ価値とメインユーザーのニーズにズレが生じ、根本的な見直しを迫られた。しかし同社は、徹底したヒアリングとデータ分析でメインユーザーを再定義。新たなニーズを掴み、それに応える体制も整えていると言う。一連のプロセスを中心となって進めてきたマネージャーから、その対応を学ぼう。
※本記事は、2021年9月25日刊行の定期誌『MarkeZine』69号に掲載したものです。
追い風と向かい風が同時に吹いた

ベルフェイス株式会社 マーケティングディビジョン ABMチーム/
カスタマーマーケティングチームマネージャー 林 駿佑(はやし・しゅんすけ)氏東京大学卒業後、新卒でSaaS企業に入社し、約400社のデジタルマーケティングを支援。同社にて営業・マーケティングの統括を務めた後、2018年10月にベルフェイスにマーケティング立ち上げメンバーとしてジョイン。現在はABMとカスタマーマーケティングの戦略設計やマネジメントを行う。
――最初に林さんのこれまでのお仕事と、現在のご担当領域について教えてください。
ベルフェイスは2社目で、前職ではWebマーケティングのコンサルティングなどをしていました。入社したのは2018年で、マーケティング組織の立ち上げメンバーとして入りました。その後エンタープライズ向けのマーケティングを強化していくことになり、そのチームの立ち上げとマネジメントを行ってきました。2021年4月からはマーケティング組織を改編し、現在はブランドマーケティング、ABM、カスタマーマーケティングの3チームに分かれているのですが、私はそのうちABMとカスタマーマーケティングのチームマネージャーをしています。
――ありがとうございます。早速ですが、コロナ禍でのビジネス、マーケティングについて教えてください。プロダクトの特性上、御社が経験した変化はとても大きなものだったのではないかと思います。
おっしゃるとおり、bellFaceは一度PMF(Product Market Fit:図表1参照)を経験していたのですが、市場の変化によってそこから外れてしまい、再度PMFさせるための調整が必要になりました。当社の場合は「メインターゲットを定義し直す」ことで、再度のPMFを達成しつつあります。
コロナ禍以前の状況からお話しすると、メインユーザーは我々のようなIT系のベンチャー企業でした。「東京にしか拠点がないので、オンラインで全国に売りたい」「サブスクリプションで比較的低単価のため、オンラインでも売れることが多い」というお客様にご活用いただいていました。既に導入企業は2,500社を超えていました。
そんな中、コロナ禍で急激にオンライン化が進み、これまではあまり接点が持てなかった業界のお客様からもお問い合わせをいただくこともあり、追い風と捉えていたところもあったんです。
ですがその裏側で、去年の7、8月ぐらいから、それまでメインターゲットとしてきた企業様からの解約が増えてきました。解約理由をうかがうと「コロナ禍による業績の悪化」という声もあったのですが、深掘りしてみると、最も多かったのが「ZoomやTeamsといった他ツールへのリプレイス」でした。さらに事情をお聞かせいただくと、リプレイスの理由の多くは、「営業先のお客様がオンラインツールに慣れてきたため、bellFaceを使う必要がなくなってきた」ということだったんです。bellFaceは電話を起点につなぐことができるシステムのため、アプリも不要でデバイスの制限もありません。ですがリモートワークやデジタルでのコミュニケーションが広がって少し経つと、IT企業の営業先のお客様も、ZoomやTeamsでストレスなく商談ができるようになっていたのです。
bellFaceには商談のデータを蓄積・分析して改善につなげることができるという強みもあるのですが、そうした取り組みは成果が出るまでに一定の期間が必要で、一番の継続理由と感じていただくには至っていなかったと見えてきました。これはbellFaceにとって明らかに向かい風で、当時のことを社員は「追い風と向かい風が同時に吹いた」と言ったりします。
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- この記事の著者
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蓼沼 阿由子(編集部)(タデヌマ アユコ)
東北大学卒業後、テレビ局の報道部にてニュース番組の取材・制作に従事。その後MarkeZine編集部にてWeb・定期誌の記事制作、イベント・講座の企画等を担当。Voicy「耳から学ぶマーケティング」プロジェクト担当。修士(学術)。東京大学大学院学際情報学府修士課程在学中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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