クリエイティブのターゲティングで顧客の課題も浮き彫りに
1つ目のアプローチが「クリエイティブターゲティング」だ。これまでの一般的なデジタルマーケティングでは、まずターゲットを設定し、仮説やリサーチを基に訴求軸を決め、より多くのターゲットに届くメッセージをクリエイティブに盛り込んできた。
一方のクリエイティブターゲティングでは、クリエイティブをパーソナライズする。ペルソナを細かく設計し、それぞれに最適化したクリエイティブを量産。つまり、特定セグメントに刺さるクリエイティブでターゲティングを行うというのだ。
「量産したクリエイティブでPDCAを回しながら価値訴求の精度を高めていくという考え方です」(田岡氏)
田岡氏は、一般的なターゲティングとクリエイティブターゲティングのいずれにおいても「顧客課題の理解は大前提」と強調。特にクリエイティブターゲティングではターゲットやペルソナが細分化されるため、より深い顧客課題の理解が求められると述べた。
動画と静止画では反応するユーザーが異なる
2つ目のアプローチは、動画+静止画で高速にPDCAを回す「クリエイティブの高速PDCA」だ。
たとえば、ペルソナごと、ペインごとのクリエイティブを「静止画」「動画バナー」「6秒動画」「15秒動画」といった様々な形式で量産し、アジャイルに(素早く柔軟性を持って)PDCAを回していく。これにより、クリエイティブの最適化が行えると田岡氏は語った。
そして3つ目が、動画クリエイティブの活用である。ヤフーとリチカが行った共同研究の結果によると、ファッション・教育・金融の各業界横断で静止画と動画のパフォーマンスを比べたところ、動画のコンバージョン率が非常に高く、結果として購入単価やCPAの低減にもつながったという。
「動画クリエイティブは情報量が多く、見込み顧客に対してリッチな情報を提供するため、高いコンバージョン率を実現できるのです」(田岡氏)
田岡氏は動画の特徴を示しつつ、「静止画と動画のどちらが優れているか」という二元論には疑問を呈す。実際、上述の共同研究では同一期間・特定アカウントにおいて動画/静止画の双方にインプレッションしたユーザーのクリック重複率が3.7%だった。つまり、動画に反応するユーザーは静止画と異なることがわかる。
「動画と静止画の両方を駆使してより多くのユーザーにリーチし、反応を得ることが王道になってくる」と田岡氏は述べた。