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MarkeZine Day 2021 Autumn(AD)

コロナ禍の売上減からV字回復で150%増に テクノロジーをフル活用したエムエム総研の大改革

 コロナ禍によるインパクトで売り上げ減だったエムエム総研。しかし短期間で大幅な組織改変を行い、売上高は前年比150%の躍進を遂げ、過去最高額となった。コロナ禍での回復を支えたのは、自社を見つめ直した上で行った意思決定や戦略施策の実行、そしてBtoBマーケティング支援サービス“ferret One”の導入だったという。MarkeZine Day 2021 Autumnでは、エムエム総研の米田光雄氏とferret Oneを提供するベーシックの林宏昌氏がその詳細を語った。

体制変更でコロナ禍の大打撃から復帰

 「コロナ禍になり、弊社には『リード獲得が減少した』『既存顧客の売り上げが下がっている』といった悩みが多く寄せられます」と話すのは、オールインワン型BtoBマーケティングツール“ferret One”の提供などを行う、ベーシックの取締役・林宏昌氏。

 コロナウイルスの流行は市場変化を加速させ、企業の持つマーケティング課題を多く露見させた。この課題を乗り越えるためには一体どのような施策を行えばいいのだろうか? そこで注目したいのが、本セッションで紹介されたエムエム総研の事例だ。

 エムエム総研の取締役である米田光雄氏は自社について「弊社はBtoBマーケティングや法人営業を支援する企業です。コロナ禍以前は収益の約6割をイベント関連事業から得ていました」と説明する。

(写真左)ベーシック 取締役 COO 事業本部長・ferret One事業部長 林宏昌氏(写真右)エムエム総研 取締役 米田光雄氏
(左)ベーシック 取締役 COO 事業本部長・ferret One事業部長 林宏昌氏
(右)エムエム総研 取締役 米田光雄氏

 エムエム総研はコロナ禍でリアルイベント支援や、それに基づくクリエイティブ制作、コールセンター事業といった主軸となる事業に大打撃を受けた。

 また次に大きな事業であった人材派遣・常駐サービスも先行きが不透明となったことから2019年〜2020年期にかけて、売上高の約3分の1を失ってしまったという。

 しかしその状況から事業シェアを大きく転換させ、1年間かけ売上をV字回復。今期に至っては過去最高利益の計上が見込まれるまでに成長を遂げた。

 「この結果に至るのは簡単なことではありませんでした。今回はそこで起きた具体的な事象やセールスマーケティングの施策、その詳細な結果をお話していきたいと思います」(米田氏)

主力事業を撤退し、新規開拓に集中

 2020年〜2021年上期、エムエム総研は事業戦略領域で大きな意思決定をした。大きく分けて「コールセンター業務の一部を除いた撤退」「イベント支援事業からオンラインイベント支援事業への転換」「セールスデジタルシフト支援事業への資源集中と新規開拓の一本化」の3つの施策を行っていった。

画像:エムエム総研が展開するセールスデジタルシフト支援サービス「SalesRenovation」
エムエム総研がセールスデジタルシフト支援事業において展開する「SalesRenovation

 コールセンター事業は、支援を続けるべきだと判断した一部クライアントのみを残して撤退。イベント事業はそれまで収益の主軸となっていたリアルイベント関連を縮小し、オンラインイベントの支援に転換した。これらの判断に加え、上記2つの事業に割いていたリソースをセールスデジタルシフト支援事業に集中させ、新規顧客の開拓もこの領域に集中したという。これらの決定、体制変更は2020年9月には完了していたと米田氏。

 「体制変更はすんなりと進んだわけではなく、不安や葛藤は多くありました。しかし思い切った意思決定のもと、これまで中心的な事業であったBPO事業を縮小し、体制を圧縮。重要な事業であるという意識は持ち続けながら、少数精鋭で高いクオリティを発揮していく方針に変更したんです。

 またセールスデジタルシフト支援事業にリソースを注いでいきました。これらの施策は結果的にうまくいって、2020年の通期では、38名の新規採用に至っています」(米田氏)

 売り上げが低迷するなかでの体制変更を行う不安や葛藤。エムエム総研では情報を整理し踏み込んだ議論を行い、内容をできるだけ多くのメンバーに共有することでそれを乗り越えてきたという。では、どのようなステップで議論してきたのだろうか?

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どの市場でシェアを取る?踏み込んだ議論で再確認

 まず行ったのは、本格的な会議に突入する前の意識合わせだった。

 「私を含め、経営会議のメンバーには当初『コロナ禍をどう乗り越えていくか』というムードが漂っていました。そこに対し『この場で何を話していくべきなのか?』の意識合わせを行い『コロナ禍を乗り超えた後に、事業やメンバーが成長できる状態を目指す』という、議論の土台を作り上げていったのです」(米田氏)

 意識合わせを経て、議論はプロダクトポートフォリオの分析へと進んだ。コロナ禍による市場のゲームチェンジを経て「どの市場でシェアを取りに行くべきなのか?」「売上拡大よりも利益を追いかけるべき分野はどこなのか?」といった事実を再確認する必要があったのだ。

 「経営会議にはもちろん、イベントサービスを担当している役員や、コールセンター出身の役員も出席していましたし、当然それらのサービスのマネージャーやメンバーが存在しているわけです。様々な想いがあるなか、目的を揃え、ありのままの情報共有や、腹を割った議論を繰り返し行っていきました」(米田氏)

 そうして決まったのが、前述の「コールセンター業務の一部を除いた撤退」「イベント支援事業からオンラインイベント支援事業への転換」「セールスデジタルシフト事業への資源集中、新規開拓の一本化」といった3つの施策だ。

 また経営会議では既存顧客に対する支援の優先も決定された。コロナ禍に突入した4月初旬には会社の状況や意思決定をすべてのメンバーに伝達。さらに6月までには「クライアントが何に困っているのか?」をリサーチした。

 寄せられた悩みの多くは、ウェビナーの開催やオンラインツールの選び方について。エムエム総研はそれらの課題に対し無償で支援を行った。結果として、50社を超える支援先・約80名の稼働のうち、コロナ禍による解約は1社1名のみに留めることができた。この取り組みにより新規顧客の開拓に注力できる環境が整ったのだ。

STP領域に基づいた戦略を徹底 売り上げ150%増の裏側

 2017年から行っていたデジタルサービスシフト支援の新規開拓だが、コロナ禍では改めて「理念やコアコンピタンスは何だったか?」「どんな戦略を採っていくのか?」を考え、アップデートしていったという。

 「特徴的なのは商談受注率が約70%と高い点です。MRRは70万〜600万円、ARRは840万〜8,000万円。無形サービスでかつ、オンラインを用いこの数字を実現していけたのは、かなり大きなポイントでした」(米田氏)

 評価指標においては、計上金額目標達成と顧客満足度といった目標を、マーケティング、IS、OS、CSが共通して追い、その上で個々の目標達成など反映していくユニークな仕組みを採用している。

 これには企業として最大の目的である、収益と顧客満足度の獲得を共通認識として全チームに浸透させられ、また目標自体の変更にも対応しやすいといったメリットがある。しかし、各チームの責任範囲や結果への意識が薄れてしまうデメリットも存在する。

 「こうして新規開拓を進め、広告販促費を前年比75%抑え、かつ売り上げが150%に増加しました。行った取り組みには『営業の人数の最小化、生産性の最大化』『サービスサイトのリニューアル』などのチャレンジが挙げられます」(米田氏)

 元々OSの人数は約4名と、決して多くはなかったが、体制変更後はさらに人数を減らし、1.5名へと変更。その分のリソースを他へ回し、新規開拓に取り組んでいった。テクノロジーを活用し、適切に役割分担させ、生産性を向上させる。今までクライアント企業へ行ってきた施策を、自社内でとことん行ったわけだ。

 営業資料もアップデートし、STP領域に基づいた戦略を徹底。Win-Winとなる顧客だけに的を絞った営業を行っていった。加えて人事異動も功を奏し、有効商談化率約90%・受注率約70%という驚異的なパフォーマンスが叩き出された。

サービスサイトが多方面で継続的な成長

 2020年7月に行った、サービスサイトのリニューアル。従来は自社で構築したり、外部のパートナーに依頼したりしていたという。しかし米田氏はそれらのやり方に不安を覚えていたと話す。

 「何ヵ月もかけてサービスサイトをリニューアルしても、世の中が劇的に変わってしまうということをコロナウイルスの流行で痛感しました。またリリース後に仮説を検証した際、その施策の反映にも時間がかかってしまう点、さらにデザインがどれだけお客様に影響を与えているか不透明な点にも疑問を感じていました。

 サービスを細かくアップデートしていきたいという想いもあり、仮説検証やスピーディな修正が行えて、さらに多くの人がコンテンツに携われる点を意識し『ferret One』の導入を決めたんです」(米田氏)

 導入後は高い理解度に基づいた支援や、客観的な立場からの意見、公開後のフォローなどのサポートがしっかりと得られたという。かねて意識していた、自社内で運用が完結できる仕組みも構築することができた。

 サイト公開後は様々な指標に置いて劇的な成長を遂げており、CV数も段階的に増加している。これにはノンコーディングでコンテンツを制作できるferret Oneによって、Webでの制作に不慣れなスタッフでもスピード感を持って実行できた恩恵が大きいと米田氏は話す。

 「新卒でチーム入りした、ライティングやサービス理解に長けていたメンバーが、サイト内のコンテンツを作り、大活躍をしてくれたんです。コロナ禍で少数生成の状況において、即戦力として全体の成果に影響を及ぼしてくれました」(米田氏)

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コロナ禍に乗り越えるべき「3つの課題」

 エムエム総研の事例を踏まえ、林氏からはコロナ禍のBtoBマーケティング業界の現況とferret Oneの紹介がなされた。

 「コロナ禍では新規リードからの受注は経営課題となっており、細かくは3つの課題を乗り越える必要があると考えています。1つはBtoBのマーケティングにおける知識の課題。2つ目はどんなツールが良いのか、といった環境の課題。そして3つ目はそれらを実行するだけのマーケター、エンジニア、デザイナーがいないという、人の課題。ferret Oneではこれらに対し、2つの役割を果たしています」(林氏)

 ferret Oneが果たしている役割とは、BtoBマーケティングのノウハウの提供と、環境(ツール)の提供だ。またBtoBマーケティングの知識を得て、Webサイトのページ制作やメール配信、リード管理ができる環境が整うことで、人材不足の課題も解決できる。Webからのリード獲得に取り組みたい企業や、社内でPDCAを素早く回したい企業向けに推奨されるツールだ。

 「我々はBtoBマーケティングに対し4つのステップを設けています。まずはサイトを作り、BtoBマーケティングの受け皿を作ること。そしてSEOや広告など用いた新規の顧客の獲得。リードが取れるようになった後のナーチャリング。最後に営業と連携し行っていくスコア付け。これらをお客様と一緒に行いPDCAを素早く回していくことで“BtoBマーケティングの伴走パートナー”としての役割を果たしていくのです」

 またferret Oneを通じて制作したサイトでは、ユーザーの行動履歴が閲覧できる。そのため、たとえば問い合わせをしてきた人がどんなホワイトペーパーを見たのか、何に興味があるのかをある程度予想でき、営業効率が上げていくことができるのだ。

 林氏は、セッションに参加する参加者の伴走パートナーとして語りかけ、講演を締めくくった。

 「ベーシックでは毎月、現役マーケターをゲストに迎え『BtoBマーケティング』に関するセミナーを行っています。リード獲得やマーケ体制の強化に取り組まれる企業様、ぜひご参加ください!」

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/10/21 12:00 https://markezine.jp/article/detail/37414