コンテクスチュアル広告の効果検証で注視すべき3つのポイント
1.その広告は健全に掲載されているか?
これはあらゆる広告の基本中の基本とも言える部分。コンテクスチュアル広告に限らず、インターネット広告業界全体の課題として、近年注目されています。すでに取り組みも進んでいますが、文脈を重視するコンテクスチュアル広告においては特に重要性が高いので、ポイントの1つに挙げました。
具体的にKPIとして見ることのできる指標としては、「ブランドセーフティ率:広告が違法・不当・不適切なコンテンツを含むウェブサイトやページに表示されていないか」や「IVT(Invalid Traffic)率:非人的トラフィックによって不正または無効な広告が表示されていないか」があり、IAS社、Momentum社、Oracle社、DoubleVerify社、Human社などの事業者が計測・対策を行っています。
広告を出すのに相応しい文脈をターゲティングするコンテクスチュアル広告には、相応しくない文脈を選別して避ける機能もあります。したがって、特にブランドセーフティの面で問題が出る可能性は低いと考えますが、機能が正常に作用しているかを確認するためにも、こうした指標をチェックすることをおすすめします。
2.その広告は、ちゃんと見てもらえているか
広告が見える状態で表示されているかを測る指標として、「ビューアビリティ:広告の視認可能率」がありますが、これに加えて「広告が見える状態で表示されていた時間」「広告にユーザーが反応した割合と接触時間」などを組み合わせ、その広告がきちんと関心を持って見られたかどうかを評価する「アテンション指標」というものがあります。
この指標は、ユーザーが広告をクリックしたかどうかだけでなく、広告をどう見てもらえたかを評価すべきであるという意識が強い点が特徴です。欧州や北米で現在盛んに議論されているもので、今後日本でも積極的な活用が期待されます。
具体的にKPIとして設定できる指標としては、「インビュー時間:広告がユーザーの目に触れた時間」「インタラクション率・時間:ユーザーが広告に反応した割合・時間」などがあり、こちらもOracle社、IAS社などの事業者で計測を行うことが可能です。
コンテクスチュアル広告は、ユーザーのコンテキストと関連性の高い広告を出すことで、押しつけがましい不快感を与えることなく、その人の関心を自然に捉えようとするアプローチです。適切な文脈で適切な広告が出ているならば、広告に対する関心も高まると考えられることから、コンテクスチュアル広告の新しい効果測定方法として、世界的に最も注目されているものになります。
3.その広告は、良い影響を与えたか
これもコンテクスチュアル広告に限らず、インターネット広告全般で広く使われているものになりますが、広告接触・非接触によるユーザーの反応の違いを調べる方法として「ブランドリフト調査」があります。調査会社のパネルを利用して、認知・好意・興味・購買/利用意向を中心に調べるものです。事業会社自身が直接調査を行うケースもありますが、代表的なところでは、インテージ社、マクロミル社、楽天インサイト社などがサービスを提供しています。
商品・サービスカテゴリや広告内容、出稿ボリュームなどによって差は見られますが、コンテクスチュアル広告の場合、良好な調査結果が出ることが多いです。広告ですので、どんな形であれ認知が上がることは当然なのですが、不快な印象を与えずにユーザーの関心を捉えることがコンテクスチュアル広告の強みですので、特にブランドや商品に対する好意的な印象に結び付きやすいのが特徴と言えます。
印象・心象という“抽象的な”広告効果をどう評価するか?
これらのポイントからおわかりいただけるように、コンテクスチュアル広告においては、「広告が健全かつポジティブな印象・心象を与えたか」という抽象的な部分を客観的に捉えることが重要になります。ただ、そうした「印象・心象」が企業の価値や売り上げにどう貢献するかを評価する方法については、世界的に見ても未確立であり、業界全体として整備すべき今後の課題であると言えます。
「コンテクスチュアル広告はブランディング向きなので、短期的なCVやCPAでは評価できない」のはたしかに妥当な言い分かもしれませんが、それで片付けてしまわず、中長期的な企業価値や売り上げにどう貢献するかを解明していく責務があると考えます。