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“あざとさ”が仇となる?コンテクチュアル広告の悪用を回避するのは「健全性」と「良心性」

 コンテクスチュアル広告のソリューションを提供する、米国のAI企業GumGum(ガムガム)の日本代表を務める若栗直和氏による本連載も残すところあと2回となりました。今回のテーマは、「文脈の“活用”と“悪用”の違い」です。これからコンテクチュアル広告の活用がより広がっていくことを考えると、今このタイミングで、できるだけ多くのマーケターに読んでいただきたい内容となっています。

前回までのおさらい

 “Cookieレス祭り”で錯綜する情報に惑わされず、コンテクスチュアル広告をバイアス無く理解することを目指す本連載も、今回で4回目となりました。前回は、皆さんが実際に導入を検討される際に知っておくべき評価のポイントや、導入時の留意点として、以下のことをお伝えしました。

・コンテクスチュアル広告の評価は、「1:健全性(広告が適切なところに掲載されているか)」「2:視認性(広告をユーザーが積極的に見ているか)」「3:印象(広告が好意的な印象を与えたか)」で行うべきである。

・コンテクスチュアル広告導入時には、「1:文脈に対応した広告在庫を事前に確認しておく」「2:広告配信先を出来るだけ広く設定する」「3:文脈とクリエイティブをセットで考える」と良い結果を得られる可能性が高まる。

 今回は、コンテクスチュアル広告の中にも良い例・良くない例があることに留意し、より具体的な実施イメージをお伝えするとともに、コンテクスチュアル広告が目指すべき姿について考察を進めていきたいと思います。

【事例で考察】文脈を有効に“活用”した3つのケース

 まずは、3つのケースから、コンテクチュアル広告を活用するメリットや可能性について考えてみましょう。

【ケース1】商品・サービスの認知拡大、興味関心の増大に成功した例

 とある飲料メーカーは、健康的で味の良い植物性ミルク商品を開発しました。しかし、商品が新しすぎるゆえに効果的な認知・トライアル施策に悩んでいました。そこで、コンテクスチュアル広告を使い、「食品全般」「ウェルネス・フィットネス」「ライフスタイル」といった文脈の記事を選んで、商品広告を掲載しました。

 その結果、少なからず健康意識を持っている人々の関心を広く捉えられ、商品サイトへのトラフィックが増加、店舗で使用できるクーポンのダウンロードを訴求することもできました。

 これは、人々がすでに持っている関心を文脈として活用することで、新しい商品やサービスへの興味を促すことができた例だと言えるでしょう。ユーザーが顕在的もしくは潜在的に持っている健康への関心を文脈で捉えることで、食の新たな選択肢として商品を紹介することができ、成果が得られたと考えられます。

 もうひとつ、決して既存のミルク商品や他の商品を否定する表現でなかったことも、良い結果に結びついた要因の一つです。

【ケース2】商品・サービスの理解促進、他社との差別化に成功した例

 とあるトラベルサービスは、数あるサービスの中で自社の存在感を際立たせる方法を模索していました。そこで、コンテクスチュアル広告を使い、「旅行全般」「家族のお出かけ」「観光地」「アウトドア・キャンプ」などの文脈を持つ記事を選んで広告を掲載しました。

 その結果、旅行・お出かけの話に関連して自社サービスを想起してもらうことに成功し、新規顧客の獲得に繋がりました。

 これは、特定の文脈を味方につけることで、自社サービスの価値をうまく伝えることができた例です。コンテクスチュアル広告では、実施期間を通して特定の文脈と自社サービスとの相関性を高めることができるため、同業他社が多数いる場合、特定の分野で差別化を図ることができるメリットもあります。

 遷移先のサイトや実際のサービス内容が興味を持ったユーザーの期待に応えられるものだったことも、良い結果が出た理由であったことを念のため捕捉しておきます。

【ケース3】新規ユーザーとの関係性構築に成功した例

 とある老舗BtoB企業は、若い世代へのアピールが弱く、会社の将来を支える優秀な若手人材の確保に悩んでいました。そこで、コンテクスチュアル広告を使い、「自社事業」「就職活動」「若者の生活や興味関心」に関連した文脈を持つ記事を選んで企業広告を掲載しました。

 その結果、これまで接触することの難しかった若者にリーチすることに成功。企業サイトへのトラフィックや資料請求の増加が見られたほか、企業イメージを全体的に向上させることができました。

 これは、文脈を通して、新しいユーザーとの結びつきを生み出すことに成功した例です。そのままだと素通りしてしまう若者の関心を、文脈の力で自社に向けてもらうことができたわけです。

 コンテクチュアル広告では、ターゲットを属性で判断せず、広告が出る記事の内容に対する関心で捉えますが、このケースは文脈選びが適切であれば、目指すユーザーにリーチできることを示す例だと考えます。なお、広告表現の内容が若者ウケするものだったという点も成功のポイントとして付け加えておきたいと思います。

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この記事の著者

若栗 直和(ワカグリ ナオカズ)

広告とブランディングを専門として20年以上にわたり活動。2000~2017年の間、広告会社オグルヴィ(Ogilvy)で東京・香港・上海・シンガポール・台湾などを拠点に活動。アジア・グローバル向けのブランド戦略・クリエイティブ開発・施策立案に従事。2018年よりGumGumの日本代表として国内事業の統括を行い、次世代...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/10 07:00 https://markezine.jp/article/detail/37887

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