ざっくり分けると純広告と運用型広告の2種類
MarkeZine編集部(以下、MZ):前回の記事では、TikTokのプラットフォームとしての成長フェーズやアルゴリズムの特性、それを踏まえたコンテンツ制作のコツをうかがいました。今回のテーマはTikTok広告です。まずは現在の広告プロダクトの種類について、大まかに教えていただけますか。
田中:TikTok広告の種類は、大きく分けると純広告と運用型広告があります。それぞれのポイントをお伝えすると、まず純広告の「起動型広告」「Top View」はTikTokアプリ起動時に全ユーザーが目にするものです。セールの告知など、サービスや商品のキャンペーンをより多くのTikTokユーザーに告知したい時などに使えます。
次に「#チャレンジ」や「ブランドエフェクト」は、ユーザーに参加してもらってトレンドを生む仕組みの広告です。「広告はあまり見たくない」という印象の真逆を行くキャンペーンとして、ユーザーのプロダクトに対する興味関心を引き出すことができます。
田中:一方、運用型広告の「Brand Auction」や「Spark Ads」は2,000円という超低価格から始められるのが特徴です。TikTokの優秀なAIを用いたターゲティング設定の効果についても頻繁に検証することができるので、高速でA/Bテストを繰り返し、目標とするCPAまたはCPIに近づけることが可能です。
MZ:TikTokの広告を活用する際に、気を付けることはありますか。
田中:他の媒体以上に“広告のコンテンツ化”を考えるべきということです。TikTokのユーザーは広告に対しても「コンテンツ性」を求めています。
たとえばYouTubeのTrue View広告は、最初の5秒はユーザーにスキップされないことが保証されていますが、TikTokの広告は、興味がなければ1~2秒でスクロールされてしまいます。つまり、オーガニックコンテンツと広告の間に壁がなく、ユーザーは同じ判断基準で「観るか」「観ないか」をジャッジしています。
さらに広告であっても、“いいね”の数が重要になります。表示されたコンテンツの「いいね数」を見て、視聴を続けるかどうかを判断しているユーザーも多いからです。だからこそ、TikTok内の流行を取り入れるなどして、いかにオーガニックコンテンツに”擬態”するか、ユーザーが”つい観てしまう”コンテンツを作れるかが、ポイントです。
デジタル広告=刈り取りと考えるのはNG
MZ:よく使われる広告プロダクトはあるのでしょうか?
田中:今注目を集めているのは「起動型広告」「Top View」のような純広告です。そのほかクリエイターに商品PR動画を作ってもらう「クリエイタータイアップ」も注目されていますが、全体として「TikTok広告は投資対効果が合わない」と思われてしまうこともあります。
森:デジタル広告とマスメディアという分け方が一般的になっていて、「デジタル広告の中でも、認知獲得型とCVにつながる刈り取り型の2種類がある」ということが、あまり認識されていないのではないかと思います。その2つは良し悪しではなくそもそも役割が違うので、組み合わせて統合的に動かすべきなのですが、「デジタル広告(SNS広告)=刈り取り」とひとまとめにされ、投資に見合わないと判断されてしまうのだと思います。
田中:そうですね。TikTokでも純広告と運用型広告が混同され、CVだけが判断基準になっていると思います。運用型は獲得に特化できますが、純広告はあくまで認知メインで使用するというのが、現時点での私のスタンスです。