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シェア拡散されるブランドストーリー

2021年「最もシェア拡散された広告・PR施策ランキング」から見る2022年のトレンド予測


 スパイスボックスの事業統括責任者である森竹アル氏が、その時々の時流に合わせ、各コンテンツがシェアされる理由を分析してきた本連載。今回は、2021年の国内広告・PR施策「SNSシェア拡散ランキング」をお届け。また、結果をもとに2022年のトレンドを予測します。

2021年、シェア拡散された施策をランキングに

 今回は2020年も実施した(記事詳細)、2021年、国内広告・PR施策の「SNSシェア拡散ランキング」をお届けします。これは、エンゲージメント数(※)を指標として、2021年に注目を集めた国内広告・PR施策をランキング化したもの。ランキングに入った2021年の特徴的な施策の解説の他、2022年のトレンド予測を行いたいと思います。

※エンゲージメント数とは

 いいねやシェア、コメント、リツイートなどFacebookとTwitterでの総アクション数に加え、対象コンテンツについて取り上げた記事に対するSNS上における口コミなどの総数。スパイスボックスの独自ツール「THINK」にて計測。

スポットのバズ型より、プロセス共有型が強い

 まずは下の図を見てください。こちらは、2021年に企業から発信された広告・PR施策(テレビCM・Web・SNS投稿・グラフィックなど形式を問わない)のソーシャルメディア上におけるエンゲージメントボリュームを計測し、ランキングにしたものです。

2021年国内広告・PR施策のエンゲージメント数ランキングTOP10(クリック・タップで拡大)
出典:株式会社スパイスボックス独自のソーシャルリスニングツール「THINK」集計
(調査期間:2021/1/1~2021/11/30)
※「THINK」を利用し、著者がインターネット検索で抽出した任意の話題施策
約500のエンゲージメント数を集計してランキング化。
今回は、国内におけるエンゲージメント数を調査対象にしたため、
主に海外で情報が拡散されたと思われるコンテンツは著者の判断にて除外。

 最もエンゲージメント数が高かったのは、カップヌードルの「チベットスナギツネ」の紹介。これは8月に発信されたものですが、元々2月からの前フリが効いたものであり、7位と8位にランクインしているカップヌードルの他の発信ともつながっています。これらを時系列でつなげると以下の通り。

エンゲージメントの高かったカップヌードルの投稿まとめ

1:猫の日(2/22)に開け口2つの「カップニャードル」投稿。

(※この投稿はトップ10外)

2:6月の発売50周年を機に環境問題を配慮し「フタ止めシール廃止」を宣言。(動画後半でカップニャードル登場)

3:同じく6月。商品化を実現したWタブ=「カップニャードル」を2/22当時の投稿と比較。

4:8月に激レアな「チベットスナギツネ」バージョンを紹介。

 このように前フリがしっかりと効いており、加えて各投稿が非常に高いエンゲージメント数を記録していました。最後の「チベットスナギツネ」の紹介も、商品の店頭流通を待ってからの公式発表ということで「遭遇した!」「見たことある!」「激レアだったんだ!」といった反響を獲得しエンゲージメントが最大化しています。

 単発の発信でバズを狙う施策ではなく、プロセスを共有しながら消費者の実体験をも巻き込んだ非常に見事な設計と運営です。

 このようなプロセス共有型としては、ミヨシ石鹸の「パインアメソープ」も同様です。こちらは、パインアメとのコラボ商品で、商品としての魅力はもちろんですが、初期のTwitter告知からMakuake(クラウドファンディング)での先行販売プロジェクトから即完売、そして再発売というプロセスがあったことも起因して、大きなエンゲージメントにつながっています。

 コロナ影響で「手洗い」に対する関心が高まっている背景もあり、大ヒット商品となっています。

 ご紹介した取り組みはいずれも実際に商品化していることで、消費者にとっての「実体験」をともなっている点もポイントです。実際に体験することで、消費者も反応するモチベーションが一段階上がりエンゲージメントされやすくなります。それだけでなく、実売に直接的に結びつくため、企業としての利点も大きい。このように、消費者にプロセスを共有しながらうねりを大きくしていく取り組みが、2022年以降のトレンドにつながっていくと予測します。

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2021/12/24 14:46 https://markezine.jp/article/detail/38038

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