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リチカ式・成果の出る動画広告(AD)

【3社の検証事例を公開】広告で成果が出ない時、脱出の近道は「運用型クリエイティブ」にある!

 デジタル広告の運用は変数が多いために、なぜ成果が出ないのか、どこに問題があるのか、手探りの状態で日々運用にあたっているマーケターがほとんどだろう。そんな中、クリエイティブ×テクノロジーの力で企業のデジタルマーケティングを支援するリチカは、「クリエイティブこそが運用型広告の重要項目である」として、運用型クリエイティブのナレッジを広く企業に展開している。なぜクリエイティブ運用が必要なのか、各社どのようにクリエイティブの検証・改善を行っているのか。リチカ CMOの田岡氏に話をうかがった。

運用型広告の重要項目は、ターゲティングから“クリエイティブ”へ

 デジタル広告を取り巻く環境は、小さなアップデートを重ねるように日々変化してきた。マーケターにとっては、仕様やルールの変更、新しい機能や広告メニューのリリースなど、一つひとつの変化に対応し続ける日々である。しかし、数年単位で振り返ると、大きなルールチェンジがひとつ起きている。「クリエイティブ」の重要性が格段に上がっているということだ。

 Cookie規制の影響により、ターゲティングでこれまで通りデータを活用できなくなってきた。また、広告配信プラットフォームの機械学習による自動最適化が進み、数年前と比較すると配信の精度は非常に高くなっている。つまり、これまでデジタル広告の運用において重要な要素だった運用それ自体では、成果に差が出にくくなってきているのだ。

株式会社リチカ CMO 田岡凌氏
株式会社リチカ CMO 田岡凌氏

 クリエイティブ×テクノロジーの力で企業の広告コミュニケーションをサポートするリチカのCMO 田岡氏は、こうした現状について次のように話す。

 「デジタル広告には多くの変数があり、さらにその変数を決める仕組みすら変化していきます。マーケターの皆さんは、手探り状態の中でも何とか成果を出そうと日々尽力されているでしょう。ですが、ユーザーが必ず目にするのはクリエイティブであり、ユーザーに情報を届けるのもまたクリエイティブであるという事実が変わることはありません。よって、クリエイティブを磨き続けるということは、デジタル広告の運用において最も重要であり、変数が多い中でも中長期的に改善していける指針になりうるのです」(田岡氏)

意外とできていない。クリエイティブ制作における3つのポイント

 リチカは、運用型クリエイティブクラウド「リチカ クラウドスタジオ」の提供を軸に、企業のデジタルマーケティングを支援。ヤフーやFacebookなどの広告配信プラットフォームとパートナー契約を結び、それぞれのプラットフォームにおける最適なクリエイティブについての研究も行っている。

 実に400社以上のデジタルマーケティングを支援する同社が、これからのデジタル広告に欠かせないものとして提唱しているのが「運用型クリエイティブ」という考え方だ。これは一言でいうと、デジタル広告を運用する際「クリエイティブの運用」をその主軸に据える、というもの。なぜなら、前述のとおり、広告成果に最も影響を与えるのはクリエイティブであるからだ。

 運用型クリエイティブを実践するにあたり、前提として企業に求められる要素として、田岡氏が挙げたのは次の3つ。基本的なポイントにも思えるが、3つともしっかりできている企業は多くないそうだ。

【1】動画+静止画:静止画と動画の両方を配信・運用することが大切。Facebook(Instagram)やヤフーをはじめとするプラットフォームでも、より精度の高い広告配信を実現するために、静止画と動画の両方を配信することが推奨されている。

【2】配信面にあわせた最適化:広告の配信面によって成果の出るクリエイティブ、特に構成、デザイン、サイズなどが大きく異なることは、すでにデータで検証されている。配信面によってクリエイティブの最適化が必要であるが、実際この最適化は全く進んでいないのが現状である。

【3】運用:何度も改善をしながら成果を高めていくというのは、デジタルマーケティングの基本の考え方。その中でも上流のメッセージ整理が肝。クリエイティブの運用においては、メッセージの要素と変数を絞りながら細かく検証を重ねて、勝ちクリエイティブを見つけていくのがセオリー。

【3社事例】クリエイティブ運用って、具体的にどうやるの?

 ここまで、デジタル広告におけるクリエイティブ運用の重要性を解説してきた。だが、クリエイティブの重要性を認識していても、動画広告を量産できる体制やコストが整っていなかったり、クリエイティブを考えるフレームワークがないために、ABテスト以上の検証をするスキルやノウハウがなかったりなど、まだまだ課題は多い。

 こうした現状を受け、リチカでは高いクオリティの広告クリエイティブを誰でも簡単に作ることができるクラウドサービス「リチカ クラウドスタジオ」を提供。加えて、戦略の策定からクリエイティブの制作・運用までを一気通貫で並走する支援サービスも行っている。

 動画広告にトライできていなかった、あるいはデジタル広告の運用自体が初めてという企業でも、「リチカ クラウドスタジオ」の導入によりクリエイティブの運用、さらには広告効果を上げるところまで実現できているようだ。ここからは、「リチカ クラウドスタジオ」を活用して、どのようにクリエイティブ運用を行っていくのか、3社の事例を紹介していく。

【1】KEENは全4回の検証で動画広告の勝ちパターンを発見

 1つ目は、米国発のアウトドアフットウェアブランド「KEEN」の事例。KEENは、まさに動画広告の重要性は認識しつつも、制作体制が整っていないためにトライできていなかった例だという。

 行ったのは、ヤフーのディスプレイ広告における計4回の検証。KEENの場合、その時々でPRしたい商材が変わるため、商品を限定しない形で動画広告の勝ち筋を見つけていく必要があった

 検証の方針として、ヤフーのディスプレイ広告は文字量の多い記事コンテンツ群の中に表示されるため、シンプルなクリエイティブ訴求が重要であることを前提に検証を設計。勝ちクリエイティブを見つけるため、1回の検証で比較する箇所を1つに限定し、細かくPDCAを回していった。

 検証した広告は、いずれもSALEへ誘導するもの。具体的には、「冒頭シーンのクリエイティブ素材」「コピー(訴求文言)」「動画内に出てくる靴の色」などを変数とした。

 4回の検証を経て、「冒頭シーンで足元にフォーカスすると良い」など、細かな粒度で勝ちパターンを発見。動画制作の体制がないところから運用を開始し、PDCAを回せるまでに至った。

【2】BtoBのFacebook広告でも動画広告は有効

 2つ目は、ネットプロテクションズが提供するBtoB後払い決済サービス「NP掛け払い」での取り組み。Facebook広告で静止画に加えて動画広告で成果を最大化する目的で検証を開始した。

 最初は、「訴求軸」のみを変数とした、複数パターンのクリエイティブを検証。次に、成果の高かった訴求軸を用いて、2パターンのデザインでクリエイティブを制作・検証と、訴求軸とビジュアルの両方でブラッシュアップを重ね、勝ちパターンを見つけていった。

 「動画広告は、静止画の広告よりもたくさんの情報量を入れられるので、商材の特長をたくさんPRしようと情報を詰め込みすぎてしまう傾向があります。ですが、広告を見る方にとっては、たまたま目にした“広告”でしかありません。ですので、メッセージはシンプルにしながらも、お客様を呼び止めるために“ユーザーペイン”や“ターゲット”を捉えるアプローチが有効です」(田岡氏)

【3】デジタル広告・未経験の商船三井は、LinkedIn広告にトライ

 3つ目は、デジタル広告の出稿をほとんど行ったことがなく、制作に関しても運用に関しても知見やノウハウがゼロの状態から取り組みを開始した商船三井マーケティング部隊の事例。前例がないため、「予算内でのCV最大化」を目指して、LinkedIn広告の運用・検証を行った。

 広告の対象は「FSRU(浮体式LNG貯蔵再ガス化設備)」というBtoB商材。この事例でも、1回の検証で変える変数を1つに絞るというルールは同じだ。「顧客のペインをもとにした訴求軸」「冒頭シーンの素材」を変数に検証したほか、クリエイティブの一部が動く「動画バナー」も制作。

訴求軸を変えた動画広告2種(左・中央)と動画バナー(右)
訴求軸を変えた動画広告2種(左・中央)と動画バナー(右)

 結果、「成果の高い訴求軸」を見つけることに成功。「動画バナー」は、CTAのみが動くクリエイティブのほうが良い」などの具体的な発見が。動画バナーに関しては、ユーザーが視線を動かさずに閲覧できるクリエイティブのほうが成果につながるのではないかと考察した。

 「デジタル広告自体の経験がなかった商船三井様ですが、LinkedInの担当者も驚くほどのCPAが出ており、十分な広告効果を上げることができました。LinkedInのオーガニック投稿の施策と絡めていく動きも出てきており、デジタルマーケティングの取り組み自体広がっているようです」(田岡氏)

クリエイティブ運用の方法論の確立へ

 このように多数の企業で検証を行っているリチカ。そのナレッジをもとにクライアント企業の支援にあたるのはもちろんだが、広告クリエイティブの制作・運用におけるフレームワークを開発するなど、運用型クリエイティブの確立および拡大浸透にも取り組んでいる

 「これまでクリエイティブは、どうしても経験や感性をベースに語られることが多く、ナレッジが言語化されてきませんでした。ただでさえ変数の多いデジタル広告の運用を前に、暗中模索しながら苦しまれているマーケターの皆さんは非常に多いと思います。プラットフォームとの共同研究やクライアント企業様の事例の研究を通して、マーケターの皆さんのためになる情報をこれからも発信していきたいと思っています」(田岡氏)

 最後に、インタビューの中で「運用型クリエイティブは希望である」という言葉があった。これは、リチカが言ったものではなく、とある広告代理店のマーケターからもらった言葉だそうだ。多くの現場で手探りの状態が続いている中、これまでのデータから導き出されたフレームワークをもとに広告の本質であるクリエイティブを磨いていくという運用型クリエイティブは、中長期的な指針になりうるものであり、また確かに「希望」とも言えるだろう。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/03/14 12:00 https://markezine.jp/article/detail/38264