「商品」というツールを使って「オーガニック」を広げていく
MarkeZine編集部(以下、MZ):前編では、Cosme Kitchen(コスメキッチン)拡大の過程について伺いました。後編では、広く女性に支持されるブランド展開やコロナ禍での躍進について、お話を伺っていきます。はじめに、女性のインサイトを捉えたプライベートブランドの展開について。マッシュビューティーラボでは、Cosme Kitchenだけでなく多数のブランドを展開されていますが、どのような戦略で進められているのか、教えて下さい。
椋林:プライベートブランドは、「私たちの発想を形にし、人々に幸せを届ける。」というマッシュグループの理念のもと展開しており、近年非常に大きな成長を遂げている分野です。その中の代表格のブランドとして、百貨店を中心に展開している「Celvoke(以下、セルヴォーク)」があります。女性のインサイトを捉えているというお話がありましたが、セルヴォークのブランド起案に至った背景には、企業や行政で決裁権を持つ方へ“オーガニックライフ”を広げるという狙いがありました。
たとえば、先にお話しした通り、Cosme Kitchenは一度会社の倒産で路頭に迷ったことがあります(前編を参照)。その時、マッシュホールディングス代表の近藤がオーガニックの魅力や市場の可能性を感じてくれたことから、Cosme Kitchenは今も生きながらえています。その意味で、近藤は日本のオーガニック業界の進路を作ったキーパーソンの一人だと言えるでしょう。そう考えると、企業や行政で決裁権を持つ方にオーガニックの概念を広めることがいかに重要かがわかります。
そこで、我々がフォーカスしたのは「百貨店にいらっしゃる方々」です。我々のお客様が直接的な決裁権を持っていなくても、お客様の家族や上司、同僚と身近にいる人に波及していくはずです。オーガニックライフを社会へ広めていくにあたり、社会への影響力の強さを考えると、やはり百貨店で勝負すべきだということで、三越伊勢丹さんのご協力を得て生まれたのが「セルヴォーク」です。
MZ:なるほど。ここでも起点にあったのは、「オーガニックライフを広める」という目的だったんですね。
椋林:ええ。我々は、“商品”というツールを使って“オーガニックライフ”を広めているのだと思っています。ですので、“コスメ屋さん”という感覚はありません。オーガニックライフを広げていくムーブメントを作る女性のみなさんに、まずは毎日手に取る化粧品からオーガニックの価値を感じてもらいたいという思いがあります。