コロナ禍にオープンしたOMO型の次世代店舗
MZ:一方で、コロナ禍である2020年に初の路面店を三軒茶屋にオープンされています。これはOMO型の店舗で、デジタルカタログの導入、デジタル決済のほか、オンラインスクールサービスの提供など新たな試みも行われていますね。
椋林:はい。三軒茶屋店の話が上がった時、「トライアルできる空間ができた」と思いました。これまで商業施設への出店が主だったのでルールや縛りがありましたが、路面店ではある程度自由に、お店にいろいろな役割を持たせることができます。リアル店舗というセットが用意されていると思えば、それを使ってお客様の学びにつながるようなコンテンツをライブで配信することもできますよね。
また、リアル店舗に陳列できる商品の数は限られているので、デジタルカタログを導入し、常時3,000ほどのアイテムを展開することもできています。最近ではスタッフもお客様もデジタルカタログに慣れてきていて、購入したお客様の40%以上がデジタルカタログ経由という数値を記録するなど、想定していた以上の結果が出ています。
MZ:OMOの試みは、企業側の実験的な意味合いが強いイメージがありますが、ユーザーにも受け入れられているんですね。
椋林:ええ。お客様側にも一定のニーズがあり、また販促施策としても効果があることがわかったので、今後徐々にほかの店舗にも広げていきたいと考えています。
「社員の幸福」を還元する形で、社会を幸せにしていく
MZ:最後に今後の展望をお聞かせ下さい。

椋林:マッシュビューティーラボは、今年の8月で設立から12年経ちます。ちょうど干支を一回りしたので、これを機に、これからの10年に合う器に変えていこうということで、組織を大きく変える決断をしました。組織を変革する中で考えたのは、「お客様だけでなく、社員の幸福度を高めていく」ということ。ここで、Cosme Kitchen代官山店の原点である「とにかく幸せでありたい」という原点に回帰したのです(前編を参照)。
自分たち本位に聞こえるかもしれませんが、いま展望として言えることは、働き手にとって最もやりがいのある会社になっていきたい、ということです。我々が幸せでいることで、お客様や取引先様の幸せが高まり、そして環境や次の世代に対する約束も果たしていけると思っています。
