ジェンダーによる不都合が生じにくいモバイル業界
3月8日は「国際女性デー(International Women’s Day)」と呼ばれ、女性のエンパワーメントと平等の実現を目指して世界各国で様々なイベントが開催されている。筆者の所属するLiftoffでもこの日にあわせ、モバイル業界で活躍する5名の女性を招き、働き方やキャリア形成に関するパネルディスカッションを開催した。
筆者は、ジェンダーによって女性の活躍やキャリアアップの機会が失われているのではないかと仮説を立てていた。ところが、今回のウェビナーと事前の打ち合わせを通して意外な事実が判明。パネリストらの働き方やこれまでのキャリアに共通していたのは「ジェンダーによる不都合を感じる場面はない」という実感だった。
このことは、比較的新興かつ変化が激しいモバイル業界の特性に起因するのかもしれない。新しい情報のキャッチアップや業務の変革が常に求められる環境において、ジェンダーに関係なく自ら手を挙げてチャレンジし続ける姿勢が求められるのだ。もちろん、パネリストの所属する企業がジェンダーに関わらず、チャレンジし続ける社員を支援する組織作りを徹底しているところも大きいだろう。モバイル業界は、今年の国際女性デーのテーマでもある「#BreakTheBias(偏見を打ち破ろう)」に当てはまる先進的な業界だと言える。
女性幹部の輩出を目指した「WoW」の取り組み
女性の活躍推進は、SDGsの指標や日本政府が発表した「2030年までに女性管理職を30%に増やす」という方針には盛り込まれているものの、具体的な取り組みを実践している企業はそれほど多くないだろう。そんな中、CyberZは2021年に「CDO(Chief Diversity Officer)室」を設立。女性の幹部・リーダーを輩出する目的で、研修プログラム「WoW(Way of Woman)」を実施した。
WoWには入社2年目から9年目までの女性社員計9名が参加。独自の研修プログラムを通じ、現場では培われにくいリーダーとしての視座の向上や、スキルアップに取り組んでいる。
「積極的な情報発信や、次世代リーダーの育成ができる人材になりたいという想いを持つ反面、具体的にどういったアクションを起こせば良いか迷いがあった」と語るのは、WoWに参加したCyberZの山本氏だ。外部講師を招いた講義や同社社長とのワークショップを経験したことにより、自身の考えを表現・言語化する力に自信を持てるようになったという。WoWではフィードバックを受ける機会も多く、山本氏はスキルアップを実感した。
ゴールドマン・サックスが2020年に欧州で行った調査によると、女性のリーダーシップが高い企業は、そうではない企業よりもパフォーマンスが高いという結果が出ている(出典:ビジネスインサイダー「経営陣や管理職に女性が多い企業はパフォーマンスが高い…ゴールドマン・サックスの欧州企業株価調査で」)。多様性が組織全体の成長をもたらすことは明白であると言えるだろう。