※本記事は、2022年4月25日刊行の定期誌『MarkeZine』76号に掲載したものです。
定期誌『MarkeZine』76号 特集:リテール最新動向
第1回:「顧客体験価値の向上」を共通ゴールにしよう。『小売DX大全』著者からの提言
第2回:鍵は「UXへの落とし込み」リテールビジネスの今後を消費者調査から紐解く
第3回:半歩先の進化が、より良い顧客体験に ユナイテッドアローズのEC・アプリのリニューアルから学ぶべきこと
第4回:「セブン-イレブンアプリ」で高まる店舗体験とその先にあるラストワンマイル構想
第5回:業界キーパーソンに聞くイチオシの買い物体験
第6回:買い物体験を豊かにする、最新リテールテック(本記事)
第7回:リテールテックで店頭体験は進化する──量販店などで導入広がる「リモート接客」の可能性
コロナ禍で成長スピードが加速したリテールテック市場
株式会社博報堂プロダクツ リテールデジタルプロデューサー
吉田和史(よしだ・かずふみ)氏CVSのスーパーバイザー経験を経て、2014年博報堂プロダクツに入社。主にメーカー企業の店頭プロモーション領域の課題解決に従事し、2021年4月から現職。流通業界での知見と店頭プロモーションの知見を活かし、流通・メーカーを問わず様々な企業への最新リテールテクノロジーソリューションの導入に携わっている。
2030年までに8,378億円の市場規模へ成長すると予測されていたリテールテック市場ですが、コロナ禍を受けて市場の成長スピードが急加速。なんと、来年2023年には、市場規模が9,000億円に達すると予測されています。この成長を後押しするプレーヤーは、販促、広告、物流、決済など、業種も業界も様々です。今、多くの企業が独自の強みを活かす形で、この急成長市場に続々と参入している状況です。
コロナ禍での生活様式の変化として、「買い物をする時間と場所のシームレス化」は特に大きく、リテール事業者においては「購買接点」と「消費行動の多様化」に対応することが喫緊の課題となっています。消費行動のデジタル化およびシームレス化が加速している今、企業がマーケティングで目指すべきは、「顧客の買い物体験の利便性を最大化することを前提に、場所・方法を限定せず顧客とコミュニケーションを継続し、可能な限り高いエンゲージメントを維持すること」。
そこで、本稿では、そうしたマーケティングと顧客の購買体験の向上の両方を実現するような、最新のリテールテックソリューションをいくつかご紹介したいと思います。