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特集:リテール最新動向

リテールテックで店頭体験は進化する──量販店などで導入広がる「リモート接客」の可能性

“正しいタイミングで接客を開始する”ことで売上向上にもつながる

──実際の事例として、どのような店舗、商品に活用されていますか。

上野山:家電量販店で家電メーカーさんに使っていただくケースは多いですね。家電はしっかりと使い方を理解した上で買いたいというニーズがあるため、相性が良いと思います。あるコーヒーメーカーのケースでは、リモート接客で販売したときのほうが、リアルのスタッフが売り場に立ったときよりも、販売数が伸びたという実績もあります。これは、先程お話ししたように「消費者が接して欲しいタイミング」でお声がけできたからだと捉えています。

 またもうひとつ、おもしろい事例があります。シニア向けのヘアケア製品を展開するあるブランドが、ドラッグストアにおいてリモート接客を導入したケースがあるのですが、若い世代だけでなく、シニア世代にもデジタルサイネージでのリモート接客が受け入れられることがわかりました。接客後にえんかくさんリアル上でアンケートを採ったところ、満足度85%という高い結果を得られたのです。この結果が出ている理由として、いろいろな種類があるヘアケア製品は選ぶ際に迷うことが多いのですが、ドラッグストアなどだと相談できる場所がない。そんなニーズに応えられたからではないかと考えられます。

 そのほかにも、「ショールームの無人化」にも使われています。リアルの場にはスタッフはおらず、お客様自身が鍵を開けて入り、リモート接客の販売員が物件説明をするというものです。

 また、今後可能性を広げていくと感じるのが「食品」です。コロナ禍で試食販売がしづらい中、リモート接客で調理動画を見せて説明しながら、そのレシピをQRコードで持ち帰ってもらうこともできるのではないかと考えています。

これまでになかったデータを得ることによって売り場が変わる可能性も

──リモート接客のデジタルソリューション導入で、これまで取れなかったデータが取れる側面もあると思います。リモート接客によって得られるデータとその活用方法についてお聞かせください。

上野山:リモート接客では、AIセンサーとタッチセンサーを使いながら、通行数、立ち寄り数、タッチ&トライ数(商品を手に取った数)などと、POSデータを絡めて見ていくことができます。

AIセンサーとタッチセンサー
AIセンサーとタッチセンサー

 特にタッチ&トライ数と購買数は相関が強いので、店頭ツールのメッセージやデザイン、商品の置き方などの最適化につながるでしょう。これまでのアナログ店頭ツールは現場の課題がファクトやデータで分析されていないという実情があったので、大きな変化になるはずです。

 「立ち寄り数の割にたくさん購買されている」「通行数は多いが購買にはつながっていない」など、店舗ごとの特徴を分析していくこともできるので、売り場自体の位置や広さなど、ツール以外の検証も行うことができると考えられます。

 また、接客時のお客様の質問内容や、接客の結果購買につながった、あるいは買おうとした理由、買わなかった原因なども、店舗や属性ごとに傾向を出すことで、さらに製品の機能や売り場の最適化を図ることが可能となります。このようなデータの活用によって、今後売り場の風景がガラッと変わる可能性もあると考えています。

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他のソリューションとの連携でリモート接客の幅は広がる

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/26 09:30 https://markezine.jp/article/detail/38832

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