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SNS黎明期から日本コカ·コーラのデジマを支援
MarkeZine編集部(以下、MZ):これまで「脳科学×SNSコミュニケーション」や「ソーシャルリスニング×プロトタイピング」というテーマで、IMJとゲストにお話を伺ってきました。今回はIMJが長きに亘ってデジタルマーケティングを支援し続ける日本コカ·コーラから山尾さんをお招きし、両社のお取り組みを深掘りしたいと思います。まずは山尾さんとIMJ、それぞれの専門領域について詳しくお聞かせください。
山尾:私はエンドトゥエンドエクスペリエンス部というチームにおいて、アルコールカテゴリーの製品を担当しています。主にタッチポイントごとのコミュニケーション設計を行い、お客様と深いエンゲージメントを構築することが私たちのミッションです。
IMJ:弊社は創業から25年間「生活者視点」を強みに企業のデジタルマーケティングを支援してきました。2021年にアクセンチュアと合併したことで、デジタルの上流から下流まで総合的な支援が可能な体制を築いています。
IMJ:日本コカ·コーラさんとIMJのお付き合いは長きに亘り、SNS黎明期からほぼ全てのブランドのアカウント運用・設計やコミュニケーションプランニングを支援させていただいております。
リアルタイム性を重視した檸檬堂の二周年キャンペーン
MZ:ここからは、両社が協力して進められたという2つのキャンペーンを深掘りしていきます。まずは山尾さんが担当されているレモンサワーブランド「檸檬堂」の二周年記念キャンペーンについてお話しください。
山尾:檸檬堂は2019年に全国発売したレモンサワーのブランドです。二周年当日にあたる2021年10月28日(木)の盛り上がりを最大化するため、キャンペーン期間を「ティザー期」と「二周年当日」の2フェーズに分けてプランニングを行いました。
前段のティザー期においては、公式Twitterアカウントのフォローとリツイートによって応募できる「振る舞い酒セットキャンペーン」を実施。抽選で檸檬堂とオリジナルグラスが当たるという内容です。
山尾:二周年当日は、ユーザーの投稿数に応じてインセンティブが変わる1日限定の投稿キャンペーンを実施しました。SNSならではのリアルタイム性が高い仕掛けによって、ユーザーの参加に対するモチベーションを高める設計です。あわせて新聞広告にもキャンペーンサイトの二次元コードを載せ、集客の間口を広げるような施策も行いました。
MZ:二周年キャンペーンにおける、IMJの役割についてお教えください。
IMJ:私たちは発売当初から檸檬堂のデジタル施策をご支援しています。2020年の一周年キャンペーンでもサポートさせていただきました。前回の経験や他ブランドでのナレッジを活かし、消費者の反応に関する仮説を立てた上で二周年キャンペーンの設計を行いました。
具体的には、振る舞い酒セットを二周年当日にユーザーの手元へ届けるための調整や、ティザー期に反応いただいた方々に対して二周年当日に自動でリマインドを送る仕組み作りなどをIMJが行いました。
IMJ:また二周年当日のキャンペーン実施時間を、あえて夕方から日付が変わるまでに限定。短時間にユーザーの声を集約することでTwitterのトレンドインを狙う施策も考えました。
Twitterのトレンド1位を獲得!参加率は過去最高に
MZ:二周年キャンペーンを通じて、どのような成果が得られましたか。
山尾:ティザー期の振る舞い酒セットキャンペーンでは、想定を上回る反響が得られました。最終的に過去最高の参加率を記録し、Twitter公式アカウントのフォロワー数も増加。二周年当日には前年実績に対して158%のユーザー投稿が集まり、Twitterトレンドの1位を数時間継続することができました。チームとしては、これが1番の成果だったと感じています。
MZ:成功の要因としてどのようなポイントが考えられますか。
山尾:他のキャンペーンでうまくいった点や改善すべき点などを、複数のエージェンシーと擦り合わせた上でプランニングできた点が大きいと思います。たとえば、二周年当日キャンペーンのインセンティブとして、別のキャンペーンで好評だった「檸檬堂 うらレモン」という非売品を用意したんです。
山尾:檸檬堂は「酒場感」を大事にしているブランドです。うらレモンには「檸檬堂の店主がお客さんのために仕込んだ特別なお酒」というストーリーがあったので、活用することによりイベントのプレミアム感を演出することができました。
IMJ:檸檬堂はファンの愛がとりわけ高いブランドだと感じます。山尾さんたちがスポットのキャンペーン運用だけでなく、日ごろのオーガニック投稿にも注力してユーザーと密にコミュニケーションをとっているからでしょう。
また檸檬堂は飲まれるモーメントがはっきりしている製品でもあります。夕食や晩酌などのシーンにおいて、食事と一緒に製品を写した“With Meal”の写真が投稿されやすいんです。こうしたポイントをうまくすくい上げて二周年キャンペーンに反映できたことが、エンゲージメントの向上につながったと考えています。
抹茶ラテのカウントダウンキャンペーンで発売前の期待感を高める
MZ:2021年3月に全国で発売された「綾鷹カフェ 抹茶ラテ(以下、抹茶ラテ)」のキャンペーンについても教えてください。
IMJ:抹茶ラテも檸檬堂と同様、発売前のティザー期とローンチ期の2フェーズで販促を展開。ただし抹茶ラテは新製品のため、発売前の興味喚起を促す必要がありました。
IMJ:そこで、ティザー期にはアンバサダーとして吉岡里帆さんを起用し「めっちゃうまっちゃ」のキーワードとともに抹茶ラテの味わいを伝える動画を制作。同時にTwitter上では発売日までのカウントダウンキャンペーンを行いました。
IMJ:ローンチ直後には、コカ·コーラの公式スマホアプリ「Coke ON」のドリンクチケットが当たるキャンペーンをTwitterで実施。新製品を手に取っていただきやすい状況を作りました。
MZ:IMJではどのようなサポートを行ったのでしょうか。
IMJ:「SNS上でどういう仕掛け方をすると盛り上がるか」という当社のナレッジとクリエイティブの開発力を組み合わせて、各種施策を提案させていただきました。
たとえば、カウントダウンキャンペーンでは「発売まであと何日」というクリエイティブを毎日投稿することによって、ユーザーの期待感を高める設計に。拡散を狙うためにフォロー&リツイート施策も提案しました。
また日本コカ·コーラさんならではのCoke ONと連動したドリンクチケットキャンペーンも、新製品との相性の良さを考え設計しました。
発売時のキャンペーン参加者数は想定の約1.5倍!アレンジレシピの投稿も
MZ:キャンペーン施策の成果やユーザーの反応、売上への貢献度についてお聞かせください。
IMJ:ティザー期のカウントダウンキャンペーンには数多くの方に参加いただき、アドのリーチの部分でも予定のKPIを上回ることができました。
ローンチ直後のキャンペーンでは参加者数が想定に対して146%を記録し、Twitterのトレンドにもランクイン。「2021年のトレンド商品」として複数のWebメディアから取り上げていただきました。
ソーシャル上の反応も大変ポジティブでした。中には抹茶ラテを使ったスイーツのレシピを投稿してくださる方も。私たちの想定を超えた話題が生まれ、抹茶ラテとSNSの親和性の高さを感じました。
山尾:抹茶ラテは発売から1年で累計出荷本数1.4億本を達成し、当初の想定を大きく上回るペースで売れています。もちろん担当チームが自信を持って売り出した製品ではありますが、売上とソーシャル上の反応のいずれにおいてもこれほど高い成果を得られるケースは決して多くありません。社内でも理想的な成功事例として認識しています。
デジタルトレンドと活用指針をまとめたオリジナル資料
MZ:IMJでは日本コカ·コーラのマーケティングサポートのため、デジタル領域における方針をまとめた「Digital Playbook」を作成されたそうですね。Digital Playbookの概要と、作成に至った背景をお教えください。
IMJ:移り変わりの激しいデジタル領域でマーケティングを行うためには、トレンド把握が必要不可欠です。IMJは日本コカ·コーラさんのほぼ全ブランドにおいてデジタルマーケティングをご支援している経緯があります。そこで、各ブランドのご担当者やIMJを含む複数のエージェンシー間を横断し、統一されたデジタルマーケティング指針を提示できないかと考えて作成したのがDigital Playbookです。
IMJ:Digital Playbookの前半には、各SNSプラットフォームの新機能やユーザー間の最新トレンドを記載。後半ではそれらを踏まえて日本コカ·コーラさん向けの活用方針などを記載し、実践的な施策や設計のヒントになるような情報をまとめています。またクリエイティブのフォーマット集など、運用の現場で活用できる資料も網羅している点が特徴です。
MZ:日本コカ·コーラではDigital Playbookをどのように活用されているのでしょうか?
山尾:Digital Playbookをきっかけに、Instagram上で檸檬堂のキャンペーンを実施しました。公式アカウントの投稿にコメントを付けてもらうという内容だったのですが、1つの投稿に1万件以上のコメントが寄せられたんです。コメントを1件1件読んでいくと、皆様の檸檬堂に対する愛が溢れていて驚きました。アカウントのフォロワーもKPI比232%を達成し、Instagramの可能性を再認識した取り組みと言えます。
山尾:各ブランドのチーム内には、私のようなタッチポイントのメッセージ設計を行う担当者と、コンテンツの開発を担う担当者の両方が在籍しています。双方が目線を合わせ「タッチポイント×クリエイティブ」の相乗効果を生み出すための指標としてDigital Playbookは非常に有用だと感じています。
MZ:最後に、両社の展望をお聞かせください。
山尾:キャンペーンなどを通じて瞬間的な盛り上がりを作ることはできますが、その先にあるお客様との継続的なつながりを作るために、できることはまだまだたくさんあると思っています。今後もIMJさんと一緒に「盛り上がり」と「つながり」をうまく組み合わせながらビジネスを成長させていきたいです。
IMJ:SNSを中心としたデジタルの活用支援を通じ、山尾さんがおっしゃった中長期的なファンの育成や、購買も含めたブランド体験の向上に貢献していきたいと考えています。あわせてDigital Playbookのような取り組みでデジタルトレンドをキャッチアップしつつ、移りゆくデジタル環境の中で消費者により響くアウトプットを日本コカ·コーラさんと一緒に作っていきたいですね。
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