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子どもの写真・動画共有からGPS見守り、医師の往診……世界を広げる「みてね」、その事業戦略とは?

ミクシィが提供する「家族アルバム みてね」は、2015年の写真・動画共有サービスから始まり、年賀状や出張撮影、GPS見守りや医師による往診などサービスの裾野を広げています。「子どもの成長をいつでも、どこでも、いつまでも」を掲げる「みてね」の事業開発はどのような戦略のもと展開されているのでしょうか? 同社佐藤氏に取材しました。

みてねのマネタイズ、3つのアプローチ

MarkeZine編集部(以下MZ):まずは佐藤さんと、みてねの関わりについて伺えますか?

佐藤:みてね事業が始まって2年目の2016年にジョインしました。ちょうど最初のマネタイズであるフォトブックをスタートした年で、これから収益基盤を作ろうというタイミングです。私は主にマネタイズの事業開発を担当してきました。

株式会社ミクシィ Vantageスタジオ みてね事業部 BizDev・CSグループ マネージャー 佐藤 僚氏
株式会社ミクシィ Vantageスタジオ みてね事業部 BizDev・CSグループ マネージャー 佐藤 僚氏

MZ:みてねは家族の写真共有サービスから始まり、フォトブックや出張撮影、近年ではGPSの見守りサービスや医師の往診サービスと幅を広げていらっしゃいますね。この多角展開はいつ頃から構想されていたのでしょうか?

佐藤:みてねは、お子さんが生まれたご家族の写真や動画の整理・共有・保存という3つ課題をワンストップで解決することが基本の価値観です。家族の思い出の共有と預かり場所として、愛用していただけています。

 国内の年間出生数と、みてねに登録される新規ユーザー数を比べた時に、2018年時点で生まれたお子さんの親御さんの3人に1人以上がみてねを使っていることがわかりました。子供と、その子供の成長を見守る家族というセグメントでは、間違いなく唯一無二のプラットフォームになるだろうと当時考えました。

 また、みてねは数年分の我が子の写真を預けている場所です。なくなると困りますよね。私自身もユーザーなので、この点を強く感じます。さらに言えば、自分の子供が大きくなったらまたその子供につながって、世代を超えて続くサービスにしていきたいとチーム一同が思っています。

 サービスを永続的に磨くためには、強力な収益基盤が必要です。そこで、マネタイズの手段の可能性を考えたとき、3つのアプローチが浮かびました。1つ目が既存のみてねサービスと最も親和性が高いアナログのプリント商品を拡充すること。2つ目が、アプリらしくデジタルのサブスクリプションを実施すること。3つ目が、顧客基盤が今後大きくなっていくことを前提とした周辺領域の事業開発です。

収益基盤構築のみちすじ

佐藤:まずは、目の前にいるユーザーさんと親和性が高いプリント商品の拡充から進めました。2019年に年賀状やカレンダー、フォトギフトの商品を強化しています。同時期にサブスクの「みてねプレミアム」も開始しました。毎月1秒動画を提供したり、投稿できる動画の制限時間を延長したりしています。現在ではプレミアムが事業収益の中核規模に育ってきていますね。

みてねのサービス群
みてねのサービス群

 翌2020年から周辺領域の事業をスタートさせました。まずは記念日などにプロが撮影してみてねにアップロードしてくれる「みてね出張撮影」と、お子さん向けのギフトを買えるサービス「みてねギフト」を開始しました。さらに、2021年に「みてねみまもりGPS」を始めています。この年は、みてねがスタートした頃に0歳児だったお子さんが小学校に上がるタイミングです。

 お子さんが小学校に上がるくらいになると、乳幼児の頃に比べると撮影頻度は下がりますよね。みてねを使わなくなるわけではなく、むしろアクティブ率は上昇していますが、アップロードする枚数自体は減り、フォトブックを作る頻度も下がります。ですから、お子さんの成長に合わせて収益のラインナップを強化していくことは事業戦略としても重要でした。

 実際にユーザーアンケートを通しても、小学校に上がったお子さんの通学が不安だという課題があることもわかっていました。このピースを埋められるのではないかと考えました。また、社内には子育て世代が多くいまして、夜中に子供が発熱した時も課題であることがわかっていました。一人目のお子さんの時にはとにかくどうしていいかわからない。お子さんが二人いる場合は、もう一人を置いて病院には行けないし困ってしまう。ですから、2022年にコールドクター社と提携して、同社が提供するお医者さんを自宅に呼べる往診アプリ「コールドクター」の名称を、お子さまのいるご家庭にも安心してご利用いただけるよう「みてねコールドクター」に変更し、UI等も刷新しました。

 このように、明らかにユーザーニーズがあるけれども解決できない問題に対し新しいサービスを提供することで、今後も周辺領域を拡大していこうと考えています。

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/06/29 09:00 https://markezine.jp/article/detail/39245

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