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子どもの写真・動画共有からGPS見守り、医師の往診……世界を広げる「みてね」、その事業戦略とは?


「少しずつ世界を広げる」を意識

MZ:3つの柱を順に立てていったのですね。周辺領域の開発は、複数あるニーズの中でどのように優先順位をつけて進めているのでしょうか?

佐藤:2つの軸があります。1つは、みてねのコア体験との距離感です。みてねのオリジンは写真や動画を共有することです。そこに突然、GPSで見守りますって言われても、ユーザーはびっくりすると思います。一方で、出張撮影やフォトギフトはあまり距離が遠くないですよね。みてねの中核の世界観からじわじわと世界を広げていく。地続き感を大切にしています。

 もう一つは、収益面です。本当にサービス価値があるのか、お客様は対価を払ってくれるのか、競合の有無、市場としての伸びしろはどのくらいか。そういった、サービスや事業の評価ですね。

 社内でもブレストを通してすさまじい数のアイデアが出ています。そこから個別にインタビューや市場調査などを通して、有望な領域を絞り込んでいます。また、パートナーシップも重要ですね。フォトギフトの際はスフィダンテ社を子会社化し、出張撮影の際はラブグラフ社と資本業務提携をし(現在は子会社化)、ギフトサービスの際はXTech社とジョイントベンチャーを設立し、往診の際はコールドクター社と資本提携をしています。

 もちろん、ユーザーさんがみてねのサービスラインナップを意識しているわけではないので、みてねが急にお医者さんみたいなことを始めたといったサプライズはあったと思います。しかし、サービスとしては一定のステップを踏んで徐々にみてねの世界観、周辺領域を少しずつ拡張していこうと考えています。

MZ:実は私も2019年からみてねを利用しています。まさに周辺領域の拡大期ですよね。確かに、急にストア機能が追加されて「おや?」と感じた印象があります。反面で、ラインナップが子供の誕生日に使える飾りなどで特に違和感がなかったように記憶しています。

みてねアプリ内のショップ
みてねアプリ内のストア

佐藤:やはり、オケージョンに合わせてどう提案するかが大事ですよね。月齢や年齢に合わせてフォトブックや1秒動画など様々な提案を届けています。バースデーの近くになると、お誕生日に出張撮影をしてみませんか? など。アプリをタッチポイントに、ライフイベントに合わせたレコメンデーションを重視しています。

MZ:サービスを続けていくとユーザーデータも蓄積されると思うのですが、その活用についてはどのようにお考えですか?

佐藤:我々のプライバシーポリシーとして、お客様のデータは他社には提供せず、サービス提供の目的にしか使わないと明言しているので、データ活用は限定的です。例えば1秒動画をお届けするために、写真や動画を解析して、いいシーンを自動的にセレクションしたり、コンテンツのクオリティを上げるためにデータ解析をしたり。あるいは先ほど申し上げたようにコミュニケーションがスパムやノイズではなく、タイムリーな提案になるようにユーザー属性の情報を活用することには積極的ですね。

海外展開は今後の重要なステップ

MZ:みてね本体の登録ユーザー数は2021年3月に1,000万人を超えていますが、ユーザーについて改めて伺えますか?

佐藤:ユーザー数は現時点で1,500万人が見えてきました。サービスを開始して7年経ちますので、乳幼児のご家族だけでなく、少し上の年齢層までユーザーさんも増えています。

MZ:グローバル展開もしていますが、日本と海外のユーザーの割合はいかがでしょう?

佐藤:海外の登録ユーザーの割合は3割ほどですが、日々の新規ユーザーの伸びは圧倒的に海外が多いです。出生数を考えると、海外での伸びしろは非常に大きいと考えています。現在、7言語に対応しており、先進国を中心に10カ国を主要ターゲットに設定していますが、出生数を合計すると、日本の約10倍ですからね。

MZ:現在日本で展開している、みてねの周辺領域サービスは海外でも同様に展開されるのでしょうか?

佐藤:現状で海外ユーザーに提供できているのは、一部の商品だけです。デジタルのサブスクリプション(みてねプレミアム)は提供しており、アクティブユーザーからの課金転換率は海外ユーザーのほうが高いです。一方、フォトブックやDVD、写真プリントは、日本国内で生産して海外に配送しています。今後は、商品ラインナップの強化や、現地生産による物流最適化などを検討しています。周辺サービスを含めた収益源のグローバルでの強化は、事業展開の中で比較的重要なステップだと考えています。

 4年ほど海外展開を続けており、子育てファミリーの抱える課題は国籍関係なく存在することは十分にわかってきています。海外ではユーザーグロースのステージですが、今後、そのユーザーに対するマネタイズを強化していくフェーズに徐々に舵を切っていくことになると思います。

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ユーザーニーズから見える家族の多様性

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/03 15:29 https://markezine.jp/article/detail/39245

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