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Z世代を知るために「言葉」をアップデート

 Z世代の特性を語るとき、「記号」のように引用されるいくつかの言葉がある。それらの言葉は一見すると彼・彼女たちをうまく捉えているようにも映るが、Z世代の発言や行動を注意深く観察・考察すると、その実態がスルリと滑り落ちてしまうように感じる方もおられるのではないだろうか。本稿では、「Z世代」を理解するための「言葉」へのアップデートにチャレンジしてみたい。

※本記事は、2022年8月25日刊行の定期誌『MarkeZine』80号に掲載したものです。

Z世代を理解したつもりになっていないか?

 いつの時代のマーケティングでも「世代特性」の理解は重要なテーマ性を持っている。「団塊世代」や「バブル世代」。「ゆとり世代」に「ミレニアル世代」。最近ではやはり「Z世代」、さらに年代が下がり「α世代」への注目も高まっている。

 諸説あるがZ世代は1997年〜2009年生まれの世代を示しているようだ。そして、Z世代は「デジタルネイティブ(あるいはテックネイティブ)」とも呼ばれ、生まれたときからインターネットやパソコンが身近にあり、様々なネットサービスに囲まれながら成長してきた世代でもある。

 この「Z世代」の特性を語るとき「記号」のように引用されるいくつかの言葉がある。それらの言葉はシンボリックで、一見すると彼・彼女たちをうまく捉えているようにも映るが、Z世代の発言や行動を注意深く観察・考察すると、我々マーケターが認識している「言葉(あるいは単語)」だと、その実態がスルリと手の中を滑り落ちてしまうような感覚にとらわれることもしばしば、である。

 もしかすると、私たちは「Z世代」を理解するための「言葉」へのアップデートが必要なのかもしれない。Z世代の姿を今よりもより鮮明に活き活きと眼前に立ち上がらせるためにもアップデートにチャレンジしてみたい、そうした想いが出発点にある。本稿では、一緒にZ世代に関する言葉のアップデートにお付き合いいただきたい。

情報接触にまつわる発見〜偶然の出会いは偶然か?

 2022年1月から約半年間かけて総勢50名の「Z世代」「α世代」へインタビューを行った。今回はその内容からアップデートすべき「言葉」をピックアップしていく。

 インタビューでは、まずは彼・彼女たちにとって情報収集の中心となるであろうSNSの使い方を聴取した。その中で「〇〇(SNS)で『偶然』見つけて……」という発言をよく耳にした。よくよく話を聞いていくと、SNSでの『偶然』とは“日々利用して自分好みにカスタマイズされたInstagramの発見画面やYouTubeのホーム画面で気になるものに出会うこと”であった。もちろん情報収集目的でもSNSは利用されているが、それ以上に情報接触=偶然の出会い目的でSNSを活用している傾向がうかがえた(図表1)

図表1 Z世代にとっての偶然の出会いとは
図表1 Z世代にとっての偶然の出会いとは

 「おすすめ画面」は各SNSのアルゴリズムが導き出した結果であり『偶然』ではないのではないか?という疑問が浮かび、ストレートに聞き直してみても、彼らにとってその画面は押し付けではなく『偶然』の出会いとして認識しているようであった。

 しかも、そのおすすめ画面をよりうまく活用するためにSNSのアカウントを複数作成し、自分の交友関係や趣味に応じたおすすめが表示されるように使い分けまで行っていた。人によっては10個以上のアカウントを使い分けているケースも見受けられたほどである。むしろ、SNSのアルゴリズムを逆手にとって、『自分好みの偶然』により多く出会うために活用しているのではないかとの印象を受けた。

 では改めて「ミレニアル世代」以上にとっての『偶然』とはどのようなものであろうか。それはテレビCMや広告、売り場での出会いや友人の口コミなど、他の影響をまったく受けずに発生した接触だと考えられる。つまり、同じ『偶然』と言っていても、「ミレニアル世代」が自分の『偶然』をイメージすると、彼らの実情とは乖離する懸念がある。

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この記事の著者

大野 貴広(オオノ タカヒロ)

株式会社インテージクオリス リサーチ推進部 リサーチプランナー/モデレーターSP会社、BtoB調査会社を経て、2018年にインテージクオリス入社。一次情報に触れてから分析を始めることを大切にしており、現在は定性調査会社で消費者の生の声と日々向き合っている。業務を続けていくうちに、自身で直接消費者の声...

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三橋 紗和子(ミツハシ サワコ)

株式会社インテージクオリス リサーチ推進部 リサーチプランナー/モデレーター BtoB調査会社を経て、2019年にインテージクオリス入社。定性調査のリサーチャー・モデレーターとして消費財から耐久消費財、サービス、産業財まで、幅広く担当している。2022年にインテージグループ内で発足した、グループ・部...

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田中 宏昌(タナカ ヒロマサ)

株式会社インテージ 生活者研究センター センター長 1992年、電通リサーチに入社。1994年から電通の生活者データベース「d-camp」の開発に参画。2012年まで電通内の電通総研、消費者研究センターなど、社会および消費者研究セクションに駐在して社会潮流や生活者理解を起点に、さまざまな業界業種にお...

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MarkeZine(マーケジン)
2022/08/30 09:30 https://markezine.jp/article/detail/39774

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