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フォーカス!広告効果測定

「広告の目的にあわせて、測定基準を変える」 大和ハウスの広告効果測定術


広告の目的にあわせて、測定基準を変える

 一方、リスティング広告と役割の異なる純広告は、設定するコンバージョンも異なってくる。例えば「新春フェア」の告知で活用するようなときは来場促進が目的となる。ここでコンバージョンとして設定したのは、地図ページの閲覧数だ。フェアの目的が来場促進なので、資料請求には結びつきにくい。キャンペーン告知を見て、展示場に来場してもらうためには場所の確認のために地図を見るはずと仮定した。そこで地図ページのページビュー数をひとつの成果として設定し、広告効果を測定した。

 「新春フェア」では、潜在層と顕在層とに分けてバナー広告を1週間掲載。クリック率だけではなく再訪率も追いかけたところ、潜在層のクリック率は低く、再訪率でも顕在層は高かったが潜在層はほとんどなかったなど明らかな差が出た。潜在層にはあまり有効ではないことが測定の結果で見えたという。

 「新春フェアのときのような1週間だけのバナー出稿というスタイルだと、潜在層に十分働きかけるのは難しいことは想定していましたが、結果も想像通りでした。こうしたキャンペーン系の施策は顕在層にやらないと効果がないということが、数値からも確認できました。ただ長期的に考えると潜在層への認知のためのアプローチとしては可能性があると思うので、継続的に検証をしていきたいと思います」

課題や結果を踏まえて次のプランへ

 広告展開を仕掛けていく際には、「住宅購入予備軍はどこにいるのだろうか」を考え、潜在層向けのアプローチをしっかり行っていきたいと大島氏は語る。「クロスメディアでの展開も含め、潜在層へのアプローチの仕方は間違っているとは思っていませんし、Webでも十分アプローチは可能であると思っています」

 正月にある番組でCMを流したときは、オンエアの時間帯でのアクセスが増加。検索ワードランキングで調べてみると、テレビ出稿が増えてくると同時に、社名での検索がかなり増えていることがわかった。

 露出量に合わせて社名検索が増えているということは、潜在層への認知も図られているということだ。とはいえクロスメディア展開には、まだまだ課題が多いとも。テレビからWebへの誘導に一定の効果があることは確かだが、Web誘導を考えればインターネット広告が一番効果的。そういう意味でインターネット広告は、同社の目指す見込み客の確保において一定の成果を挙げているといえる。

メディアへの露出によるブランド認知をはかる指標のひとつとして、社名キーワードに注目してまとめたもの。テレビCM、新商品発売、サイトリニューアルなどの動きに合わせて検索数も上昇していることがわかる。また「大和ハウス」「ダイワハウス」の2種類の社名検索が多いことも明らか。

 その一方、効果測定を行っていく上での課題として感じている部分もある。同社の最終の目標は住宅を購入してもらうこと。そこにつなげていくために目指しているのは営業担当者との商談である。だが、商談に結びついていく手段は様々だ。広告にしても、テレビや新聞広告が機能しているケースもある。

 成約に結びついたものについて、マス広告まで含めた広告プロモーション全体で測定を行うのは難しく、現状は効果が測りやすいWebを活用しているが、それも施策によってコンバージョンが違ってくる。施策ごとの指標が明確に作れず、ログで収集した全体的なデータを見て、こういう施策ならこのような結果が出るだろうとの予測でデータを探すなど、後追いになってしまいやすい。データ抽出が後手に回りがちという部分の改善が、現在感じているひとつの課題だ。

 リスティング広告で言えば、資料請求から成約につながったかどうかは把握できても、その資料請求が広告経由のものなのか、自然検索からのものなのかまでは追いきれていない。またWebを活用していこうというとき、成約につなげていく手段が数ある中で、それぞれを数値化できない悩みも。

 直接の現場来場はWebの効果なのかを測定する基準がなく、明確な数値がとれる効果指標は資料請求件数となってしまう。そこも歯がゆさを感じている点と語る。

 「こうした課題はあるのですが、現在は、誘導数を増やしていくところに注力してインターネット広告を展開していますので、測定指標の数値を全体の傾向を追うための統計的な要素で活用し、今後も測定数値を見ながら、戦略や考え方まで含めて、いろいろな試みをしていきたいと思っています。広告の効果を測るのは、もはや当たり前のことです。当然、効果測定の結果が良くない結果になることもありますが、それはそれとして、良くなかった結果をもとに、次は視線を変えてやっていくことが大事。そのように考えています」

 効果測定のデータは、次の広告展開を考えていく際の基準となる。同社でもデータをもとに、どの広告がいいのか、どの媒体に出稿するのがいいのかをいろいろと試行中。今後も、効果測定システムを有意義に活用し、さまざまな広告プランに生かしていく考えだ。

終わりに~『ネット広告の効果を100%確実に上げ続けるために』概要

書名:ネット広告の効果を100%確実に上げ続けるために
著者:宣伝会議
定価:本体1,400円+税
発行:宣伝会議
ISBN:978-4883351930

 本書の章立ては、下記の通りです。

  • 第1章 ネットビジネスを取り巻く環境と、「広告の効果測定」
  • 第2章 広告効果測定で「何を」「どう」評価するか
  • 第3章 実践!Webマーケティングの効果測定
  • 第4章 広告会社キーパーソンに聞く 効果測定の取り組み

 

広告効果測定のノウハウが詰まった内容です。続きを読みたい方はこちらからお買い求めください!

 

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MarkeZine(マーケジン)
2009/03/30 10:54 https://markezine.jp/article/detail/3995

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