案件激減のピンチから相性抜群の新規市場を開拓
天野(Liftoff):続いて中川さんにお話を伺います。コロナ禍前後でビジネスに変化はありましたか。
中川(タイミー):大きく変わったのはタイミーのユーザー構成です。2019年当初はユーザーの30%を学生が占めるサービスだったのですが、現在では副業を望む会社員やパート・アルバイトの層がメインとなりつつあります。
中川(タイミー):ユーザー構成だけでなく、職種も大きく変わっています。コロナ禍以前は掲載案件の9割が飲食のホールスタッフでした。ところが、2020年4月の緊急事態宣言以降、飲食店におけるアルバイトの求人案件が激減したのです。
そこで新たにアプローチしたのは、梱包・ピッキング・軽作業などを行う物流系の企業様です。取り組みを進める中で、タイミーが物流業界にもプロダクトマーケットフィットしていることがわかりました。飲食店が必要とするアルバイトの人数は週末に1~2人/店舗。一方、物流倉庫のスタッフは1日に100人が必要なケースもあります。オンラインで買い物をする人が増えたことで物流業界の求人が爆増し、タイミーを活用いただく機会も増えていきました。
現在は掲載案件の6割が軽作業の求人です。最近は規制緩和によって外食の需要も戻り、当社としては嬉しい状況が続いています。コロナ禍で短期的にはネガティブな影響を受けたものの、結果的には案件のパイが増えてポジティブに転じました。現在登録ワーカー数は300万人を突破し、募集人数はコロナ禍以前の4倍程度まで伸びています。
多様化する価値観を捉え、ユーザーの離脱も恐れない
天野(Liftoff):コロナ禍でも堅調にビジネスを成長させていて素晴らしいです。そんな御社のマーケティング手法について、詳しく伺えますか。
中川(タイミー):あまり奇をてらった手法は選んでいないですね。基本的にはデジタルマーケティングを中心に、テレビCMなどを需要期といわれる春・夏・年末にピンポイントで打ち込む感じです。
天野(Liftoff):タイミーのようなマッチングサービスにおいては、仕事が見つかったユーザーの離脱を避けては通れません。ユーザーの離脱についてはどのように捉えていらっしゃいますか。
中川(タイミー):あるワーカーが同じ飲食店で働きたい場合、一般的な単発バイトサービスですと求人案件から都度その飲食店とマッチする必要があります。しかしながら、タイミーではお店側からワーカーに対して直接お声がけいただく、いわゆる“引き抜き”を最初からOKとしているんです。ご自身に合った就業環境を見つけて固定バイトにする方もいらっしゃいますし、複数の就業場所を好んでタイミーを使い続けてくださる方もいらっしゃいます。
働き方に対する価値観が多様化する昨今。ワーカーの好みや傾向にコミットすれば、より精度の高いマッチングが実現できると考えています。今後もプロダクトのメンバーと一緒にサービスを磨き上げていくつもりです。
天野(Liftoff):川口さん、中川さん、貴重なお話をありがとうございました。