オンオフ統合が重視される理由
「統合マーケティング」は注目を集める一方、解釈の幅は広い。本セッションでは「マスデジ起点の統合型施策」つまり、オンとオフの垣根を超え、事業成長のために最適なプランニング・実行をしていくマーケティング活動と定義して、セッションを進めていく。
そもそもなぜ多くの企業がオンオフ統合マーケティングを重視しつつも苦戦しているのか。いくつか背景はあるが、「特筆したいのはユーザー行動の複雑性が増していること」だと甲斐氏は語る。
新型コロナウイルスの流行にも後押しされ、消費行動のインターネットショッピング化はますます進んだ。また、テレビデバイスがインターネットにつながり、「コネクテッドテレビ広告」という広告枠が生まれたことも特徴だ。コネクテッドテレビは、オンオフ統合の1つのキーになっているといえる。
さらに複雑なのは、そうした広告手法のデジタル化が進む中で、4マスも依然として活用され「デジタルかマスか」の二項対立にはなっていないことだ。
「多くの広告主やマーケターの皆様は、マスとデジタルの効果的な併用方法を模索しています。だからこそ統合マーケティングの意義が高まっています」(甲斐氏)
やらないことがリスクになる可能性も
この状況の中で、今や「やらないこと自体がリスク」とさえ甲斐氏は指摘する。単一チャネルへの投資ではアプローチできない層が生まれたり、適切な予算配分を見誤ったりする可能性があるからだ。
とはいえ、実践は簡単ではない。昨年のMarkeZine Day 2021 Autumnにおける同社のセッションで解説されたように、オンオフ統合マーケティングを実行するにあたってはいくつかの壁を乗り越える必要がある。
どうすればこれらの壁を乗り越えることができるのか、その課題に向き合う必要がある。そこで電通とセプテーニが共同で提唱するのが、統合マーケティングの実践力を引き上げるためのフレームワーク「5Cモデル」だ。
協業実績から好事例・失敗を振り返り導いたもので、広告主・代理店・プラットフォーマーなど様々な立場から活用できる。