PARCOのCRM推進部で扱う領域は顧客接点に関する全領域
PARCOは創業が1953年で約50年。ショッピングセンターとエンタテインメント、劇場やシネマなどの場所の運営から自主コンテンツの制作を手がける。また、そうした施設・ビルを作るデベロッパー事業、不動産開発も行う企業だ。「刺激」「デザイン」「クリエイト」をビジョンに、「感性で世界を切りさく」をパーパスに掲げている。
「PARCOは楽しいショッピングセンターでありながら、自分たちで様々なコンテンツを生み出し、世の中に挑戦していく姿勢の会社です」と話すのは本セッションの登壇者、パルコのCRM推進部の北山隆造部長だ。
北山氏は1997年に入社。これまでに本部でショッピングセンターの中期事業計画立案を担うポジションなどを経験する中で、CX領域、デジタル領域に活路を見出し、現在に至るという。
CRM推進部では、決済とコミュニケーションで顧客データを取得し、CRMを循環させるため、次の3分野に対応している。
- PARCOポイント(パルコで買い物すると溜まるポイント)サービスやPARCOカード等のキャッシュレス決済を基にしたデータ取得をCRMに活用
- SNSやWebのデジタルコミュニケーションを推進
- PARCOオンラインストアの運営と、自社サービス・仕組みに関するユーザーの声(VOC)を取得して、サービス改善につなげるカスタマーサポート
最近では、新たな顧客接点を構築することによる顧客データの取得、コミュニケーションへの顧客データの活用を幅広く行っているという。
たとえば、現在運用しているPARCOオンラインストアが、2022年中に『ONLINE PARCO』としてシステムリプレース、サービスリニューアルする。グランドオープンは来春になる予定だが、今後の新たな顧客接点として期待がかかる。
そのほか、デジタルを活用した店舗スタッフの業務削減/価値創出を目的に、OMO(Online Merges with Offline)やデジタルツール活用に向けた様々なPoCを実行しているという。
「デジタル活用が当たり前の世の中において理想的なコミュニケーションの方法とその仕組みを日々模索し、構築を推進しています」
POSデータの代替として会員アプリの決済データを活用
北山氏はCRMの全体像を「中長期にわたり経営を支える顧客資産の最大化」として捉え、非ID顧客のID顧客化・稼働・ランクアップ、その維持を行っている。
ID顧客とのコミュニケーションを図る取り組みとしては「POCKET PARCO」というスマホアプリが中核を担う。一方、課題としてあったのは、小売業が一般的に持つPOSレジとその決済データを、PARCOは持っていないこと。そこで同社はPOSレジで可能なデータ取得に近づけるため、独自の決済コードデータの取得に取り組んだ。
アプリ内部には「ポケパル払い」というコード決済があり、その決済でユーザーの情報を取得できる。「いつ」「どのショップで」「どんな人が」「いくら」買ったかがわかる仕組みを用意しているという。