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HubSpot×LINEで求職者の就業率を2倍に!ランスタッドが目指す人に寄り添う公式アカウント

 グローバルに人材派遣サービスを提供するランスタッドの日本支社ランスタッド株式会社では、2019年5月にHubSpotのCRM「Marketing Hub」を導入。その結果、一つのダッシュボード上でメールやSMSなどが作成できるようになり、業務効率化につながったという。しかし、求職者からのレスポンスの面では引き続き課題が。そこでMarketing HubとLINEの連携ツールとして「LITTLE HELP CONNECT」を導入した。本稿では、ランスタッドとリトルヘルプ・エージェンシーの両社にLINEコミュニケーションのポイントを語ってもらった。

法人と就労希望者のCX向上がミッション

MarkeZine編集部(以下、MZ):皆さんの自己紹介と、現在どのような業務に就かれているのか教えていただけますでしょうか。

中村(ランスタッド):ランスタッドには全国に支店があるのですが、入社当初は支店で営業をしていました。2011年に営業企画部に異動。本来は営業担当者のKPI管理や営業支援のキャンペーンを企画する部署だったのですが、SFAなど社内の基幹システムの導入に関する業務が徐々に増えてきたのです。そこで2020年、マーケティング&ブランドコミュニケーション本部において、私と大木を含めた3人でDX部を立ち上げることになりました。

ランスタッド株式会社 マーケティング&ブランドコミュニケーション本部 DX部 ディレクター 中村雄一氏

中村(ランスタッド):人材サービスのビジネスモデル上、顧客は「法人」と「就労希望者」になるのですが、その双方のCXを、デジタルを駆使して向上させるのがDX部のミッションの一つです。

大木(ランスタッド):私は2009年にランスタッドに入社しました。入社当時は、派遣スタッフの方々のスーパーバイザーを担当。彼らと一緒に現場の業務にあたることもありました。

ランスタッド株式会社 マーケティング&ブランドコミュニケーション本部 DX部
デジタルトランスフォーメーションスペシャリスト 大木伸悟氏

大木(ランスタッド):スーパーバイザー時代の経験から「スタッフさんや営業担当者の現場の労働環境を改善したい」と思い、2012年に営業コンサルタントの部署に異動。さらにその後、管理部門に移りました。そして2020年、中村とともにDX部を立ち上げた次第です。

川野(リトルヘルプ・エージェンシー):私はHubSpotでCRMソフトウェアの開発・販売に携わった後、2019年にLINE拡張ツール「LITTLE HELP CONNECT」を独自で開発し、リトルヘルプ・エージェンシーを創業しました。

リトルヘルプ・エージェンシー合同会社 ソフトウェア開発者 川野忍氏

求職者からまったくリアクションがない

MZ:LITTLE HELP CONNECTを導入する以前のランスタッドが抱えていたコミュニケーション課題を教えてください。

中村(ランスタッド):人材サービス市場においては、2008年のリーマンショックを機に「仕事はあるが人手が不足している」状況が今なお続いています。この状況を踏まえ、人材サービス業界では「法人のお客様からは仕事の案件を頂き、求職者にはご自身の適性に合った仕事に就労いただく」という全体プロセスの業務効率化が共通の課題となりました。

 当社では業務効率化の打ち手として、2019年にHubSpotのMA「Marketing Hub」をグローバルで既に導入していた経緯もあり、日本法人でも導入。Marketing Hubを導入したことで、メルマガやLPなどの内製が可能となり、法人のお客様とのコミュニケーションにおいては効率化が図れました。

 一方で、課題として残ったのが求職者とのコミュニケーションです。求職者に対しては基本、営業担当者が電話やメール、SMSでやり取りを行っていたのですが、電話したりメールを送ったりしてもまったくリアクションのない状況がここ数年続いていました

 そこで着手したのが、LINEによるコミュニケーションです。LINEの国内普及率は8割超とされているため、コミュニケーション手段をLINEに切り替えれば返答率は向上するはず、と考えました。さらに、川野さんからHubSpot製品とLINEの連携を可能にするLITTLE HELP CONNECTを紹介いただき、LINEを通じたコミュニケーション施策を展開し始めました。

HubSpot上の顧客情報をそのままLINEで活用可能に

MZ:LITTLE HELP CONNECTとは、具体的にどのような機能を持ったサービスなのでしょうか。

川野(リトルヘルプ・エージェンシー):LITTLE HELP CONNECTは、LINE公式アカウントの機能を拡張するソフトウェアです。HubSpotに蓄積した様々なデータを基に最適なLINEコミュニケーションを行うことで、売上の最大化や業務効率化に貢献します。

LITTLE HELP CONNECTのメッセージ配信画面【クリック/タップで拡大】

川野(リトルヘルプ・エージェンシー):HubSpotでセールスを行う中で、お客様から「HubSpot製品とLINEを連携することができれば良いのに」というお声を多数いただきました。ただ、米国本社にフィードバックするも機能開発は難しいという状況。「それなら私が連携ツールを作ってしまおう」と思ったのが開発のきっかけです。

 LINE拡張ツールはいろいろとありますが、LITTLE HELP CONNECTの一番の特徴は、HubSpotの利用を前提としたツールとなっている点です。HubSpot社でソリューションエンジニアとして勤務していた私の経験に基づき、HubSpotの機能やデータベースとシームレスに連携するシステム構造になっています

 LITTLE HELP CONNECTでは、LINE公式アカウントの友だちとHubSpot上の既存の顧客情報のID連携が可能。これにより、HubSpot上で把握している顧客の属性や行動履歴に基づいた最適なLINEコミュニケーションを実現します。

LINEの友だちとHubSpot上にある顧客情報のID連携イメージ【クリック/タップで拡大】

川野(リトルヘルプ・エージェンシー):具体的には、HubSpot上で顧客の興味関心に基づいてセグメント分けした顧客リストを作っておいて、リストごとにLINEメッセージの配信やリッチメニューの出し分けを行うことができます。一人ひとりに寄り添ったコミュニケーションを行うことで施策の効果を最大化するとともに、不要な配信を減らし、配信コストを削減できます。

 さらに、チャットボットや独自発行のQRコードを利用してユーザーの情報を収集し、HubSpotのオートメーション機能につなげて業務効率化するといった応用も可能です。

LITTLE HELP CONNECTのチャットボット構築画面【クリック/タップで拡大】

川野(リトルヘルプ・エージェンシー):また複数のLINE公式アカウントをHubSpotに接続することも可能です。ランスタッド様では支店毎にアカウントを開設し、130以上のLINE公式アカウントをHubSpotにつなげて運用いただいています。

個人情報の問題も払しょく

MZ:LITTLE HELP CONNECTを導入したことで、感じていらっしゃるメリットを教えてください。

中村(ランスタッド):「求職者と確実に連絡が取れるようになった」これに尽きますね。営業担当者はまず、面談の際に求職者に対しLINEの友だち登録を提案しています。LINEの友だち登録を拒否された方と登録された方の就業率には2倍ほどの差が生まれているのです。

 また、営業担当者の業務改善にもつながっています。電話やメールで連絡をしていた当時は、求職者から返事が来るか否かわからないまま、営業担当者はひたすら待つ必要がありました。しかし、LINEの場合はスピーディーに連絡が取れるので、そうした「待ち時間」が短縮されたのです。

大木(ランスタッド):川野さんが我々の要望に対し、丁寧に対応してくださる点にもメリットを感じています。当初、LINE上で営業担当者が求職者に対しメッセージを送る際、配信元のアカウント名が「ランスタッド」になっていて、送り主が一体誰なのか求職者はわからない状態でした。求職者と我々の信頼関係をさらに深めるためにも、送り主の名前はわかった方が良いと考え、川野さんに相談。その結果、送った本人の名前と顔が求職者にもわかるように機能を追加していただきました。

 またLINEの利用に際し、会社が懸念していたのが個人情報管理の問題です。通常のLINEアプリでは、電話帳の情報が自動で同期されてしまうため、会社としてLINEアプリのインストールは許可されていません。そのため、営業担当者がLINEアプリを使いたくても使えない状況でした。

 しかし、LITTLE HELP CONNECTには専用アプリが存在し、スマホでメッセージ送信を行う場合には、そのアプリを使うことで意図しない同期を防ぎ、かつLINEアプリ同様のコミュニケーションを行うことができます。そうした“痒い所にも手が届く”仕様になっている点も大変ありがたいです。

LITTLE HELP CONNECTのモバイルアプリ【クリック/タップで拡大】

求職者からの返答率は20%から80%に、就業率はおよそ2倍に

MZ:LITTLE HELP CONNECTを導入し、リッチなLINEコミュニケーション施策を展開したことで、どのような成果が得られましたか。

中村(ランスタッド):施策を展開する前の状態と比較して、求職者からの返答率は20%から80%に、就業率はおよそ2倍の状態が続いています。

MZ:川野さんからご覧になって「就業率2倍」という成果の背景にはどのようなポイントがあったと思いますか。

川野(リトルヘルプ・エージェンシー):まずはスモールスタートで始めた点が成功のポイントだったのではないでしょうか。導入後に現場から上がってくる要望を踏まえ、機能を新たに追加していく。このアジャイル型のプロジェクトの進め方が奏功した鍵だと見ています。

川野(リトルヘルプ・エージェンシー):アジャイル型でプロジェクトを進める場合、采配するトップと現場の方たちとの間で信頼関係が構築できていないと想定通りに進まないことが多いと思います。その点、中村さん、大木さんは現場の営業担当者の方々から信頼されている印象を受けました。この点も、プロジェクト成功の重要なファクターだったと思います。

MZ:今後LITTLE HELP CONNECTの活用をさらに促進するために、取り組みたいことがあれば教えてください。

中村(ランスタッド):当社では支店ごとにLINEのアカウントを分けているのですが、現状、各支店で友だちの新規登録率に差があります。おそらく、LINEコミュニケーションの重要性が社内に十分浸透していないことが原因でしょう。浸透のための施策は今後も継続して行っていく予定です。

 具体的には「LINEを使ったコミュニケーションが売上にどの程度貢献しているのか」や「成績の良い支店の事例紹介」などを、従業員が一堂に会する場で伝えるようにしています。また、全支店の新規友だち登録率のデータを営業本部長に毎月配布。このように、ボトムアップとトップダウンの両面から社内への浸透を促せるように取り組んでいます。

能動的に使ってもらえるアカウントを目指す

MZ:今後の展望を教えてください。

中村(ランスタッド):求職者にブロックされないよう、届ける情報の精査には今後も努めていきたいですね。ユーザーは「自分と関係のない情報ばかりを送ってくるアカウントだ」と判断すれば、すぐにブロックしてしまいます。我々のサービスでいえば、受付の仕事を探している人に対してマーケティングの仕事を紹介するようなことがないように、コミュニケーションの精度を上げていきたいです。

 既に取り組んでいることもあります。配信する内容や文体などは支店ごとに任せているのですが、ブロック率を抑えるためにも、DX部では各支店から数名のエリアスーパーバイザーを選任しているのです。エリアスーパーバイザーらと我々が密に連携することで、コミュニケーションの方向性に大きなブレが生じないようにしています。

大木(ランスタッド):最終的には「ユーザーが能動的に使いたくなるLINEアカウント」を目指しています。そうなれば、そもそもブロックされる心配はありません。

MZ:ランスタッドの展望を受け、リトルヘルプ・エージェンシーとしてどのような価値を提供していきたいとお考えですか?

川野(リトルヘルプ・エージェンシー):当社は「フットワークの軽さ」が売りです。クライアント様のプロジェクトにしっかりとコミットし、ソフトウェアサービスとカスタマイズ開発を一体としたサポートを提供できればと思っています。

 昨今は消費者の行動変容が著しく「メルマガが読まれなくなってきている」などの話もよく耳にします。一方で、LINEユーザーは年々増加傾向にある。現在HubSpot製品を使っていて、今後LINEを活用して売上の向上や業務効率化を図っていきたいと考えていらっしゃる企業様には、当社の製品をお試しいただきたいです。

LITTLE HELP CONNECTのインストールはこちらから

HubSpotのアプリマーケットプレイスよりLITTLE HELP CONNECTをインストールいただけます。月間のメッセージ送信数が1,000通までは無料で利用できますので、ぜひご活用ください。

HubSpotアプリマーケットプレイス

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/14 10:00 https://markezine.jp/article/detail/40356