法人と就労希望者のCX向上がミッション
MarkeZine編集部(以下、MZ):皆さんの自己紹介と、現在どのような業務に就かれているのか教えていただけますでしょうか。
中村(ランスタッド):ランスタッドには全国に支店があるのですが、入社当初は支店で営業をしていました。2011年に営業企画部に異動。本来は営業担当者のKPI管理や営業支援のキャンペーンを企画する部署だったのですが、SFAなど社内の基幹システムの導入に関する業務が徐々に増えてきたのです。そこで2020年、マーケティング&ブランドコミュニケーション本部において、私と大木を含めた3人でDX部を立ち上げることになりました。
中村(ランスタッド):人材サービスのビジネスモデル上、顧客は「法人」と「就労希望者」になるのですが、その双方のCXを、デジタルを駆使して向上させるのがDX部のミッションの一つです。
大木(ランスタッド):私は2009年にランスタッドに入社しました。入社当時は、派遣スタッフの方々のスーパーバイザーを担当。彼らと一緒に現場の業務にあたることもありました。
大木(ランスタッド):スーパーバイザー時代の経験から「スタッフさんや営業担当者の現場の労働環境を改善したい」と思い、2012年に営業コンサルタントの部署に異動。さらにその後、管理部門に移りました。そして2020年、中村とともにDX部を立ち上げた次第です。
川野(リトルヘルプ・エージェンシー):私はHubSpotでCRMソフトウェアの開発・販売に携わった後、2019年にLINE拡張ツール「LITTLE HELP CONNECT」を独自で開発し、リトルヘルプ・エージェンシーを創業しました。
求職者からまったくリアクションがない
MZ:LITTLE HELP CONNECTを導入する以前のランスタッドが抱えていたコミュニケーション課題を教えてください。
中村(ランスタッド):人材サービス市場においては、2008年のリーマンショックを機に「仕事はあるが人手が不足している」状況が今なお続いています。この状況を踏まえ、人材サービス業界では「法人のお客様からは仕事の案件を頂き、求職者にはご自身の適性に合った仕事に就労いただく」という全体プロセスの業務効率化が共通の課題となりました。
当社では業務効率化の打ち手として、2019年にHubSpotのMA「Marketing Hub」をグローバルで既に導入していた経緯もあり、日本法人でも導入。Marketing Hubを導入したことで、メルマガやLPなどの内製が可能となり、法人のお客様とのコミュニケーションにおいては効率化が図れました。
一方で、課題として残ったのが求職者とのコミュニケーションです。求職者に対しては基本、営業担当者が電話やメール、SMSでやり取りを行っていたのですが、電話したりメールを送ったりしてもまったくリアクションのない状況がここ数年続いていました。
そこで着手したのが、LINEによるコミュニケーションです。LINEの国内普及率は8割超とされているため、コミュニケーション手段をLINEに切り替えれば返答率は向上するはず、と考えました。さらに、川野さんからHubSpot製品とLINEの連携を可能にするLITTLE HELP CONNECTを紹介いただき、LINEを通じたコミュニケーション施策を展開し始めました。