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Instagramの「ブランドコンテンツ広告」とは?トリコのクリエイターマーケティング事例に学ぶ

 パーソナライズビューティケアブランド「FUJIMI(フジミ)」を展開するトリコは、Instagramの「ブランドコンテンツ広告」を活用して様々なジャンルのクリエイターとコラボレーションし、新規顧客の獲得を伸ばしている。透明性の高いクリエイターマーケティングを実現するブランドコンテンツ広告について、トリコでマーケティングを統括する奥隅俊太氏とFacebook Japanの希代翔氏、岡本紗依氏に話を聞いた。

パーソナライズ分析で理想の美をサポートする「FUJIMI」

MarkeZine編集部(以下、MZ):今回は、Instagramブランドコンテンツ広告を活用して「FUJIMI」が実施しているクリエイターマーケティングに関してお話を伺います。はじめに、Facebook Japanではクリエイターマーケティングのどのようなところに着目していますか。

岡本:私たちは、独自のコンテンツを作成して発信し自身のコミュニティへ広げることで収益を得る方々を、「クリエイター」と定義しています。特にInstagramはクリエイターを軸にコミュニティが生まれる場所ですし、クリエイターの発信をきっかけに商品やサービスを購入したという利用者が多いです。ブランドとクリエイターが共創して、利用者へ商品やサービスの価値を届けるクリエイターマーケティングは、重要な施策だと考えております。

Facebook Japan クライアントソリューションズマネージャー 岡本紗依氏
Facebook Japan クライアントソリューションズマネージャー 岡本紗依氏

MZ:次に、パーソナライズビューティケアブランド「FUJIMI」についてご紹介ください。

奥隅:トリコは「私らしい美しさで、私をもっと好きになる」をミッションに、FUJIMIを展開しています。特徴は、美容分析やカラダ分析のもとにお客様一人ひとりにパーソナライズされた商品をサブスクリプション形式で提供している点です。現在は、サプリメント、フェイスマスク、プロテインの3種類の商品を展開しています。

トリコ株式会社 マーケティングマネージャー 奥隅俊太氏
トリコ株式会社 マーケティングマネージャー 奥隅俊太氏

MZ:FUJIMIのマーケティングでは、どのようなことを心がけていますか。

奥隅:お客様視点を大切にすることです。日々どのような思いでFUJIMIを利用されているのか、FUJIMIはお客様が描く理想の美に貢献できているか、などを考え、コミュニケーションを設計しています。

透明性の高い「ブランドコンテンツ広告」とは

MZ:続いて、FUJIMIがInstagramの「ブランドコンテンツ広告」を活用し始めた経緯を教えてください。

奥隅:FUJIMIはブランド立ち上げからWebを中心に認知を広げており、特にInstagramを主力チャネルとして活用しています。その中で、Instagramは高精度なアルゴリズムにより広告配信の最適化が働くため、最適化ばかりを追求すると逆に配信対象の幅が狭くなってしまうという課題がありました。これに対して、Facebook Japanさんからブランドコンテンツ広告による新しいお客様層へのアプローチを提案いただいたことがきっかけです。

MZ:ブランドコンテンツ広告とは、どのような広告なのでしょうか。

希代:Instagramでは、企業とクリエイターや著名人、インフルエンサーがオフィシャルでコラボレーションやタイアップをしている投稿を「ブランドコンテンツ」と呼んでいます。このブランドコンテンツを、広告としてフォロワー以外の多くのInstagram利用者にも配信するソリューションが、ブランドコンテンツ広告です。

Facebook Japan クライアントパートナー 希代翔氏
Facebook Japan クライアントパートナー 希代翔氏

MZ:フォロワー以外の利用者にもクリエイターのコンテンツを配信することで、単なるタイアップ施策よりリーチが広がる点がポイントなのですね。

希代:その通りです。加えてブランドコンテンツ広告では「“企業名”とのタイアップ投稿」という「ブランドコンテンツタグ」が表示されますので、利用者への透明性も高くなります。Instagramでは基本的に、タイアップ投稿にはブランドコンテンツタグを付けることを義務付けています。

奥隅:クリエイターは、自ら表現して発信することに強みを持っている方々です。FUJIMIのコンセプトに共感いただき魅力を伝えたいと思ってくださる皆さんとは、パートナーとして協力し合いたい。そのためにも、ブランドコンテンツ広告を用いて透明性の高いクリエイターマーケティングを行う必要があると考えました。

フォロワー数よりも重視するものは、ブランドの世界観への共感度

MZ:FUJIMIのクリエイターマーケティングについて、まずはクリエイターのキャスティング方法から教えてください。

奥隅:キャスティングでは、FUJIMIの世界観に共感してくださるクリエイターであることを重視しています。実際に、美容分析やカラダ分析からFUJIMIを試していただき、良さを感じてくださった場合のみ正式なオファーをするという流れです。

MZ:具体的にはどのようなクリエイターに依頼されていますか。

奥隅:美容家やヨガのインストラクターをはじめ、イラストレーターや漫画家、料理研究家の方など幅広く依頼しています。フォロワー数の多さよりも、FUJIMIへの共感や世界観がマッチするクリエイターが中心です。また、普段からフォロワーとどのようなコミュニケーションを取っているか? や、どんなフォロワーから支持されているクリエイターなのか? なども参考にしています。

 依頼先のクリエイターが決まったら、オファーを出す際にキャンペーン進行のマニュアルを共有し、クリエイティブのチェックがあることなども伝えています。クリエイターそれぞれの個性や世界観を生かした表現でクリエイティブを発信いただきつつも、投稿内容は丁寧に確認をします。間違った情報の発信を防ぎ、お客様だけでなくクリエイターやFUJIMIのブランドを守るためにも、重要なことだと考えています。

CPAが44%改善!通常広告の配信ターゲット層も拡大

MZ:実際にブランドコンテンツ広告を配信し、どのような成果が見られましたか。

岡本:今回は新規顧客獲得を目的に、FUJIMIの通常広告(A)と通常広告+ブランドコンテンツ広告(B)のA/Bテストを行いました。その結果、通常広告と比べてブランドコンテンツ広告を含む(B)のほうが、コンバージョン数が約2.1倍となりました。さらに、CPAは44%改善、CPMは28%削減しています。

 ブランドリフト調査でも、広告想起が約1.5倍かつ利用意向が1.7倍、ブランドリフト単価(広告想起単価)が44%削減と、ブランドコンテンツ広告の効果が見られました。

奥隅:広告配信レポートを見ても、ブランドコンテンツ広告を含んだキャンペーンのほうが幅広い年代層に届いていました。クリエイターのフォロワーだけでなく、既存の広告配信層の幅を広げる効果もあると考えられます。

 やはりブランド側の発信とクリエイター視点の発信は違いますし、情報の受け取られ方も異なります。様々なクリエイターが発信することでFUJIMIの魅力が多様化し、多くの方へ伝わることは嬉しいですね。

MZ:従来のインフルエンサーマーケティングとの違いは、どのようなところでしょうか。

希代:インフルエンサーマーケティングでは、フォロワーが多数いるメガインフルエンサーに単発で依頼するケースが多い傾向にありました。トリコさんの場合、複数のクリエイターと継続的にブランドコンテンツ広告を実施し、PDCAを回しながら効果の最適化を追求されている点がポイントです。また、クリエイターごとに多様なパターンのクリエイティブを配信されていることが効果につながっています。

奥隅:クリエイターがそれぞれの視点でFUJIMIの良さを継続的に伝えることでフォロワーとの関係性が高まり、商品を知るきっかけになっていると思いますね。アフィリエイトのように単発の施策ではなく、ブランドとフォロワーとの関係性を積み重ねるプロセスを追うことが重要です。

クリエイターマーケティングのWHO/WHAT/HOWとは?

MZ:クリエイターマーケティングの設計ポイントを教えてください。

岡本:WHO/WHAT/HOWを適切に設定することです。トリコさんの取り組みは、まさにこのポイントをしっかりと押さえています。

 まずWHOは、「どのようなクリエイターに依頼するか」です。商材の良さやキャンペーンの目的を理解し、ブランドと一緒に発信したいと思ってくれるクリエイターとの取り組みは、成果につながりやすいです。

 これにより、「何を伝えるか」のWHATが活きます。FUJIMIの事例では、ブランドのミッションや伝えたいことへの共感を前提に、クリエイターそれぞれの視点で発信されていました。これも、WHOが適切であったからこそだと考えられます。

 ブランドコンテンツ広告は、フィードやリールなど様々なフォーマットが活用できます。Instagramではいわゆる「映え」のクリエイティブが好まれると考えられがちですが、クリエイターマーケティングにおいては自然体な表現が好まれます。商材の良かったところや使用感、毎日使っている様子などをクリエイター視点で丁寧に伝えるクリエイティブが重要です。これが「どのように伝えるか」のHOWとなります。

MZ:投稿を見ている利用者にとって、自分ごと化できるクリエイティブが大切なんですね。

岡本:はい。ですからフォロワー数の多さではなく、フォロワーとクリエイターの間に信頼があり投稿に本音が感じられ、フォロワーが納得感を得られるコミュニケーションをされているクリエイターとの取り組みがおすすめです。

ダイレクトレスポンスにもブランドコンテンツ広告の活用を

MZ:今後の展望やブランドコンテンツ広告活用にあたってのアドバイスをお願いします。

奥隅:自分の理想の美を求めることのそばに、FUJIMIがあるといいなと思っています。そのために、テレビCMの展開やルミネ新宿 LUMINE2に実店舗をオープンするなど、FUJIMIを知っていただくための接点作りに注力しているところです。

 Instagramについても、様々な機能やソリューションを用いて独自の成功パターンを見つけていきたいです。パーソナライズがFUJIMIの最大の魅力ですから、年代や性別を問わず多くの方へその魅力を届けたいと思います。

希代:広告主の皆さまには、透明性の高いソリューションとしてブランドコンテンツ広告をご活用いただきたいです。今も「#PR」や「#タイアップ」のハッシュタグが見受けられますが、Facebook Japanとしては企業とクリエイターの間に対価がともなう投稿を行う場合、タイアップ投稿ラベルにてスポンサーを表示する形でのブランドコンテンツ広告を義務付けています。

 またブランドコンテンツ広告なら配信インサイトも確認でき、タイアップやPRの施策を定量的に振り返ることが可能です。

岡本:ブランドコンテンツ広告はブランディングだけでなく、今回のトリコさんの事例のようにダイレクトレスポンス目的でも成果が出ています。また消費財をはじめ、化粧品やアパレル、自動車、家電、金融/不動産、教育、エンタメにラグジュアリーまで幅広い業界で実施されています。ぜひ業界問わずクリエイターマーケティングに取り組んでいただけたらと思います。

「本質的なクリエイターマーケティング」についても取り上げた
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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/02 14:04 https://markezine.jp/article/detail/40462