前編のイベントレポート:『ポストCDPに向けた新機能などを発表 今注目のBrazeがNYで開催のイベントをレポート』
長期的なマーケトレンドが加速
――はじめに、Brazeでは「Start Anywhere, Go Everywhere」というメッセージを打ち出しています。これにはどのような意図があるのでしょうか?
Hyman:Brazeを導入する企業は、それぞれ様々な課題を抱えており、それぞれ違う目的をもってBrazeを使うことを決めています。「既存の電子メールシステムをリプレースして、パーソナライズされたメッセージを届けたい」「クロスチャネルのメッセージ体験をモバイル、Web、アプリ、テキストメッセージで実現したい」「とりあえず手をつけていないモバイルにフォーカスしたい」など目的は実に様々で、どこから始めてもチャネルを広げていくことができるのがBrazeです。
実際に、Brazeを導入している企業の65%以上が、Braze上で3つ以上のチャネルを使っています。5つ以上のチャネルを使っている企業は20%です。Brazeはあらゆるチャネルから可能性を広げていくことができる――そんな意味が「Start Anywhere, Go Everywhere」に込められています。
――基調講演では、コロナ禍におけるブランドと顧客の変化について言及されていましたが、マーケティングにはどのような影響があったと思われますか? ポストコロナと言われる中で、新しいトレンドが出てきているでしょうか?
Magnuson:新型コロナウイルスは、コロナ以前からのマーケティングトレンドを加速させたと見ています。もっとも、長期的なトレンドだった顧客エンゲージメントの重要性がコロナ禍で増し、企業の取り組みも加速しました。
コロナ禍では対面で顧客とやりとりができなくなり、デジタルコミュニケーションがさらに大切になりました。デジタルでブランドの価値を伝え、顧客体験を届けていく。これは、コロナ前から言われていたことですが、コロナでその重要性が一気に高まったわけです。コロナが落ち着いた後も、高まったデジタルの重要性が低くなるようなことは決してありません。
そして、先が読めない時代にある今、予算も圧迫される中で、どの施策が成果を出しているのか/成果を出せていない施策はどれか/どうやってチャーンを防ぐのか/どうやって追加の売上を得ていくか。これらはデータなしにはわかり得ません。データ活用の重要性もさらに高まっています。
カーブサイドピックアップが一気に浸透!米国企業のコロナ禍での奮闘
Hyman:Brazeの顧客企業の中には、コロナ禍でデジタルの取り組みを前倒しで強化した企業が多くありました。北米では、コロナ禍を受けて、ファストフードやスーパーマーケットによるカーブサイドピックアップ(※)、デリバリーのサービスが一気に進みました。ただ、単に新しいサービスを提供するだけでは、利用・売上にはつながりません。そこで、モバイルの出番です。新しいサービスを試してもらう、使って慣れてもらうために、カーブサイドピックアップのみで使えるクーポンを配布し、利用増につなげたショップやレストランがたくさんあります。
※カーブサイドピックアップ:オンライン上で注文した商品を、店舗の駐車場で受け取ることができるサービス
Magnuson:コロナ禍に入って3年目になったところで、それらの取り組みの副次的な変化も見え始めています。企業は、競争力を維持するためにどのような顧客体験を提供するか? をメインに考えてきたわけですが、それを受けて顧客側の期待値が高くなっているのです。
今、Jon(Hyman氏)が話した飲食事業社の取り組みにもう1つ付け加えるなら、デリバリー業者頼みではなく、自社で直接顧客との関係を構築しようという動きが活発になりました。アプリで顧客と直接つながり、自分たちで顧客データを持つことで、長期的な関係性を構築していく。ファーストパーティデータを使ってブランドが直接顧客との関係を構築するというのは、コロナにより強まったトレンドと言えるでしょう。
また、メディア・ストリーミングも熾烈な競争になっています。米国ではNetflix一強だったところに、HBO Max、Disney+、Hulu、ESPN+、Peacockなど新しい競合が出てきました。その多くがBrazeを使っており、最高の顧客体験を提供しようと施策を展開しています。