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第107号(2024年11月号)
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進むテクノロジーの民主化——イオン、ドミノ・ピザに学ぶ技術活用と向き合い方

 2024年6月11日~13日にシンガポールで開催された世界最大規模の小売の祭典「NRF Retail's Big Show APAC 2024」(以下、NRF APAC2024)の主要セッションや展示の様子と、複数のブランド旗艦店舗を実際に筆者が訪れた体験から、小売業界へのヒントをお伝えする本連載。第4回では、デジタル・イノベーションを用いてブランドの世界観を表現する方法について紹介する。

最新テクノロジーは民主化しPoCから実用フェーズへ

 2023年は生成AI元年とも呼ばれ、2024年1月ニューヨークで開催されたNRFでも様々なトピックスが扱われた。テックベンダー、リテーラー各社がそれぞれのステージで模索しながらも、企業同士の連携による共同開発や、理念に忠実なオリジナリティの高いチャレンジ目標を発表するなど、喫緊性の高い課題として各社取り組んでいることをアピールしていた。それから“たった”半年後である6月のNRF APAC 2024では、各社の着実なAI活用の推進から数多くのユースケースが誕生していた。

 従来からある技術(RFID、セフルレジ、XRなど)も、さらに進化した機能をアピールしつつ、ある意味当たり前にショッピングシーンに採用され、実績としてセッションや展示として公開されていた。体験としての目新しさには欠くものの、あらゆる技術が民主化されていく潮流を肌で感じるものだった。

写真左:ソニー展示・エッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」、右:ゼブラ展示・パーソナルショッパー(筆者撮影)
写真左:ソニー展示・エッジAIセンシングプラットフォーム「AITRIOS」、右:ゼブラ展示・パーソナルショッパー(筆者撮影)

技術そのものよりも、効果の発信

 イオンのブースにはVRを用いたレジオペレーションの従業員研修用プログラムが展示され、実際に体験できようになっていた。店舗やレジを再現したVR空間の中で、カゴに入った商品を一つひとつスキャン、入力し、レジ画面の操作も実際のシステムと同じものを利用することができる。

 講習や紙面で学ぶだけでは足りない実践経験や、複雑なケースをバーチャルという環境を用いて楽しみながら訓練するためのプログラムを実現している。

イオン展示・VRを用いた従業員研修プログラム(筆者撮影)
イオン展示・VRを用いた従業員研修プログラム(筆者撮影)

 一見ゲームのようなこの研修プログラムは、既に実際の研修で導入されており、下記のような成果を収めているのだという。

  • 学習定着率75%(講習による定着率の15倍、ビデオ研修による定着率の5倍)
  • 楽しんで学ぶことができる91%
  • 業務を理解するのに役立っている92%

 研修プログラムの内容は「カスタマーサービス研修」「調理工程研修」など多岐にわたり、現在では1800種類のプログラムを提供している。

イオンブースで配布されていた資料(筆者撮影)
イオンブースで配布されていた資料(筆者撮影)

 VRという業界では新しいハードウェアが発売されたり、サービスプラットフォームの機能が追加されたりと、各所で様々な進展はあったが、体験として革新的といえるものが生まれたかというと、必ずしもそうではない。しかし、今回のイオンの事例のように、具体的な形で内容を公開し、その成果まで発信した企業は珍しいのではないだろうか。

 イオンの例だけでなく、NRF APAC 2024では、最新テクノロジーの導入実績やその効果、導入によって明らかになった新たな観点や課題解決のアプローチなどの発信が多く見られた。この動きはリテール業界全体で課題を共通化していき、改善の最短アプローチを可能とするエコシステムが機能しているともいえる。

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この記事の著者

岡本 静華(オカモト シズカ)

電通デジタル トランスフォーメーション部門トランスフォーメーション事業部 マネージャー
コマース会社の設立・経営後、2017年に電通デジタルに入社。顧客体験設計のプランニングを中心としたDXコンサルティング業務に従事。リアル店舗を保有する企業のDX戦略策定から、顧客視点・従業員視点に立脚した体験価値の構築まで幅広く実行。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/11/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47277

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